2014年4月30日水曜日

ALL JAコンテスト2014ついでに136kHz移動運用

26~27日にいつもお世話になっているOM様のお誘いに乗って、これまたJA2の大OM様所有の静岡のとある場所にある別宅シャックにお邪魔してALL JAコンテストプロジェクトに参加させていただきました。

で、 これはチャンスとばかりに136kHzのアンテナ設置を事前にお願いしたところ快諾いただきました。いつも移動に行く場所ではどうしてもアンテナが大きくなってしまい人目を多少なりとも気にしながらの運用なので、まったく干渉されない移動場所を望んでおりました。

ALL JAは21時からのスタートでしたが、当日朝一に出かけ10時に現地に到着、コンテストで使用するアンテナ群の整備はほぼ終えられており、早速隅っこの邪魔にならないところでいつもの12m高3条傘型短縮バーチカルアンテナを立てました。アースは最初アスファルト面にいつものアースマット10枚直置きにしましたが、山地のためかVNAで計測するとアンテナ入力が136kHzで300Ωと今までにないくらい高くて手持ちのインピーダンス変換トランスでは整合し切れませんでした(最大125Ωまで)。急遽アンテナタワー根元のアースも接続してみましたがほとんど変わらず(信号的にはタワーアースをつけていたほうが強かったらしいです)、またブルーシートで絶縁してもやはり変化は見られないため土地の問題だろうと考えそのまま125Ωの端子にとりつけてVSWR2.7あたりで強引に送信すことにしました。アンテナ電流計の振れも少なくEIRPにしたらいったいどのくらい少なかったんだろうかと。

風もほとんどなく非常に安定していたんですけどね~
風がほとんどない穏やかな気候だったので、アンテナも風に煽られることなく形を保持してFBだったのですが、接地抵抗の高さと辺りの木々の影響も加わって条件的には厳しいほうだったのでしょう。案の定通常のCWではどこにも届かなかったようです。
CWは早々に諦めて QRSS30でビーコン送信したところ、東京は台東区のグラバーと千葉四街道市のグラバーに捕捉されましたがいずれも信号強度は弱かったです。

四街道市のグラバーキャプチャー画像
台東区のグラバーキャプチャー画像

しかしさすがQRSSだと届くものなんですねー。

とりあえずアンテナはこれ以上の改善策が尽きているのでいったんそのままにしてALL JAのほうに参加することにしました。

2チームに分かれ、自分は40mと30mのほうで交代でアシストとオペレートを行いました。まともなコンテスト運用は正直カムバック以来初めてなので非常に緊張した上に普段は使わないPCキーイングのため余計な符号出しまくったりとかでQSOいただいた各局にはご迷惑をおかけしましたm(_ _)m

夜中は40m、昼間は30mを主にrunし、午後から終了までは状況に応じてバンドチェンジするなどしておりましたが自分が担当したのは夜中から明け方、午後から夕方まででした。

136kHzは明け方交代して数時間休んでから昼前に再開しました。twitterで横浜のJH3XCU/1局からワッチするというリプライをいただいていたので137.774kHzでQRSS20モードでCQを出したところQRSS15で応答があり、QSOを開始しました。

車内でFT-857DMのヘッドフォン出力からタブレットPCのマイク入力に接続しArgoで受信中

ここでトラブル発生><

QRSSモードでQSOをするためには、受信している間に以前作った自作TX136コントローラーのメッセージメモリにQSOで必要な文字を入れ込む作業が必要なのですが、弾みである操作をしたところ(想定外の操作でした) メッセージが入力できなくなるというバグが発生してしまい復旧ができなくなってしまいました。周波数・CW速度コントロールとモード切替は特に問題なかったもののメッセージが打てない状況のため、仕方なくTX136本体内蔵のキーヤー速度を最低の 0.1WPM に設定して、パドルで手打ちしてQRSS12として送信を試みました。キーヤーなので符号の長さは正確ですが、文字スペース間隔とワードスペースの間隔は自分で合わせないといけません。送信中は符号をどこまで打っているかとか、スペース間隔はいちいち時計を見て測るなど常に気をつけないと解読ができなくなりますがこれを1送信で大体30分程度続けなくてはならないのはいささかしんどかったです。しかし、なんとかQSO成立させることが出来たので坊主は免れました^^;

