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2020年8月5日水曜日

VN-L5シリーズ正式リリース版ほぼ完成

VN-L5シリーズ(VN-160L5, VN-80L5)は人柱版頒布から約半年かけて正式リリース版がほぼ完成しました。


サイズ的には従来のVN-xx02シリーズと比較して5mmほど厚くなる程度に抑えました。

ハードウエア的には基本構成こそVN-xx02シリーズを基にしていますが、いろいろと手を加えています。

まず送信部ですが、終段をE級プッシュプル増幅回路とし電源用の大きなMOSFETに変更するなど強化した結果、電源電圧14.5V前後で20W出力可能になりました。QRPで運用する場合は7.4V(リチウムイオン電池2セル直列)に下げるとちょうど5Wとなり余裕をもって運用できます。また高効率のおかげでヒートシンクなしでも通常CW運用に耐えられます。一方出力が20Wクラスと比較的高出力のため保安機能(フューズやSWRが著しく上昇(アンテナトラブルなど)した場合の保護機能(高SWR検出し終段への電源を遮断)を付加しました。さらにプッシュプル増幅のおかげで偶数次の高調波レベルが比較的低く、LPFは定K型2段の最低限の構成でも新スプリアス基準を十分クリアしています。

アンテナ側の送受切り替えは小型リレーを使っています
右下の端子はバッテリー電源用のT型コネクタです
Si5351Aからの送信用信号の矩形波からトランスで180°位相差信号を作り、3ステートバッファロジックICの各々3つのバッファを並列接続したものに接続して、バッファ出力から終段の各NchMOSFETのゲートを駆動
受信部はVN-xx02の構成(高1中2)を継承していますが、ミクサーにはNJM2594というバランスドモジュレータICを、検波にはショットキーダイオードを使ったオーソドックスなリング検波に変更しAFアンプとAGCアンプの定数を見直して部品点数も幾らか減らしました。

複同調回路で使用するLをトロイダルコイルからチップインダクタに変更 中間周波数への周波数変換回路にはDBMモジュールからNJM2594Vに、ショットキーダイオードなどディスクリートで構成した検波回路に変更
送信部の基板に重ねたときに送信部のパーツと干渉してしまうため、検波回路のトランスは裏に装着
AFとAGC増幅には4回路入りの単電源オペアンプICを使い、回路も少し簡略化しました
コントロール部はVN-xx02シリーズと同じPIC24FV32KA302を使っていますが(パッケージはSOICからSSOPに変更しています)、表示部を従来の8x2から16x2タイプに変更し表示を充実させています。また電源スイッチについては比較的大きな電流が流れることからVRのスイッチでは余裕がないため、TX部の基板に装着したPch-MOSFET(μPA2815T1S)をVRのスイッチで制御して電源をオンオフするというスタイルにしました。

VRのスイッチはTX基板上のPchMOSFETのゲートに接続して電源オンオフの制御をしています
PICはSSOPパッケージに変更 基板上の部品密集度はそれほど高くありません
送信時のAFミュート回路やSi5351AのVDDとVDDO間にデカップリングなど追加しました。
裏側のTコネクタは同じコネクタを持つラジコンなどでよく使われているリチウムイオンやニッケル水素2次電池が接続できるように増設しました
というわけでハード的には思い描いていた機能などはすべて実装できました。

ソフト的にもいろいろと機能追加など行いました、LCDは16x2に変更したことから表示領域が広くなったため Sメーター表示の変更、XIT機能、VFO B、電源電圧表示、送信パワー、SWR表示、高SWR(10以上の極端な高SWR)時終段への電源供給をストップしてMOSFETへの長時間のドレイン電圧上昇による焼損を回避する機能を追加しました。

SWR表示

送信パワー表示
高SWR表示(SWR>10)


3Dプリンタでサイドパネルを作成してスピーカーも内蔵できるようにしました。
また本体に装着する小型のパドルも後ほど追加できるようにしたいところです。

80m版 VN-80L5(左後ろ側)160m版 VN-160L5(右下の前)
これでほぼ正式頒布版は完成しましたが、部品調達やマニュアル作成など作業はまだ残っています。

