2018年7月20日金曜日

SDR-Kitsのアンテナアナライザキット組み立てました!

関ハムの直前に届いていたSDR-Kitsの新しいアンテナアナライザFA-VA5キットを先日組み立てました。

このアンテナアナライザキットは単3電池2本駆動で10kHzから600MHzまで測定可能など他の携帯型アンテナアナライザより優れており、価格も手ごろなため非常に人気が高く、現在一時在庫切れ状態のようです。私は直接SDR-Kitsに注文して10日ほどで到着しました。

いまではICASさんが国内代理店として販売を開始されたようです。

早速梱包をほどいてキットを拝みます。


キットが収められたきれいな化粧箱に英語版のマニュアルが付属しています。マニュアルはサイトからダウンロード可能です。ICASさんのサイトでは日本語の製作、操作手順が公開されているので組み立てや操作法はそちらのほうを参照するのが良いでしょう。


パッケージ箱を開けると、表面実装部品装着済みのメイン基板、LCDとバックライト、USB-シリアルインターフェースの小基板、コネクタやスイッチなどの部品、キャリブレーションキット(100MHzまでの簡易版)、アルミケースが入っています。マニュアルのBOMで欠品がないかどうか確認します。


実装済み基板です。回路図は公開されていないのですが、MCUには16bitのPICマイコンdsPIC33が使われています。発振器はお馴染みのSi5351Aで基準発振はおそらく26MHzのTCXOを採用していると思われます。ほかにデータ保存用のEEPROM、アナログフロントエンドMCP3911、RTCのMCP7940Nなどが装着されていますが意外とスッキリしています。

さて部品の確認が終わったところで組み立てに入ります。


まずは電源スイッチ。表裏を間違えないように注意します。


次にUSB-シリアルインターフェース基板をメイン基板のランドに装着します。絶縁用の雲母シートをメイン基板との間に挟むのですが、私はすっかり忘れてしまいそのまま装着しました。レジストで絶縁はされていると思うのですが、気持ち悪いので後でリワークしました。(この時雲母シートを紛失してしまって(泣)薄くて硬めの名刺の紙を小さく切って挟みハンダ付けしました)


信号線と電源は下の1列のみです。ランドと端子をハンダを盛り上げてハンダ付けします。


次はLCDと下に取り付けるバックライトです。
LCDのピンをバックライトの穴に貫通させて密着させた状態で、貫通した部分にハンダ付けを行うわけですが、ハンダ量は最小限にしないとピンに余計なハンダが盛られてソケットに入らなくなるので要注意です。


まずピン数の少ない列は、すべてのピンにハンダ付けします。


次に反対の列のピンには左右1ピンのみハンダ付けします。

今後は、LCDが接続するソケットのハンダ付けです。
まずは下準備。


キットに同梱されているこのボール紙の短冊を取り出します。(ゴミだと思って決して捨てないでください!)


この短冊を4つに切り分けます。


切り分けた短冊を上の写真のように各ソケットのピンの間に立てて挟み通常より1ミリほど浮かせます。これはLCDを装着した時に、LCDの上面がケースの仮面と丁度同じ高さにするためです。マニュアルにはケースに収める前にLCDの保護シートを必ずはがすようにと注意書きがなされています。高さをギリギリに合わせているので保護シートを付けたままだとLCDがケースに圧迫されてLCDにダメージが加わり故障するとのことです。


あとはのこりのパーツをハンダ付けし、タクトスイッチのキャップを取り付けます。ブザーに極性があるので逆接しないように注意します(プラスが電池ボックス側になるように装着)。ハンダ付け不良を確認した後単三電池2本を入れてスイッチを入れます。


スタートアップ画面ののち早速測定開始しています。これで動作確認が取れたら、電池を一旦外して、ケースに収める作業に入ります。


4つのゴム足を通して余計な部分をカット、メイン基板の四隅をねじ止めします。

なぜマイナスねじ使っているんだろう・・・?取り付けにくいです^^;
後はBNCコネクタのねじを軽く締め、電池を挿入し上蓋をかぶせて側面をねじ止めして完成です!!

