2016年10月24日月曜日

千葉コンとカレーとE級アンプと

なんだか意味不明のタイトルなのですが、まずは一発目。

ちょっと報告が遅くなりましたが、10月16日に開催されました第31回オール千葉コンテストに参加しました。

いままでどよよん無線技士さんと一緒に千葉県を移動して個人で参加していましたが、今回某DX & コンテストバリバリクラブ局(笑)のお誘いを受け、136kHzと1.9MHz、14MHz担当として四街道の設置場所まで訪れました。

コンテストは昼の12時からスタートなのですが、通常の移動運用のように設置場所までアンテナの設置を行ったりしなくてはいけなかったので朝8時過ぎと早めに現地入りしました。

もうすでにメンバー数名が準備を始めておりました。実に気合が入っています。メンバーは自分以外コンテストに積極的に参加し入賞しまくりな精鋭ぞろいで、普段ほとんど参加していない(千葉コンの136kHzと1.9MHz以外は)自分がどこまで貢献できるか運用面がかなり心配でした^^;

ともあれ今まで実績のあるバンドでがんばるというわけで、早速いつものように136kHz兼1.9MHzの短縮バーチカルを立ち上げました。

四方を電灯線に囲われていて、先端数メートルだけちょこっと顔出している
タイヤベースに12m長のグラスファイバーポールを差し込んで12m垂直部と頂点から斜めに下ろす10m長の容量冠2条をアンテナエレメントに、0.6x0.9mのガルバリウム鋼板10枚を下に並べてアース板としました。ローディングコイルは先日設置テストのときにインダクタンスを調整した『VARIOMETER3改』を136kHz用に、60mm径のプラスチック円筒に園芸用アルミ線を巻き、同調用タップとマッチング用タップを設けた1.9MHz用の小さなローディングコイルを用意しました。

1.9MHzは実質最後の1時間前後からのスタートですが、136kHzは最初の1,2時間で大体運用局との交信が終わるため、そのあとバンドチェンジの際ローディングコイル交換だけで済ますため1.9MHzのコイルもあらかじめ調整しておきます。


左はおなじみ136kHz用ローディングコイル『VARIOMETER3改』に絶縁型インピーダンス変換トランスと高周波電流計を接続したもの。右は1.9MHz用のローディングコイル・マッチングセクションつき(コイルから同軸に接続した直後にCMCを挿入)。

こんな感じで、すぐにバンドチェンジが可能な状況にして12時のスタートを待ちます。とそのまえに、メンバーみんなでお弁当食し、燃料も補充(謎)

スタートは136kHzから。県内局とお隣の茨城県の局計3局とQSOできました。しかし、おもに西側の神奈川県など数局移動されていてこちらのCQに応答されていたそうですが、残念ながら信号を捕らえることは出来ませんでした。受信ノイズはそれほど酷くないと思ったのですが、ここは住宅地のど真ん中でやはり周辺ノイズで信号が埋もれてしまったようです。1.9MHzもこちらからの信号は結構届いていても受信が厳しくて、しかもQSBが深いため何度も再コールやNR AGN?繰り返してしまいました。

いずれのバンドもしっかりと同調したアンテナを使ったことで飛びそのものは悪くなかったようですが、垂直系はノイズが多く受信環境をどうするかが次回への課題となった運用となりました。

18時終了時にはすっかりあたりは暗くなっていつものように暗闇の中撤収作業を行い、いよいよお楽しみの打ち上げカレー食事会へ移動しました(こっちがメインとかいわないように)。

検見川のシタール インドカレーNo1です^^v
こちらは知る人ぞ知るインドカレーの名店で、いつも順番待ちになります。カレーはもちろんのこと、サイドメニューのタンドリーチキンやシシカバブなど全部美味しいのです。今回は3種類のカレーを戴きましたが、やっぱり美味しくてコンテストの疲れも吹き飛んで幸せになります。

そんなわけで市街地で136kHzがどこまで出来るか心配でしたが、なんとかQSOも出来たのでホッとしています。課題も出来たので、また次回挑戦できるといいなと思っています。

コンテスト風景はぜんぜん撮らなかったので、見たい方はJO1YYP / わいわいぴークラブで検索してお楽しみください。

最後に、コンテストも落ち着いたので7MHzQRPトランシーバの続きです。

最終プロトタイプも無事動作まで漕ぎ着けましたが、ひとつ気になることが。

それは送信部のBS170の発熱が著しいことです。2パラの矩形波スイッチング動作で効率も60%程度のものですがスイッチング損失が意外と大きいようで、連続キャリア送信では触れないくらいに発熱してしまいます。メモリチップ用の小型ヒートシンクでは焼け石に水で、だんだんと出力レベルが低下して1分も持たなさそうな状況です。普通にCW符号の送信をしばらく行ってもかなり熱くなるため、このままでは実用に供しないと考えていました。