引き続き進めていきます。

2020年3月20日金曜日

VN-L5シリーズ進捗状況

昨年末から立ち上げたVN-L5シリーズの開発進捗状況です。


9名の人柱版製作者からフィードバックをいただきながら改善や機能追加を行い、正式リリースに向けてほぼ仕様が固まってきました。

大きな改善点は、送受切り替え時のノイズとサイドトーンポップノイズの低減、キーイングの立ち上がり部分を緩やかにするソフトキーイングの実装です。

ソフトキーイング処理前の送信波形(黄色)
ソフトキーイング処理した送信波形
ソフトキーイングは以前より実装したかった機能で、送信開始から数ミリ秒ほど定間隔のパルス波で終段の電源制御を行い立ち上がりを鈍化させています。

そのほかエンクロージャと小型の内蔵パドル作成しました。

プログラムの不具合もほぼ解消し、最終的な基板作成に移ろうと思います。

フィードバックいただきました人柱版製作者の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。

2020年2月12日水曜日

関西自作の会&関西ハムシンポジウム2020に参加しました

かねてから参加したいと持っていたJG3PUP山口OM主催の関西自作の会がちょうど関西ハムシンポジウム2020の前日に開催されることになり、初めて参加させていただきました。

阪神尼崎駅近くのホテルにチェックインしてからすぐ会場に向かいましたが、数分遅れで到着したところ窓側のテーブルに各参加者の自作品が並びすでに盛り上がっておりました。
窓側の広いテーブルにたくさんの自作品が!!
というわけで、10名あまりの参加者で17時からスタートし食事やお酒をたしなみながら休む間もなくずーっと自作の話を続けていたらあっという間に22時すぎ・・・いろいろなお話が聴けて楽しかったです。そのあとtwitterでも長いことお世話になっているJP3AEL高橋OMと会長でAKCメンバーのJA6IRK岩永OMと2次会にお付き合いさせていただきました。

中央の細長い黒ボディのミニパドル 優れモノです
今回ハムシンポで岩永OMが頒布した3Dプリンターで作製したミニパドルを拝見させていただましたが、非常に良くできていて操作感もとてもFBな作品でした。ご本人は売れるかどうかと仰っていましたが、多分すぐに売れてしまうだろうと予想していましたらやはりすぐに完売したようです。 増産されるようでしたら1台欲しいなあと思いました。電極にリン青銅版を使用してパドルレバーにもたわみ防止にひと工夫されていて、しかもレバーが収納可能になっています。そこにネオジム磁石も装備しているということでした。軽量なので移動運用にピッタリですね。

ホテルに戻ったのは午前1時近くですぐに就寝し、翌朝大浴場(ビジネスホテルで大きな浴場があるのがポイント)にはいって朝食を摂りゆっくりしてからチェックアウトし電車で一駅移動して関ハムシンポの開場へ向かいます。


 ブースは会場中ほどのいつものリトルガンくらぶブースでしたが机2つ使えたのでゆったりと展示できました。7J3AOZ白原OM&奥様にはいつもお世話になりありがとうございます。

今回は従来のVNシリーズ、VSWRメーターQPM-01キット頒布のほか新VNシリーズであるローバンド用コンパクトCWトランシーバVN-L5の実機展示を行いました。

下のVN-80L5はJE3QDZ吉村OMの人柱版完成機です
この新VNシリーズは基板サイズは従来のVNシリーズと同じ80x60mmのコンパクトに収めコントロール部、送信部、受信部の3枚構成となっており、送信部はプッシュプルE級増幅回路で13.8Vで20Wに迫る出力を出しながら高効率のため放熱板を設けていません。

ありがたいことに展示用として持参した9台目の人柱版キットは頒布する予定はありませんでしたが、熱いご希望により頒布させていただきました。160m版として作成していただけるようです。頑張って完成させていただきたいと思います。

昼休みに会場外のメーカー展示で目にしたのは予約が始まったICOM社のIC-705実働機でした。


自分が開局した当時はVHF帯のコンパクト機が各社から盛んにリリースされていましたが、この2020年に新しいコンパクト機が出るというのはまた感慨深いものがあります。
しかもSDRでHFからV/Uまでカバーするコンパクト機、時代の流れを感じますね。ちょっと見でしたがWF表示などフレームレートやカバー域も十分実用的です。これに今はやりのnanoVNAを携えて車を使わないマルチバンド移動運用なんか比較的手軽にできそうじゃないですか。またD-STARはもちろん搭載済みですがBTなどPC接続もできそうなのでスマートフォンを使ってデジタルモード運用など応用範囲が広そうです。


隣にIC-705瓦煎餅が展示されていましたので、思わず撮影しました(笑)
予約するともらえるそうですが、外缶がIC-705が印刷されているようです。自作派を自称するものとして中身の専売をいただいたら、これをケースにしてマルチバンドのトランシーバーでも詰め込んでやりたいなと妄想しました。