QSO後は早々に136kHzシステムを撤収し引き続きALL JAのほうに戻りました。

21時無事終了し、打ち上げBBQを堪能。翌日仕事のため22時半に皆さんとお別れして帰路につきました。
打ち上げ風景ちょっとだけ
これはいったいなんでしょう(笑)
慌しい2日間でしたが136kHzもALL JAも楽しませていただきました。お世話になりました皆様どうもありがとうございましたm(_ _)m

後日。バグったコントローラーのプログラムを見直しました。ここのところ慣れてきたC言語ばかりでアセンブリ言語からはしばらく遠のいていたためか、コマンドやらちょっと忘れかけていましたが、問題の箇所をなんとか特定して修正完了しました。
ICSPを電池ボックス内に引っ張ってきたので蓋を外せばそのままPickit3が繋げられます
移動では何か突然困ったことが起きるので、たとえば今回の場合などはPCのQRSというソフトでも送信できるようにするなど、こんなこともあろうかと、という対応策をいくつか用意する必要性を感じました。アンテナ調整についてもインピーダンスマッチングトランスも300Ωまで対応させるように改良したり接地抵抗を下げる別の方法を考えるなど、いろいろと課題の残る移動運用になりました。

2014年4月21日月曜日

アクティブ・アンテナコンテスト2014

20日の日曜日に都内葛飾区(JCC100122)の水元公園という江戸川、中川、大場川に囲まれた小合溜(こあいだめ)に沿って造られた公園内の集会場で、全日本長中波倶楽部主催のアクティブ・アンテナコンテストというイベントが行われ、先日急造したPA0RDT Mini-Whipもどきを持参して参加してみました。

常磐線金町駅

朝9時前に金町駅に着きましたが、朝食を摂らずに出てきたので駅前の立ち食い蕎麦屋さんで蕎麦をかき込んでから徒歩で水元公園に向かいました。約20分ほどで公園に到着。雨は降っていませんでしたが、この時期なのになぜか寒くて薄手の上着では体が動いていないと震えてしまうほどでした。

 水元公園
水元公園は初めて訪れましたが、小合溜は川のような流れもほとんどなく穏やかで高い木もなく気持ちのよいところです。家族連れなど寒い中結構にぎわっておりました。

甘酒が沁みる(笑)
それにしても寒すぎるので、集会場近くの売店で暖かい手作りの甘酒を一杯いただきました♪こんな時期に甘酒飲むとは思いませんでしたが温かくて美味しかったですよ。

集会場に入り10時定刻イベント開始。総勢20名ほどでしょうか会場内ほぼいっぱいの状態で各参加者の自己紹介から集合写真撮影を経て、次は各アクティブアンテナのプレゼンテーションという流れに。自分のはPA0RDTほぼそのまんまで素子を2SK125と2SC1815GRに換えただけのものなので詳細は置いといて(汗)、ほかの皆さんは大変工夫を凝らしておりました。同調型はプローブ直下にインダクタもしくは455kHz IFTにキャパシタを抱かせたものを付加させたり、フェライトバーコイルを使用したもの、また大きなハニカム巻き空芯コイルにパディングコンデンサをつなげMini-Whipの外側を覆うように被せたものなどなど。同調型ではなくLPFを各段に設けたもの(プローブ直下もきちんとインピーダンスを合わせて設計されたようです)、面白いのはプローブと初段のFET回路部分をツインにしてソースフォロワからフェライトコアトランスで信号合成して2段目のバッファアンプに流すもの、あるいはインピーダンス変換としてオペアンプを使ったもの、また小型多巻きループをトランスでインピーダンス変換するものなどで、非常にユニークなものばかりでした。


どこかで見たことがあるような人がちらほら…
ひととおりプレゼンテーションが終わり、集会場外の水辺の低い柵に2mほどのポールをくくりつけて各アンテナを設置して測定に入りました。

測定風景
PFU(電源供給ユニット)のあとに分配器を介してスペアナ
(アンリツ製MS8911B)とWSPR受信システムへ

 そそりたつアクティブアンテナ群(すべてではありません)

 測定はスペアナを使用。1MHzセンターの2MHzスパンで長波帯から中波放送帯を観察しました。各アンテナのスペアナ波形を出し、アクティブアンテナオフ状態のノイズレベルを基準に非同調型は500kHz前後のノイズレベルと放送波(今回は1422kHzラジオ日本)信号レベル値を、同調型は136kHz台のノイズレベルを測定。他にアース有無の比較やWSPRビーコン波(JG1JZL局)受信トライを行いました。