Open, Shortを加工、Loadはそのまま使えます

キャリブレーション中 20~30分かかります

キットに付属するキャリブレーションキットを組み立て本体のキャリブレーションを行います。


測定モードはいろいろありますが、操作説明を参照していただくとして早速屋上のモービルホイップの特性をチェック。7MHzはCWバンドでVSWRがよく落ちています。


次は21MHz。結構ブロードにVSWRが下がっています。


28MHzでは意外と狭く、バンド内全域はカバーしきれていませんでした。


50MHzはバンド内全域VSWRは落ちています。


インピーダンス表示(純抵抗、リアクタンス)やスミスチャート表示も可能です。インピーダンス表示は136kHzのアンテナ調整に重宝します。

そのほかWindows用の測定ソフトウエアVNWAに対応しており、USBでPCにつなげると本体の電源をスキップし、USBバスから電源供給されUSBモードとして起動します。PC側ではシリアルポートで認識されます。測定前にキャリブレーションは必要です。ICASさんのサイトに設定やオフトの使用方法の詳細が紹介されているので、そちらを参照してください。


PCのVNWAでの測定例です。スキャンも比較的速くVSWRやインピーダンス表示など同時描画できるので、屋内ではPC経由で測定するほうが便利そうです。

LCDは上蓋と隙間を作らないように高さを合わせていますが、上蓋を圧迫するなどによりLCDへのストレスが懸念されます。また、LCDユニットがそのまま露出しているので使っているうちに傷がついてしまったり、それこそ画面を圧迫して壊してしまうかもしれないので上蓋を透明アクリル板を加工したものに換装すると同時に、1mmほど浮かせて装着したソケットをリワークして浮かせた部分をなくして上蓋とLCD上面にわずかな隙間を作るように改造してみました。


これでとりあえずはLCDが保護できたのではないかと思います。
あとはシリコンラバーか何かで耐衝撃処置を施したいですね。

ともあれ手のひらに乗るアンテナアナライザとしてはかなり使えそうです。

皆さんも1台いかがでしょうか。

2018年7月17日火曜日

第23回関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM2018)に行ってきました!

去る7/14,15両日大阪府池田市で開催されました、第23回関西アマチュア無線フェスティバル通称KANHAM2018に参加してきました。

いままでは自家用車で現地を往復してきましたが、今年は新幹線と電車で現地入りしました。そのためアルコール類の画像が多くなると思いますがご容赦のほど(笑)

明け方5時自宅を出発して新幹線の停車駅新横浜駅に向かいます。新幹線の切符はスマートEXで購入しましたが、登録したSuicaだけで改札を通れるのですごく便利です。

連休初日のためか朝早いのに満席でした

ほどなく新大阪に到着、暑いので地下鉄の御堂筋線で梅田まで出て阪急宝塚線の急行に乗り継ぎ約30分ほどで石橋駅に到着。まだ9時前だったので駅前のお店が開いていなかったためコンビニで朝食を済ませ開場20分前に到着。


もうすでにかなりの暑さでしたが、開場まで時間があるので入り口付近に待機しているとオープニングセレモニーが始まりました。


国会議員さんや市長さん、関西総通の方、JARLの会長などなど一列に並び祝辞や祝電が披露されいよいよテープカット。


というわけで無事開催しました。自分はそそくさとリトルガンくらぶブースに向かい慌ててセッティング。


皆さんが持ち寄ったジャンクに囲まれながら、VNシリーズやら製作したCentSDR、Radioberry2、mcHF V0.7を展示しました。今年初めの関西ハムシンポジウムではあまり捌けませんでしたが、今回は持参したVNシリーズ3分の2が1日目で捌けました。ありがとうございます。

開場直後の慌ただしさがやや落ち着いたところで羽根田さんやtwitterでお世話になってる皆さん、VNシリーズのハード・ソフトで多大なご協力をいただいたJE3QDZ吉村さん、英語版マニュアルを監修いただいたJI3IVLさんはじめ関西和文電信同好会の方々、JARL QRP Clubメンバー、北神電子サービスの店長さんなどなどたくさんの方がブースまでおいでいただき楽しくアイボールさせていただきました。


吉村さん作CentSDRの2nd batchです。自分の1st batchより確かに一回り小さくエンコーダのLEDが光ります!自分とは違ってちゃんと側面もアクリル板で覆っていてきれいにまとまっておりました。


JE3EVI局はVNシリーズを木箱に収めておられました。LCDの窓の部分も傾斜をつけてあったり、あとレーザー加工でしょうかコールサインがを薄い木の板に刻印されて貼ってあり全体にしまった感じで大変FBです。