そういうわけであっという間の2日間でしたがとても濃い2日間でした。帰りに白原OM夫妻に美味しいうどん屋さんにお誘いいただきました。写真は撮り忘れてしまいましたが出汁が良く効いた大変美味しいうどんでした。ありがとうございました。

次回は関西アマチュア無線フェスティバルKANHAM2020にAKCとして参加する予定になっています。

追伸:

確定申告の時期で少し忙しくなるので遅くなりますが、関ハムシンポが終了しましたのでVNシリーズなどの通信頒布を再開します。すでに何件かお問い合わせいただいておりますがもうしばらくお待ちください。

2019年12月21日土曜日

ローバンド用新VNシリーズの試作

あっという間に2019年も終わりに近づいてきていますね。

自作界隈ではいろいろとありました。まぁそれは後ほど年末の総括で振り返ることにして、モノバンドCWトランシーバキットVNシリーズにたくさんの方が興味を持っていただいたことに感謝するとともにそろそろ新しい展開をということで、次の展開として下のバンド160mと80m用のトランシーバーを進めることにしました。

2年ほど前に160mと2200m用のE級パワーアンプの実験を行ってきましたが、その後いったんストップしていました。今年になって今までの回路、基板CAD関係をKiCADver.5に移行しまず手習いとしてデジタルVSWRメーターの回路基板設計をおこない、次に11月ごろからローバンド用のトランシーバーの回路基板設計と試作を再開しました。

KiCADは部品やフットプリントライブラリをそろえることがやや大変ですが、リストにないものはデータシートを見て最初作ってしまえば流用がいくらでもできるので、あとあと楽になります。しかも回路図と基板レイアウトがネットリストで連携していることと、ベタ塗りの更新が非常に楽なところで今までの環境(PCBE)より圧倒的に作業効率が高くなります。

で、今回のローバンド用のトランシーバーですが基本的には従来のVNシリーズの構成を継承しています。ただしローバンド用として送信部を強化(パワーUP)し、安定して20Wクラスの出力が出せるようなものにしてみました。それでも基板サイズは60x80mmというコンパクトサイズにこだわりました。

というわけで、この記事では強化した送信部を中心にプチ解説します。

回路自体は2年ほど前に公開したものを流用しています。
CTRL部からの送信用3.3Vロジック信号をロジックICのバッファで受け、5V信号にレベル変換したのちC1でDCカットしT1のトランスで180°位相差信号とします。各々の信号をD1、D2でマイナス成分をカットし再び3つパラレルにしたバッファに入力して2対のパワーMOSFET FKI10531を駆動します。そのあとC5,6,L1,2で構成するE級ネットワークを経てインピーダンス変換トランスT2でインピーダンス変換したのち定K2段のLPFを通して出力としています。

今回の回路のミソはドライブ回路のバッファとして使用したロジックICの3ステートバッファ 74541です。このICは8個のバッファが入っていて、最初の2つのバッファで5Vレベル変換、残りの6つでゲートドライバとしています。パワーMOSFETのFKI10531は入力容量が1530pFとかなり高いのですが、total gate chargeが9.0nC(VGS 4.5V)で駆動電流もさほど大きくなく、かつturn off delay 13.7ns、Fall timeが6.0nsと高速なため短波帯までの10W級スイッチングPAには十分適応できるデバイスだと思われます。秋月で1個40円くらいで安いですし使わない手はないのではと。(ただ"D"マークがついちゃっているのが残念)

LPFは定K型2段構成ですが、プッシュプルで偶数次の高調波が抑えられており2次高調波の周波数で-20dB台でも送信波の測定では-60dBc近くまで2次高調波を抑える事が出来ています。

あとキーイングはVDDとSi5351A制御で行っていますが、VDDのコントロールにはDMG3415Uという小さな表面実装型Pch MOSFETを2つパラレルにして実装しています。この小さなパッケージでもID -4.0Aと結構大きいので数A程度の電源制御に好んで使っています。

そういうわけでKiCADで回路図を書いてから同じソフトのPCB CADに転送してパターンづくり、ガーバーデータ生成、PCB業者にアップロードして1週間程度で基板が送られてきます(なんという便利な世の中なのかと実感する瞬間(笑)。

