2017年12月10日日曜日

QRP LabsのQCX(40m版)を組み立ててみました

WSPR QRP Transmitter "Ultimate 3S" でお世話になったQRP Labs から49USDという非常に安価なHFモノバンドQRP CW トランシーバ "QCX" の40m版を入手して組み立てました。

発売開始からオーダーが殺到したようで、支払いから1ヶ月近く待ちましたが発送の連絡が届いてからほどなくキットが到着しました。


予想よりもパッケージは非常に小さく、発送元を見ると東京からでした。Ultimateのときもそうでしたが、一旦キットをまとめて国内に輸送して頒布しているのでしょうか。とにかくこの小さなパッケージに詰められているのが驚きです。自分のVNシリーズも見習わなくては(笑)




箱を開けるとぷちぷち袋に入った部品がきっちり詰められており、全バンド共通の袋とバンド依存のパーツ(LPF)の袋が出てきます。この辺も合理的ですね。色々なキットを見ると勉強になります。


共通部分の袋を開けて部品を確認します。抵抗類は同じ値で数の多いものはテープでまとめてありますが、 そのほかは無造作に入っています。ICは導電スポンジやアルミ箔に丁寧に刺さっています。LCDの保護もされており概ね丁寧な梱包で安心です。


PCBのチェックです。表面実装のSi5351AとロジックICがすでに装着済みで、部品の半田付けはリードパーツのみになっています。ここまでしてよく49UDSで収まっているなーって感心しています。


 まず、抵抗のカラーコードを読んで値の確認作業と、コンデンサの仕分けです。すでに日本語マニュアルがサイトにアップロードされており、部品リストだけ印刷して値をチェックし、対応するパーツをセロハンテープでリストに貼り付けておきます。(一部間違いがあるので注意:マニュアルpart1 8ページ目上のC11,43-46の値が『470uF "483"』となっていますが、『470nF "474"』が正しいです)数がまとまっているものはテープに細いマーカーで値を書きます。この作業は面倒であまり面白くないのですが実は一番重要で時間もそれなりにかかります。これを怠ると間違ったパーツを知らない間に取り付けて最悪原因が分からない動作不良やパーツも壊しかねないわけです。

確認仕分け作業が済んだら、一息入れていよいよお楽しみの組み立てです。


マニュアルは英語原文のpdfファイルを開いてPC画面を見ながら進めていきます。印刷してもよいのですが、膨大なページ数になるので紙が勿体ないし画面見ながらの作業で充分です。

組み立ては同じ値のパーツ毎に1ページずつPCBの画像に該当するパーツが赤色で強調されているためシルク印刷の文字を探す手間なく効率よく半田付けできます。この辺のところとても分かりやすくて良いマニュアルだと思います。

端子やポテンショメータなどを取り付ける前にコイル巻きとPCBへの取り付けが順番になっていましたが、コイル巻きが億劫なので先に取り付けました^^;

 でもって次はいよいよコイルを巻きです。5個のコイルを巻くわけですが各巻き数に対して必要な線材の長さがわからないので、toroids.infoサイトにあるパラメータ自動計算表で必要な長さを割り出して下の画像のようにメモ用紙に各コイルの巻き数と線材の長さを書いておきます。そうするとUEWも足りなくなったりせずスムーズです。


 このコイル巻きでちょっと大変なのがT1です。1つのコアに4個のコイルを巻くのですが、上の画像のように1本の線で連続して巻きます。各巻き数に到達する毎にタップをつけるような感じに伸ばしておくと良いでしょう。



 巻き終わったらタップの中央を切断して独立させコアに近いところで各線をハンダ揚げしておきます。マニュアルの方法とは違いますが、各線を1cm程度に短く揃えてPCBの穴の位置にあわせるように加工しておきます。その上でPCBの穴にピンセットなどで誘導しながら慎重にすべての線を入れます。間違いがなければ線を半田付けします。

