2018年1月22日月曜日

CentSDRキット製作しました(その1)

Elecraft社のKX3,KX2をはじめ、最近ではCortex-M4搭載のSTM32マイコンを搭載したSTM32-SDRやmcHFなどが手が出せる値段で手に入るようになり注目されています。

少し前では信号処理をPCに任せたタイプのSDRが主流でしたが、バンドスコープやウオーターフォール機能は大変魅力的であってもハイエンドタイプ以外ではレイテンシや安定性に少々問題があって実用性がいまひとつでした。

このリアルタイムな信号処理をCortex-M4搭載マイコンとオーディオCodecチップ、I/Qミクサ、もしくはFPGAを使ったDDCの組み合わせで済ませられるようになり、さらに小さく実用的で魅力的になっています。

いままでPICマイコンを使ってきましたが、そろそろSTM32マイコンも使えるようになりたいと思い立っていろいろと本やらネットを徘徊していたときにみつけたのが、タイトルにあるCenSDRキットでした。

前置きはこのくらいにして、CentSDRはTT@北海道さんが開発されたスタンドアロンSDRレシーバキットです。TT@北海道さんのサイトはこちら

回路構成はTT@北海道さんのサイトに詳しく解説されていますが、アナログI/Qミクサによるダイレクトコンバージョンで、オーディオCodecチップTLV320AIC3204によるADC/DACとSTM32F303CBT6によるディジタルフィルタ、復調、FFT、コントロールが行われています。ユニークなのは、局部発振とシステムクロックをSi5351Aの1チップでまかなっているところです。しかも基準発振にはVCTCXOを使用していて、STM32のDACで周波数の微調整が行われており、どのように調整が行われているのか非常に興味深いです。

というわけで、キット頒布開始のうわさを聞きつけて早速頒布をお願いしました。
冬の北海道からクリックポストで到着しました。クリックポストは安くて追跡付きで便利ですね。 VNシリーズでは箱の厚さがある程度ありポストに入らないケースがあるため、今のところ対面渡しの形式が安心かなと思いますが検討してみたいところですね。


キット内容です。表面実装部品がほぼすべてで台紙に丁寧に貼り付けてありました。回路図を見なくてもシルク印刷された部品番号にあわせて装着すればOKです。(2箇所番号の入れ違いあるので注意)キットに付属していないSi5351Aとロータリーエンコーダ、カラーTFT液晶モジュールを別途入手しておきます。

キットに同梱されている部品のパッケージはいずれもかなり小さく実装にはルーペ必須です(ROGANなので)。私はヘッドルーペを駆使して実装しました。

部品お確認後組み立て資料に書いてある組み立て手順に沿って部品を実装していきます。


実装で難しいだろうと思っていたのはVQFNパッケージのオーディオCodecチップです。しかし、実際に手間取ったのはマイクロUSBコネクタとVCTCXOの実装でした。

最初に電源周り(USBコネクタ、電源スイッチ、電圧レギュレータ)を行いましたが、装着後電圧確認のためテスタ棒をあてようとしてUSBコネクタを引っ掛けた拍子に基板のランドとともにコネクタがはがれてしまいました。端子を半田付けしたランドとパターンの一部まで・・・

コネクタを接続した状態では差し込んだプラグの柄を上下に動かしてしまうとてこの原理で 簡単にはがれてしまいます。コネクタの着脱も慎重に行うようにしなくてはいけません。

当座こんな感じでリペアしました。


これだけだとまた簡単に剥がれてしまうので、コネクタの両側にピンバイスで小さな穴を開けてスズメッキ線でコネクタを覆うようにしました。それでも微妙に動いてしまって接触不良となるので後ほどしっかり取り付けるような方法を考えます。

コネクタには余計な力を加えないようにすることと、装着するときには裏のホールにもしっかりハンダを流し込んでコネクタを固定することが肝要です。

電源関係が問題なければ、次はVCTCXOの装着です。


U3(本来はU7)とシルク印刷されたところにVCTCXOを装着しますが、4つの四角いランドのちょうど中央になるように装着することが必要です。ややずれて装着してしまってためか、最初なかなか26MHzの信号が現れず焦りましたが、一度VCTCXOを外しランドをハンダ吸い取り線を使って切りに余分なハンダを拭き取り、フラックスを塗布してVCTCXOを再装着します。フラックスが乾かないうちにちょっとずつランドにハンダを送り確実にVCTCXOの端子を半田付けします。これで26MHzの信号を確認できて次の工程に進みます。

以後その2へ続く。

2 件のコメント:

  1. こちらでは初めまして神戸の橋本です。
    関ハム2017でVN4002を購入させていただきました。
    centSDRもTT@北海道さんより頒布していただきましたが、皆さんの製作記を拝見するとなかなかハードルが高そうですね。
    USBコネクタの件はアナログディスカバリーでやった事があります・・・しかも2台
    ディスカバリー2も買いましたがいまいちだし、脱着を煩雑に行うのでコネクタ周りを半田で補強しております。
    centSDRの方はまだ部品を眺めてる状態です。
    次の製作記を楽しみにしております。

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    1. 橋本さん、コメントありがとうございます。

      昨年の関ハムではVN-4002キットをご購入いただきましてありがとうございました!

      マイクロUSBコネクタの着脱は意外に力がかかりますし、コネクタにつなげたままケーブルに上下方向の力が加わるといとも簡単に剥がれてしまいます。現在の処理も接触不良の不安が残っていますが、先日四つ足が生えているタイプのUSBコネクタをaitendoで見つけて取り寄せたので、この足の生えたコネクタを使って基板にしっかり装着しようと思っています。

      CentSDRの組み立ては確かにハードル高いですが、スタンドアロンなSDRの良い教材になりそうです。

      ぜひまたお寄りください。

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