自分のMini-Whipの測定結果(MS8911B, RBW=3kHz)
 いただいた自分のMini-Whipの測定結果のハードコピーを出してみましたが、非同調なので放送波の柱が非常に高いです。1134kHz文化放送にいたっては-10dBmすら超えてきています。一方ノイズレベルは約-80dBm程度で、アンテナオフ時の-93dBmとの差13dBが利得になっているのでしょう。まだ自宅のAPB-3では測定していませんが、アッテネータを作って自分でも後日測定しようと思います。

測定結果を基に自分なりにまとめてみました。

 1.非同調型と同調型とでは、同調回路の構成如何に関わらず同調型で受けた
   中波放送信号レベルは30dB程度抑制されていた。
 2.一方136kHz付近では不変もしくは数dBほど上昇を示した。
 3.LPF型(プローブ直後、段間、出力側すべてに挿入)は500kHzあたり以
   降でほとんど放送波の柱が見えなくなるほど高い減衰レベルだった。
 4.ツインプローブ型(非同調)はノイズレベルが数dB下がり、シングルと
   比較し放送波信号レベルが3dBほど上昇した。
 5.ハニカム巻きの大型同調コイルを付加したアンテナは、出力にプリセレ
   クタ(回路詳細不明)をはさむ構成で136kHz以外はほぼ素のノイズレベ
   ル(-90dB近く)まできれいに抑制されていた。
 6.アースのあるなしでは、アース接続でノイズ、信号レベルともに上昇。
 7.GPのようなラジアル(傘の骨状)付きは信号レベルが弱くなる。
 8.小型多巻アクティブループは、他の同調型と同じようなスペアナでの測
   定結果であったが一点異なるのは136kHzでのノイズレベルが低く、また
   唯一最初の環境においてWSPR波のデコードができた(-25dB)

ループアンテナ以外ではWSPR波を受信できなかったので、場所を数十メートルほど移動し再測定しました。


 アースは設けず、非同調型(自分のMini-Whip)、LPF型、同調型、ループ型で各々受信トライしました。いずれもデコードは成功しましたが、各々のレベルは非同調型でおよそ-13~-17dB、LPF型で-12dB、同調型-10dB、小型多巻ループ型は信号源へ向けて-4dB、サイドでは-10dBという結果でした。

 測定終了し集会場に戻って結果発表と討議が行われ16時前に無事閉会となりました。

まとめから今後の方向性が少し見えてきました。136kHzグラバー用のアンテナとしてはまず同調型にして、中波放送帯のレベルをある程度下げて能動素子の飽和をなるべく抑えておこうということです。というのは自宅で使用していてもTBSの放送波が周波数954kHzの2倍1.908kHzで聞こえてしまうことより、放送波が強力すぎて信号がMini-Whip内で歪んでいると考えられたからです。さらにフロントの同調回路を複同調回路にすると実用帯域も広げることが出来そうです。あとは出力側もしくは受信機の直前にLPFを置くことです。以前製作したGenesisRadio G11のLF用LPFをとりあえず製作し使ってみようかなと考えています。(LPFの仕様特性表

結果についての感想ですが、まずツインプローブ型がちょっと地味ながらおもしろいと思いました。利得が3dB上がるのはなんとなく想像つきますが、ノイズレベルは逆に若干下がっているというところが不思議でした。プローブ同士の間隔等いろいろなパラメータを変化させるとまた違った結果になるのでしょうか。それから、ハニカム空芯コイル同調器を装着したMini-Whipは受信機手前のプリセレクタの効果も手伝ってか、136kHz帯以外はスッパリ信号がカットされていました。外に受信機(FT-817)とプリセレクタ、鉛シールドバッテリ、PFUが一体になったセットとともに持ち出したところ、桶川市のCWビーコン波を耳RST539と明瞭に受信されました。他のアンテナでは受信できず、このアンテナの優秀さを物語っておりました。もうひとつは、小型の多巻ループアンテナでした。スペアナ測定では他の同調型アンテナに比べて136kHzでのノイズレベルが低く、唯一最初の環境でWSPR信号がデコードできており、その後移動した場所でも-4dBと高く指向性も認められました。やはり、アース不要で周りの環境からの影響が少なくS/Nが良いというループアンテナの特徴が良く分かる結果だなと思いました。