 あと注意点はLCDのピンヘッダ部分とLCDの取り付けようスペーサについてです。



ピンヘッダ自体はそのまま取り付けて問題ありません。ちょうど中央の2ピンを切り取ってテストポイントにするように説明されていますが、手持ちのピンがあるのでLCDのピンヘッダはそのままつけました。それで、LCDを固定するための4隅の穴にスペーサをネジ止めします。マニュアルには左の470μFケミコンを横倒しで取り付けるよう指示されています。 気がつかずそのまま立てて取り付けるとスペーサーの高さが足りなくてLCDの裏側が干渉してしまいます。
 そのため、スペーサの根元にスプリングワッシャを挿み高さを少し上げることによってギリギリ取り付けできました。ただし、LCDのパターンにケミコンの頭が接触するのでLCDの裏にセロハンテープを貼って一応絶縁としました。

というわけで完成です。



 電源を入れると、最初バックライトが点灯しますが表示が見えない場合が多いです。焦らず表示が出るところまで左上の半固定抵抗をゆっくり回します。そうするとLCDにはバンド選択表示が出てくるので、エンコーダを回して40mにあわせます。

 アンテナをつなげる前にマニュアルの調整方法を見て調整を行いますが、調整は別途測定器などを必要とせず、LCDのバーメータを見ながら進められるということろもよく考えられれているなぁと感心しました。

まず同調回路の調整で、メニュー項目を8.7 Peak BPFに合わせて左ボタンを押し、BNC-J下のトリマコンデンサを回してLCDの右上数字とバーメーターが最大になるように回します。

ここでトリマコンデンサのローターの位置によってT1のSecondary3の巻き数を増減するように書かれています。自分のセットではローターが抜けた状態で最大だったので、巻き数を減らしました。一度半田付けしたので半田吸い取り線で半田除去をおこない巻き数を3回減らし(マニュアルでは5回と記されていましたが今度足りなくなるのを心配して少なくしました)、再調整してピークが得られたのでこれで良しとしました。

そのあとは受信部のPSN調整です。これはオペアンプのAF PSNの振幅バランスと、中心周波数前後(これもソフトで調整可能)の位相バランスを調整します。今度はLCDの数字とバーメータが最小になるように各々のポテンショメータを回して調整します。この調整は何回か繰り返して突き詰めたほうが良さそうです。また、中心周波数を変更するとI/Q調整も取り直しが必要です。




あとは周波数誤差修正などもありますが、基本的にはこれだけで調整終了です。

アンテナをつけてみると、


ノイズも少なめですが、信号がよく入ってきます。簡易SGで測定すると-120dBm程度まではよく聞こえており感度も申し分ありません。逆サイドバンドも信号が強すぎなければほとんど耳では聞こえず、良く抑制されていると思います。

送信はE級増幅ということで、調整なく出力が確認できます。


 13.8Vで約4W前後といったところでしょうか。別の無線機でモニタしても、キーイングは適度にソフトでキークリックは皆無でした。

 そして気になるスプリアスをおなじみのAPB-3スペアナで測定しました。


 アッテネータで60dB減衰させてAPB-3のINPUTに入力しました。


 高調波スプリアスを観察すると、2次高調波は-49dBとケース無しでも充分減衰しています。適切な金属ケースに組み込めば追加フィルター無しでも-50dBc達成できるかもしれません。


これは、許容占有帯域近傍の不要輻射を観察しています。細かい小さな山は電源由来のノイズが重畳したものと考えられます。基本波の±700Hz、±2100Hzの山はサイドトーン信号が重畳したものですが、いずれも基本波よりずっと小さいので問題なさそうです。

基本はダイレクトコンバージョン受信機でありながら実用的な感度と逆サイドバンド抑制、送信では効率の良い終段回路、少ない不要輻射とソフトキーイングなど基本をしっかり押さえながら多機能な内容でこの値段というのはすごいなとまた感心しています。

ただ個人的にはAGCをつけて欲しかったかなーと思います。それと、Sメーターの感度がAFゲイン調整と連動しているのがちょっと不思議でした。

あと、綺麗にケースに収めようと考えている場合には、AFゲインのボリウムとロータリーエンコーダ、タクトスイッチ、ジャック類はPCBに直接取り付けずパネル取り付けでリード線を使ってPCBに半田付けしたほうが良いです。そのためのランドがPCBに用意されています。

低価格ながら至れり尽くせりなキット、みなさんもいかがですか?

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