 実装した送信部です。


パワーMOSFETの一つは裏側に装着していますがいずれもヒートシンクレスです。出力は13.8Vで20W前後、リチウムイオン電池2個直列の7.4Vでは約5WのQRPとなりました。
効率は全体のシステムで75%程度とまずまずでした。

そのあと受信部を実装し、CTRL部、送信部、受信部の3枚重ねとして試作機が完成しました。



こちらは80m版の試作機 E級ネットワークとLPFの定数変更で対応可能です

まだ修正や追加実装などを経て基板を再発注し、最終的な試作機が完成したら年明けのどこかのイベントで展示できるかもしれません。キットとしての頒布はまだその後ですね。

2019年4月21日日曜日

CQ hamradio 5月号に紹介されたVN-4002

大変ありがたいことに、先般CQ hamradio 2019年5月号にVNシリーズ(VN-4002)の紹介記事を寄稿する機会をいただきました。

商業誌に寄稿した経験はなくはないですが、作家などの文章書きを生業としているわけではない所詮は素人ですから雑誌の意向に沿った気の利いた文章などはなかなか書けません。にもかかわらず体裁含めきれいにまとめてくださった編集の皆様に感謝申し上げます。


原稿のやり取りの中で、編集者の方のメールに『読者にこのキットの魅力を伝えたい。特徴を箇条書きに。』とありました。

え?『魅力』ってなんだろう・・・考えたことがなかったのでしばらく悩みました。

もともとこのトランシーバーをどうして作りたかったのかっていう最初の動機をたどってみました。それがもしかしたら魅力につながっているかも、ということで。

カムバックした数年前ネットで海外の様々なQRPキットを取り寄せては作っていました。このときから移動用で実用的な無線機を作ってみようと思い、どうせ作るなら小型にしてマイコンを取り入れてメモリーキーヤー内蔵したりなど一台で完結させてしまおうと欲張りな仕様を考えました。

最初はブレッドボードからスタートし、ユニバーサル基板にまとめ、プリント基板を外注した初めての人柱版から現在に至るわけですが、一貫して目指したところはいかに小型にするかということと、十分な受信性能と送信出力、無線機としての機能も充実させるということでした。

実際に頒布を継続している中で、頒布させていただいた方々の使用感を眺めてみると、小型でいてそれにもかかわらず性能が十分であるというところが評価されているようで、このことが一つの魅力なのだろうかと思いました。

文章では表現がなかなか難しく、掲載された記事を見ても大きさなどは例えば実際の市販のハンディ機などと横並びさせた画像を出しておけばよかったとか実際の移動運用レポートをもう少し具体的に挙げるなど何点か反省点はありますが、紹介記事としては十分なのかもしれません。

ともあれ自分がこういったものを作りたい、という思いを忘れずに新しいプロジェクトを進めていこうと思っています。

2018年9月25日火曜日

3Dプリンタ導入しました

2年ほど前にKick Starterに出されていた、Snapmakerという3Dプリンタ、レーザー加工、CNCがひとつのセットにおさまるマルチ工作機械にBackerとなって、今年春ごろ手元にセットが届いたきりになっていましたが、8月の終わりにいろいろなイベントが一息ついたところでようやく組み上げました。

コンパクトにまとまっています
本体以外にPLAフィラメントや必要なものがすべて入っています。
マニュアルどおりに組み立てると約30分ほどで組みあがります。エンクロージャーも追加注文しておいたのでこちらも組み上げて、本体をエンクロージャーに収めれば出来上がりです。

イラスト見ながら簡単に組みあがります。わくわくしますね
調整はZ軸の高さ調整のみで、ベースにコピー紙の切れ端を置いてキャリブレーションモードにして四隅のポイントごとにノズルの先端とベースの間隔を調整します(厚さ0.1mmの紙を挟んで調整するのが良いのですが、普通のコピー紙(0.064mm)でもノズル先端が少し引っかかるくらいでも良さそうです)。

調整が済んだら次に素材のフィラメントをプリンターモジュールにセットします。

Filament Changeモードにするとノズルがデフォルトで200℃まで加熱(必要に応じて温度上げ下げが出来ます)するので、フィラメントの先端をプリンタモジュールの挿入孔に差込み、ノズルの先から溶けた材料が細い線となって出てくるのを確認して出てきた余分な材料を除去して準備完了です。

CADで生成した3Dオブジェクトファイルを、Snapmakerのサイトからダウンロードしたソフトで読み込みます。ソフトはGコード生成するスライサーとプリンタへデータを転送してプリント動作を制御します。