CWビーコン(135.8kHz)波を受信
アースの有無については、無しで信号とノイズレベルが両方上がったという結果でしたが、テスト環境では簡単な土中への打ち込みアースから数メートルの細い電線で引き込んであり、ちゃんとしたアースとして動作していたかどうかがちょっとアヤシイと思われました。もしかすると、エレメントと同様な動作になっていたのでは?という疑問も残っています。実際アース側を手で触れたりするとS/Nが上がったりする報告もあり 、この辺は改めて検討が必要に思いました。しかし、アクティブアンテナ本体と受信機を光ケーブルで接続して電気的に遮断してもちゃんとアンテナとして動作するという文献も紹介されており、本当のところMini-Whipをはじめとしたアクティブアンテナの動作ってどうなの?っていうことでまた謎が深まった印象となりました。

今回のイベントは自分にとってとても有意義な時間でした。また機会があったら参加してみたいです。主催である全日本長中波倶楽部の 幹事の皆様ならびに参加各局の皆様有り難うございました。


イベントが終わったその足で秋葉原に向かい夕食をとりました(左)。右の写真は参加賞(?)として参加各局に配られたシールド可変コイルです。LCメーターで測定すると1次側が220μH程度で2次側がなんと5.7mHという高インダクタンス。240pFを抱かせるとちょうど136kHz近辺に共振します。2個使って複同調回路にしようかな。しかし、このコイルって一体何につかわれたのでしょうか。

2014年4月14日月曜日

われ悪戦苦闘中なり(DDS-VFOその3)

アナデバのAD9834を使ったDDS-VFOもいよいよCWキーヤーと送受信制御プログラムを組みこむ段階に入りました。

配線がごちゃごちゃになってきた

Timer1を使って1msごとに割り込みを入れ(Timer0と平行に。18Fシリーズは2段階の割り込み優先度が設定できますが、プログラムメモリがめっさ大きくなってしまったので却下^^;)カウント用の1msフラグを立てて、あらかじめ設定WPM値から計算した短点時間をカウントし、短点とウエイトを加えた長点を出す関数に渡してパドルの状態(dot, dash, スクイーズ)に応じた符号を作り、さらに送受信制御関数に渡してブレークイン動作を行うという構成です。

一応回路図を。部品は秋月でほとんど揃えられます。
これでも汎用VFOとしては十分。PICのピン数はかなり厳しい...

プログラムが複雑になってきてかなり手間取りましたが、一応キーヤーとしても動作するところまでこぎつけました。ただし、長短点メモリのないIambicAもどきのためまだまだスムーズに打てません。最低限長短点メモリはつけないといけませんね。

また、ブレークイン制御では送受のたびにDDSに周波数設定コマンドを送っているわけですが(送信受信で局発周波数が変わるため)、しばらく打ち続けているとLCD表示が乱れてしまいます。SPIコマンドが衝突するのかもしれない、ということで送信中のビジーウエイト命令も置いてみましたが効果ないところを見ると、どうやらピン数を節約しようとSPIのSCLKとDATAラインをDDSとLCDで共通化したところが怪しいという結論に^^;ブレッドボードで組んでいるので信号が不安定なのかもしれませんが、やっぱりケチるとダメですかねぇ。

今回まで使用したPICは18F14K22という20ピンPICで、CWトランシーバーとしてキーヤーやら詰め込もうとするとピン数の少ないSPI LCDを使用しているとはいえもう限界なのでしょう。これから先は上位で28ピンの18F26K22に切り替えようと思います。これも秋月にありますが220円と安い上にプログラムメモリも64KB、SRAM3896byte、EEPROMも1024byteと強力。18Fの中でもコスパ高いです。

18F14K22と18F26K22のツーショット
新しいPICはいろいろと強力なのに安いという不思議

それと、もうひとつポイントを。DDSなどを含めてすべて3.3V動作にしています。消費電流はそれなりに抑えられるので、電池運用を想定した作り物には良さそう。かな?

2014年4月9日水曜日

136kHz帯グラバー(仮)立ち上げ

先日製作したPA0RDT Mini-Whipアンテナを使って136kHz帯グラバーを立ち上げることにしました。

ゆくゆくは24時間稼動としてArgoから自動キャプチャした画像をそのまま公開するような形にしたいと思っていますが、まず手始めに夜帰宅してから朝の出勤まで稼動させることにしました。受信機はIC-7200Mを使いますが、直接136.000kHzに合わせUSBモードとしフィルターをwideにして受信します。PCとはUSB接続してArgoの自動キャプチャ機能で得たJPEGファイルをgoogle driveの公開フォルダに下に自動保存します。約7分毎にファイルを上書きして画像を更新するスタイルにしてみました。

