2016年4月29日金曜日

2SK241 IFアンプからプロダクト検波へ

Si5351Aを局発、BFOに使用した7MHz帯CW受信部試作中です。

今回、2SK241を3石使い3段のIFアンプとプロダクト検波からAF出力回路まで作ってみました。

IFアンプは単独で測定しやすくするため、後段の2段分を別基板でモジュールとして組みました。


また、調整箇所を少なくしようと初段と同様に非同調のL負荷増幅回路としました。今回手持ちの68μHのマイクロインダクタを使い、4MHzにおける交流負荷抵抗は1.4kΩとなります。

増幅素子である2SK241は界隈ではおなじみですね。これはデプレッションモードのFETで、ゼロバイアス(VGS=0V)でA級動作可能であることから部品点数が少なく出来ることと、内部がカスコード構造になっているため帰還容量が極めて少なく、ソース接地でも周波数特性が良好ということらしいです。

ただ、すでにディスコンとなっていて現時点では新たに入手するのが難しくなってしまいました。幸い自分のところには20本程度ストックがあったので今回使ってみたというわけです。なお他に代替品もいくつか存在していましたが、いずれもディスコンで入手難となってしまいました。高周波増幅回路をディスクリートで作るというのはもはやマイナーなのでしょうか。しかし辛うじて使えそうな現行の石もひとつ見つけたので、それはまたネタとしておいおいと。

話がそれましたが、2段増幅回路単独の特性をAPB-3で測定してみました。


 TG出力(-50dBm)とスペアナ入力を20dBのアッテネーターを介して接続(-70dBm)して測定したグラフをリファレンスとし(0dBライン)、2段アンプを接続して9Vで動作させた結果です。

5MHzでピークとなりました。(60.33dB)このピークはインダクタの自己共振が効いているのでしょうか。試していませんが、負荷Lのインダクタを小さくすると増幅率ピークの周波数は高くなるかもしれません。

増幅率が充分なのを確認したところで、親基板に取り付けDBMで検波したAF出力を1石のTrアンプで増幅し外付けのスピーカーアンプ入力につなげ、局発とBFO入力も先に作成したSi5351A入り基板の各出力を接続して実際の信号を受信してみました。



AGCがないので強い信号は飽和していますが、感度やフィルターの効きはまずまずといった感じです。

次にAGC回路を実装して受信機らしくしたいところですが、2SK241アンプのAGCは調整が難しいらしいのではたしてどうなることやら。

2016年4月26日火曜日

Si5351A 7MHzCWトランシーバー受信部作りかけ

Si5351A制御と操作部が一応ひととおり完成したところで、次にアナログ部分の試作に入ります。

机上で設計してからすべてを試作すると色々と大変ですし、またDDSのときに一度頓挫してしまった苦い経験から確認しながら少しずつ作っていこうと思いました。

まずは受信部から、シングルスーパーを想定して最初にプリアンプ、周波数変換、クリスタルフィルター、中間周波増幅初段部分まで作りました。

Si5351Aの出力レベルが充分高いので、ミクサーや検波にはDBMを使用することにして挿入損失を見越して2SK241の1段プリアンプを置き、通過帯域300Hzの4MHz5poleのクリスタルフィルターを通してプリアンプと同じく2SK241で1段増幅したところで一度区切りました。

クリスタルフィルターは以前実験したときにも使用した、4MHzのHC49US小型水晶振動子を5本使ったラダー型のものです。aitendoで10本150円でした。

 この手のものは以前秋月で購入したものと同様に端子間容量が1.7pFと小さく、ネットワークアナライザで測定した直列共振・並列共振周波数差が4kHzほどと狭く、Qも高いためFilterDesignで割り出した通過帯域300Hzのフィルターは、入出力インピーダンスが1.4kΩで高めの上にグラウンドと並列に挿入する容量も小さく、やはりSSB用など通過帯域が広いフィルターにはこの手の水晶振動子は不向きであろうと再認識しました。

フィルターモジュール 100円ちょっと
FilterDesignで測定したXTALの各パラメータを入力して割り出しました
通過帯域はやや広めの400Hz程度でした
測定条件が整っていませんが、挿入損失は約10dBといったところでしょうか。通過帯域も若干300Hzよりは広くなりましたが通常の運用にはこれで充分でしょう。

 この状態でVFO部の局発出力を接続してIF出力をFT817NDのアンテナ入力につなぎ、4MHzにダイヤルを合わせ、適当なアンテナをつないでワッチしてみました。

クリスタルフィルター付きのクリコン(死語?)といった感じ


 817直接受信よりも信号強度が強くまずは一安心。後日SGとスペアナで確認しようと思います。

次は中間周波増幅後段と検波回路へ進めます。

2016年4月19日火曜日

Si5351A VFOの続き

7MHzQRP TRX用に開発していたSi5351A&TRX制御プラグラムがほぼ書きあがったので、改めてSi5351Aの動作検証しました。

各クロック出力に0.01μFのカップリングコンデンサをつなぎ50Ω抵抗で終端。オシロで観察するといずれの出力(CLK0:BFO用4MHz、CLK1:TX用7MHz、CLK2:局発用3MHz)も±1Vの矩形波となり、オシロ内蔵のLPFで波形整形すると約0.7Vrmsの正弦波が観察されました。約10dBmの出力となります。

APB-3によるスペアナモードでの観察でも基本波は10dBm出力だったのですが、CLK2局発信号を20MHzスパンで見てみると...


高調波やBFO用波形以外に基本波や高調波周辺約370kHz毎にスプリアスが観察されました。 基本波に対して最大-50dBと無視できない大きさでしたが、BFOの4MHzやTX用の7MHz出力では見られません。ただ、BFOも4MHz以下に周波数を徐々に下げると同じような柱が目だってきました。

そこでプログラムをチェックしたところ、Si5351Aの設定パラメータの規定範囲を逸脱した場合このような現象になるようでした。ただPLL自体は仕様より結構広くロックするようでした。

設定パラメータをおさらいすると...

1.VCO周波数設定(PLLA, PLLB)

 fvco = fXTAL x (a + b / c)
    a...15~90, b...0~1048575, c...1~1048575, fXTAL = 25MHz or 27MHz

2.VCO分周設定(MultiSynth0,1,2,...)

 fout = fvco / (d + e / f)
    d...4~900, e...0~1048575, f...1~1048575

となります。

プログラムでは2.の分周設定を1/100に固定し、希望周波数のMHzオーダーの4倍を1.のaに代入。それからMHzオーダー以下1Hz桁までをbに代入、cを固定値250000に設定しbを可変することによって最小1Hzオーダーで可変できるようにしていました。

この方法では4MHzや7MHzであれば、aの値は各々16、28で規定範囲内に入っていますが、3MHzの場合は12と規定範囲下限の15より下回ります。この設定でも見かけ上3MHz台は出力できますが、スペアナで見るとご覧のように酷い状態になってしまいました。

そこでTX用以外はa,bの値をさらに2倍してa値を規定範囲内に収め、2.のVCO分周設定を1/200にプログラムを変更することによって妙な近接スプリアスは解消しました。

当たり前のことですが、リファレンスの規定外で使用すると何かしら不具合が起こることは覚悟ですね。というか反省^^;

プログラムはメッセージ記録・再生機能と設定メニューを実装することで一応の完成と相成りました。

次はいよいよアナログ部分に進みたいと思います。