実用機として運用していただいているというお話をうかがい、生みの親としてとてもうれしく思いました。本当にありがとうございます。

昼食を済ませた後に屋内、屋外のブースを回ってきました。

で、屋内ブースを回っているときにハタと目に留まったものが。


 小型でかわいい電鍵やパドルをつくりだしているSUR工房さんが出展されているブースの机上に小さくて丸っこいパドルが。なにやら新製品だそうで(今年の千葉ハムの集いで初見だったそうです)、数種類の色のバリエーションがありました。見た瞬間これはVNシリーズにピッタリかもと一目惚れで、赤色を購入させていただきました。


移動用にピッタリでVN-4002の色にもよく合っています。VN-3002の青色とVN-2002の緑色も購入しようかなーと一瞬思いましたがその日は抑えました(翌日我慢できず2色購入しようと思いましたが、残念ながら緑色が完売してしまい、青色だけ購入しました。ハムフェアでコンプリートしようと思います!)

というわけで、次は屋外の展示を拝見しようと外に出てみましたが・・・


なんというか、時刻が時刻だけに外に出た瞬間からもう汗が噴き出してきます。これはたまらん、ということで・・・


車の運転もないので好きなだけ(と言ってもここでは一杯だけですが)呑めてしまいます。

すでに撤収しているところもあったようですが、 北神電子サービスさんのブースを訪ね、店長さんとJG3PUPさんとアイボールしてRadiberry2の話などで盛り上がりました。その時、縦振電鍵最高な和文命の某局とIC-7300にリチウムイオンバッテリーとGAWANTを装着してポータブル運用スタイルとした猛者な局長さんと初アイボールしました。ありがとうございます。しかし暑さで写真撮る余裕がありませんでした、すみません。(汗

そんなわけでブースを回る以外催し物は観ませんでしたが大変充実した時間を過ごしました。

一旦宿にチェックインした後石橋駅近くの飲み屋に宴会に出向くわけですが、石橋駅前でお祭りの屋台が出ていました。


というわけで飲み会前に1杯。それでもって、飲み屋でまた一杯


グラスの写真ばかりですみません・・・

やっぱりかやくご飯付きですよね!
 夜はしっかり休んで、2日目の朝駅前の阪急そばさんで朝食をとり再び会場へ。

2日目はやや人は少なめでしたが、またいろいろな方とアイボールできました。顔を合わせて趣味な話ができるのはとても楽しいです。ネット上では味わえないものがあります。それとVNシリーズが持ち込み分すべてなんとか完売しました! 組み立ては大変ですが、購入いただいたみなさん頑張って完成させて免許をおろしてぜひ運用してください。

楽しい時間もあっという間、午後3時過ぎには撤収開始し4時過ぎに会場を後にしました。

帰りに石橋駅の近くの銭湯に入ってみました。かなり汗まみれになっていたので湯につかってスッキリしました。


新大阪駅では新幹線の発車時刻までまだ時間があったので、チョイ飲み。


でもって帰りの新幹線でも・・・


というわけで、車移動でないのを良いことに気が付けば飲みまくりの旅になってしまいました(汗)


帰宅後改めてSUR工房のちびパドルを出してみました。うーむ、やっぱりVNと合うなぁとひとりでホレボレしていました(笑)


その晩3エリアの記念局が出ていたのでこのパドルでコールしてみました。小さくても剛性が高くよれよれした感じもなく小気味良い操作感覚で非常にFBだと思います。移動に持ち歩くのが楽しみになってきました。

おわり。

2018年7月13日金曜日

第23回関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM 2018)に参加します

明日から2日間(7/14、15)大阪府池田市で開催される第23回関西アマチュア無線フェスティバル、通称関ハム(KANHAM 2018)にまたまた参加することになりました。

今回もいつもの『リトルガンくらぶ』ブースにて頒布・展示を行います。ブース主の7J3AOZ 白原さん、いつもありがとうございます。こちらのブースではジャンクやオリジナルグッズなど販売しておりますので皆さん是非お立ち寄りください。

目印は下のポスターです。


私自身は当日早朝新幹線で関西入りしますが、開会時間には多分間に合うと思います。

で、私の出し物なのですが、


まずポケットサイズHF帯モノバンドQRP CWトランシーバーキットVNシリーズ(VN-4002, VN-3002, VN-2002)各モデル3セットずつ用意いたしました。最新ファームウエアプログラム済みで1セット8,000円です。