現在のグラバー(仮)の受信画像はこちらです。

IC-7200MはPCにUSBケーブルで接続すると"USB Audio CODEC"として認識されるためオーディオケーブルを別に用意する必要なく、また同時にシリアル通信による本体コントロールや周波数やモード情報も取得できるので(TURBO HamlogやSDRバンドモニターで使っています)、1本のUSBケーブルで済みとてもスマートです(もちろん回りこみ対策は行っていますが、今回の場合は受信のみなので必要なさそうです)。


Argoキャプチャー画像 QRSS20モードで流してます

慣れてきたら専用受信機を作って、買ったまま放置中のIntel製NUCにArgoかSpectrum labをインストールし24時間稼動に仕立て上げたいと目論んでます。

136kHz帯はいつも移動で運用しているので稼動させたグラバーで移動先からの信号がどのように届いているかチェックできるというのは大きいです。他局のグラバーでの結果とくらべるのも有用だと思います。

これからどんどん気温が上がって移動もしやすくなる季節になってきたのでいろいろなところに移動運用しグラバーを活用したいと考えています。

2014年4月1日火曜日

PA0RDT Mini-Whip 作ってみた

先月30日は天候が荒れていたので外出は極力控えて工作していました。

今回作ったものはPA0RDT Mini-Whip Antennaです。やっぱりいまさら感ですか...(汗)

自宅での136kHz運用に当たってはいろいろ検討しましたが、現時点で136kHzの送信アンテナはなかなか自宅では立ち上げられそうにはありません。難しいのは垂直モノポール系では接地抵抗の問題と環境雑音、建物などの影響がネックとなっています。SRAも作ってはみましたがかなり巨大(15cm径の塩ビ管1m)で重量も大きく、また高インダクタンスを得るためにコイル線材長がとても長くなり、当然コイル損も通常のローディングコイルより大きく、少なくとも本格的なリッツ線を用いないと実用には程遠いと判断しました。ただせめて受信はどうにかしたいのと、別PCをつかって24時間稼動可能なグラバーを構築したいという思いから、まず最初の一歩としてMini-Whip製作しようということになりました。

前口上はこれくらいにして、回路図です。ほとんど原典に近い構成で何のひねりもありませんが、定数や部品の型番が微妙に違うのは手持ちの部品を漁った結果こうなったというわけです。


2SK125はだいぶ昔6m用のプリアンプに使うため買いためていたもので、J310の代わりとして申し分ありません。後段のTrとして原典で使われている2N5109はfTも高くIcも大きく余裕がありますが、残念ながら手持ちにはなく、用途がローバンド~LF帯に限ることと回路図からそれほどIcも流れないとみて汎用TRとしてストックしてある2SC1815GRを使いました。あとはLF帯で十分なインピーダンスが得られるようにRFCを2mH(電源供給ユニットも同様で)としてるくらいです。

組み立ては、ガラスエポキシの両面生基板をプローブ部分のみ片面エッチングで銅箔部分を除去しパーツはすべて空中配線、パネル取り付け用BNCオスコネクターと一緒にタカチのプラケースに固定しています。出来上がったMini-Whipは伸縮アルミポールの天辺のM座に変換コネクタをつないでそのまま設置し屋根より50cm高いところまで上げました(地上高9m程度)。

蓋をパチンと閉めるだけでネジ要らずの便利なプラケース

とてもアンテナとは思えない怪しい構造物(笑)

受信機につないでみると、思ったよりノイズは少ない割には中波放送はほぼフルスケールと強力に入感しています。VLF/LF帯は10kHzからスキャンすると、ロシアのAlphaやさまざまな潜水艦通信用と思われる信号が受信され、40kHzと60kHzのJJY、68.5kHzのBPCも時間帯によりますがクリアに入感します。

10kHz台の『パリパリっ』という乾いた空電ノイズが印象的
ロシアの長波放送ってもう終了したのですねorz

136kHz帯ではArgoにて他局のQRSS,DFCW信号が確認できました。

朝のとあるDFCW信号"GM TU"の繰り返し

屋外で建物からなるべく離すことと、途中にアースを施すことによってノイズレベルも思ったより高くなくて使えそうです。今回のアンテナの特性をABP-3で測定しようと思いましたが、ATTを介さないと入力オーバーでADCが壊れてしまったという話を聞いてまだ測定していません(汗)はやくATTなんとかしないと。

今度はアンテナケースと同軸接続部分に何がしか防水処置を施し、Argoを入れた専用PCを用意して24時間稼動のグラバー立ち上げを目指そうと思います。