回路的にはKD1JVが好んで使用しているPA部も同様な構成ですが、Tribanderの3パラBS170で5W出力でもヒートシンクレスで問題ないところを見ているので、公開されている回路を眺めて考えていましたがなぜ高効率なのかどうにもわかりません。construction manualにはC級アンプで高効率と記してありさらに悩んでしまいましたが、ここはひとつ頭を切り替えてE級アンプに目を向け実験してみました。

参考にしたのはこちらの本。


規模の異なる4台ほどの高周波E級アンプの設計方針から実践まで詳しく解説している良本です。こちらに解説している計算方法などを参考に試作機1号のPA部にE級アンプ実装実験を行いました。

下がE級用のフライホイール組み込み後の回路 上は組み込み前のオリジナル


もはやユニバーサル基板の表側の余裕がないため、フライホイールのインダクタとコンデンサは裏に装着。ロジック出力とドレイン電圧にオシロスコープのプローブを繋ぎ波形を観察しました。

赤がBS170のドレイン電圧 黄色がドライブ段出力波形
 ドレイン電圧はFETオフ時正弦波の上半分のような綺麗な弧を描いており、計算に近い結果が出ているようです。ドライブ段出力は90MHz付近で振動していますが、実装環境に由ると思われるので最低限のRCスナバ回路を施すにとどめています。

赤はインピーダンス変換トランス前の出力波形
プローブをLPF前の出力に繋ぎ変えてみたところ、すでに正弦波に近い綺麗な波形になっていました。

また、連続キャリア送信でも出力もダレずにBS170も少し暖かくなる程度でした。

ドレイン電流の検討はまだ行っていませんがこの状況からE級に近いソフトスイッチングが実現でき、おおむね実験は成功したのかなと思っています。

ただ、最終プロトタイプに組み込もうとするとこのままではコイルが2つ追加となってしまう(最終プロトタイプではRFCとインピーダンス変換トランスをひとつのコイルで兼用しており、一旦分けた上でフライホイール用コイルも追加するため)という問題が残ります。スペース的にはなんとか組み込めないことはないのですが、せめて1つ追加に収めたいということで、次はその解決法を検討したいと思います。

うーむ、頒布開始にはまだ道のりが(謎汗

2016年10月17日月曜日

7MHz CW QRP(p)トランシーバ動作最終プロトタイプ完成

かねてから製作中の7MHz CW 小型QRPトランシーバの最終プロトタイプが完成しました。


制御部とRF部は通常の連結用ピンヘッダ・ソケットで相互に接続しています。最初なぜか感度がとても悪くしばらく悩みましたが、配線をチェックすると局発信号線とGND線の配列が基板相互で逆になってしまい、その結果局発信号がGNDに落ちているというパターン配線間違いが判明しました。そこでGND線のピンを切断して局発信号線を正しい端子に導くようにしたところ、正常に動作しました。

アンテナを繋げワッチしてみると、オペアンプで構成したAGC回路はうまく動作しているようでしたが、強い信号のときにAGCが効きすぎているのかしゃっくり現象のような状態となり受信音が汚くなりました。

オシロスコープ上では理想的なファーストアタック、スローリリースなAGC電圧曲線を描いていましたが、AF増幅(オペアンプによる)後の信号を整流しているためか信号タイムラグによるAGC動作そのものの遅延が原因かもしれません。

プロダクト検波直後の信号を整流したほうが良いかもしれないので、追って実験してみようかと思います。信号レベルは小さいですが、オペアンプの整流回路はダイオードでいうところのVfが0.1Vレベル以下であることをオシロで確認しているので期待は持てます。

当座は整流回路内の時定数設定コンデンサの容量を大きくして並列に22kΩ程度の抵抗を繋いで立ち上がりをやや遅くしてみたところ、強い信号で若干ポコる(信号のあたまがごく一瞬大きく聞こえる)もののだいぶかかり具合が良くなりました。