Keyer Mini-V2 Revision2は在庫切れのため今回は頒布はありません。

実働展示物ですが、すべてSDRキット製作物になりました。

まずはHFオールバンド・オールモードSDRトランシーバーキット mcHF V0.7


TT@北海道さん設計頒布されたSDRキットCentSDR (初期バージョン)


それから先日ブログ記事にしたRaspberryPi3のGPIOヘッダに接続するSDRトランシーバー拡張ボード(HAT)Radioberry2


机上スペースが限られているので全部は載せきらないと思いますが、一応これらを持参いたします。

当日は猛暑が予想されています。ご来場の際くれぐれも熱中症にはお気を付けください。

では当日皆様とのアイボール楽しみにしています。

2018年7月12日木曜日

Radioberry2製作記 その4(送信チェック編)

Radioberry2の受信動作は特に問題なく、VLFからHF帯までカバーしているようです。

またRaspberryPi3に渡す信号のサンプリング周波数は一番下の48kHzを選択していますが、このサンプリング周波数ではほぼ途切れることなく受信することが出来ます。しかし96kHz以上は処理が追い付かないのか途切れが頻出するのであまり実用的とは言えません。

一方送信機としてはどんな按配なのか、今回Radioberry2の送信波についておなじみAPB-3スペアナで簡単に検証してみました。

Radioberry2の送信出力からスペアナの間に30dBのアッテネータ挿入して、まず7MHz帯でキャリアを出してみました。のですが・・・


一見なんじゃこりゃ、みたいな結果です。基本波の高調波でないスプリアスが乱立していて1MHz以下にも高いレベルの信号が観察されました。これをただ眺めていても埒が明かないので、送信周波数をいろいろと変えて観察していると低い周波数で気がついたことがありました。

まず、160mバンド。


基本波の高調波はきわめて低いレベルに抑えられています。が、高調波に関係の無い柱が2本見えています。12bitDACから出力される信号波形はもともとはきれいなはずですが、この高調波に関係の無い不要信号は一体何なのでしょう。

次は136kHzで送信した信号のスペクトルです。


1MHzスパンでは、高調波レベルが2次高調波が最大で-52.23dBcとても優秀です。

ではもう少しスパンを拡げてみるとどうでしょう・・・


APB-3最大の50MHzフルスパンで観察すると、7.5MHzと15MHz付近に各々2本の不要信号が見えます。

では475kHzではどうかというと・・・


まず3MHzスパンでは3次高調波が最大で-52.57dBcとこれまた良い結果でした。

で、フルスパンはどうでしょう。


と、136kHzでの結果に良く似ています。ただし、2本の不要信号の間隔は136kHzの結果よりやや広いです。

これを見てもしやと思い、今度は160mバンドと500kHzで出力を測定して各々のスペクトラムを重ねてみました。


やや見えにくいと思いますが、それぞれ10MHzスパンでスキャンしたものを重ねています。すると右のオレンジ色の縦線を中心に出力周波数分だけ上下に不要信号が見えています。

AD/DA変換を司るAD9866のデータシートやソフトウエアのコードをまだ良く見ていませんが、どうやらこの不要信号はオレンジ色の縦線の周波数7.68MHz付近をサンプリング周波数としたときのaliasing signalではなかろうかと勝手に想像しています(違っていましたらぜひご教示くださいっ!)。そうすると最初7MHzのときに見た1MHz以下の不要信号に説明つけられそうです。

もしそうならこのADC出力がまともに扱える対象の周波数は3MHz以下ということになります。

逆に現状のファームウエア、ソフトウエアでは160m(1.8/1.9MHz)バンド以下が実用に耐えうるのではかいかと考えられました。

このRadioberry2のファームウエアの開発が進めばもっと高い周波数でも使えるようになるかもしれませんが、現状は136kHz、475kHz、1.8/1.9MHzが限界かもしれません。 これらのバンドであれば出力に簡単なLPFを挿入すればOKでしょう。

送信波スプリアスについてはある条件下で使える可能性がでてきましたが、それとは別の問題としてRaspberryPi3の処理が追いつかないのか信号が断続してしまい、結局そのままではまだまだ実用レベルとはいえません。

Radioberry2は今後も開発は随時進んでいるようなので、どこかでまた追試でもしようかと思います。