実装完了したRF部 IFアンプの増幅率が大きく若干発振気味
あとは、IFアンプ部のシールドを強化して発振気味になる現象を押さえ込んでいけば良さそうです。

現用無線機と比較しても感覚的な感度に差異はほとんど無く、フィルターの切れもまずまずです。


パターン修正した基板を近々発注してケーシングに移りたいと思います。

2016年10月7日金曜日

7MHz CW QRP(p)トランシーバ 基板が出来上がってきたけれど・・・

今月初旬にP板に製作依頼していた基板が出来上がってきました。

梱包は非常に丁寧です 納期も早いのですが少々お値段高めです
 パッケージを開けておそるおそる1枚取り出します。

2種類面付けして中央にVカット入れてもらいました

表面実装ICのハンダ付けをしやすくするために、銅箔露出面は有鉛ハンダレベラー処理を指定しました(以前は指定しなかったのですが、環境面配慮ということで指定が必要になったようです)。

まずは、制御部の実装を行いました。

基板発注時にデザインルールなどの問題点はクリアしていましたが、出来上がった基板を実装完了した時点で配線パターンミスなどがいくつか重なり最初はLCDに何も表示されず焦ってしまいました。

少し落ち着いた時点でトラブルシューティングです。

PIC自体はちゃんと動作しているようなので、まずはLCD周りをチェック。

データシートを確認するとピンの割り当てがまるで違っていました。どうも回路図を描く際に16x2タイプのLCDのピン割り当てにしたのが原因でした。AQM-0802と1602は同系統のLCDのため割り当ても同じだろうという思い込みから、ピン数は同じでも割り当てが異なっているという罠にまんまと引っかかってしまいました。

そこで、SMDユニバーサル基板の切れ端に新しいAQM-0802を載せてワイヤーで接続しなおしたところ無事に表示されました。

次にSi5351Aの出力に不具合がありました。基準発振の25MHzは問題なく発振しておりデバイス自体は生きているようでしたが、3つのクロックのうち1つしか発振出力されていません。これは、ICのピンの一部の配線間違いとソフトウエア上のクロック出力割り当ての問題で、配線間違いはICのピンを一本持ち上げてワイヤを直接ハンダ付けするという力技(笑)、ソフトウエアの修正で無事に3出力出るようになりました。

最後にオーディオ出力まわりで、オーディオアンプに採用したPAM8303は8ピンMSOPタイプなのですが、本来0.65mmピッチを10pinMSOPと同じ0.5mmピッチと思い込んでしまいPAM8303の脚間隔をカッターナイフとピンセットで微妙に狭めてなんとか装着しました。とどめに出力ジャックの先端と中央スリーブの取り違えでアンプ出力が常にショートした状態になり音が出ないばかりかPAM83031本飛ばしてしまいました(汗)。新しいPAM8303に付け替え、ジャック周りのパターン配線を修正しました。

以上いくつか不具合がありましたが、要は自分の思い込みでやりすごしチェックを怠ったというのが原因で、前作の教訓が生かされていないですね・・・

気を取り直して、修正して動作した制御部です。


幸いにもパーツの寸法は問題なく、RF部とのコネクション位置もずれは見られませんでした。

次にRF部ですが、一気に実装するのではなくパートごとに少しずつ実装して動作チェックするようにしました。

まずは送信部とLPF部の実装です。


送信部は比較的単純で、Si5351Aからの矩形波とキーイング信号をロジックIC(7400系NANDロジック)で受けてBS170へのバッファとして動作します。ファイナルはBS170の2パラ接続で頭に小型のヒートシンクを貼り付けます。出力にはRFチョーク兼1:4のインピーダンス変換トランスを繋げて3段のチェビシェフ型LPFを通してアンテナ端子まで導きます。

トランスには小型のFT-37-43に0.4mmUEWを10回バイファイラ巻きとしています(インダクタンスは約50μH)。LPFのコイルにはさらに一回り小さなT25-2トロイダルコアに17ないし18回巻きしています。

基板の送信部が占める割合は受信部に比べてかなり小さくなっています。

で、実際にダミーロードを繋げて送信すると写真のように電源電圧9Vで約2W出力でほぼ想定どおりでした。ちゃんとした基板に実装したためかオシロスコープで見る限りでは綺麗なサイン波になっていました。追々スペアナでスプリアスのチェックをする予定です。

週末は出かけるため、受信部は来週以降少しずつ(フロントエンド→ミクサー→IFアンプ→プロダクト検波→オペアンプによるAGC電圧生成回路)動作確認しながら進めようと思います。

修正したパターンによる基板起こしはRF部の動作が問題ないことを確認したら発注かけます。