Snapmaker本体のUSB端子からPCのUSB端子に接続し、ソフトでプリンタが接続されたCOMポートを選択して読み込んだ3DデータをPreviewボタンをクリックすることでGコードが生成されます。

印刷品質はデフォルトでFast, Normal, Bestが選択できますが、各パラメータをカスタマイズすることも出来ます。通常はNormalで十分です。他にフィラメントの種類(PLAかABS)、Adheision、Surpoortの種類、拡大縮小、印刷位置の調整など一通り細かく設定することが出来ます。

フィラメントはPALとABSという素材が良く使われているようです。加熱して溶かした素材を積み重ねて形を形成する仕組みのため、材料が冷めるとどうしても収縮してしまいますが、PLAは収縮率が少なくABSはやや高いためABSではプリント中に形成物に亀裂が生じたりして扱いが難しいです。またPLAは後加工がやや困難なことと、温度や衝撃に弱くお湯でも柔らなって変形してしまうという欠点があります。

ほかにはナイロンやPETなどいくつかの素材が選択できますが、それぞれの特徴があるため用途に応じて選択する必要があります。

お試し印刷。Makerfairのキャラでしょうか
それからオリジナルの3Dデータを生成するには3D用のCADが必要になります。フリーのソフトやプロフェショナルにも使える本格的な3D CADなどいろいろありますが、最初から複雑なものを作るというわけではないので、FreeCADというオープンソースなフリーソフトを導入してみました。


Windows, MacOS, Linux上で動作するマルチプラットフォームなソフトです。


詳しい操作法については割愛しますが、基本図形を組み合わせることによってこのような部品の3D図を作成する事が出来ます。

出力ファイルもSTL、OBJ形式などにエクスポート可能で、3Dプリンタソフトに読み込ませてGコード生成が可能です。

で、早速VNシリーズのケースを設計試作してみました。

穴の大きさや位置など当然のことながら正確です
念願の内蔵スピーカーもうまく配置できました
基板の色に合わせてみました
材料の収縮や、プリント時の剥がれによる変形など失敗しながらひとつづつコツをつかんでいます。

電子工作と同様に3Dプリンタによる造形も奥が深いです。

楽しみながら上達していきたいですね。

2018年5月19日土曜日

VNシリーズの受信部ミクサーと検波回路変更実験とデイトンでの新製品発表

小型QRP CWトランシーバのVNシリーズの受信部のミクサーと検波回路にはダイオード構成の小型DBMモジュール(ミニサーキット社のADE-1+)を使っていますが、信号ラインをDBMに合わせるためいったん50Ωに変換するトランスが必要になります。このトランシーバでは3つインピーダンス変換トランスを使いインピーダンスマッチさせています。

出来合いのインピーダンス変換トランスはあるにはあるのですが、結構高価(ミニサーキット社製のはDBMと同じくらいの値段するので3つも使うとコストが^^;)なので小さいメガネコアに細いUEWを巻いて自作しています。実装してみるとうまく動作しており、自作にしては実用的なレベルと自画自賛していますが、いかんせん巻かなければいけないコイルが多くてどうしたものかと考えておりました。

そこでバラモジ用のICを使えばインピーダンス変換トランスを省略でき変換ロスも少なくなると思い、人柱版のRF基板上のDBMと換装を試みました。

バラモジ用のICで現在入手可能なものはSA612、MC1496、NJM2594あたりになるでしょうか。このなかで、5V以下の動作が可能、外付け部品が少ない、コストが安い、という条件を満たすのはNJM2594ということになりました。

早速秋月でNJM2594とDIP変換基板を購入してRF基板の1stミクサーと検波用のDBMとトランスを除去しDIP化したNJM2594を配線し装着しました。


プリアンプと2段目IFアンプのドレインにチップインダクタを介して電源供給とし、0.01μF程度のカップリングコンデンサで各ポートと接続しています。

実際受信してみると換装後DBMのロス分感度が上がった印象ですが、オリジナルとSGを使って比較する限りS/N自体は変わらないようです。

また7MHz帯ではすぐ上に中国大陸からの放送局の強力な信号が夜間見られます。この放送の通り抜け現象が以前人柱版で報告されており、近くの強信号に対する各ステージの信号の状況をABP-3を使ってオリジナルとNJM2594換装モデルを比較してみました。
受信部ブロックダイアグラムと測定ポイント
ちゃんとしたプローブではないのであくまでも簡易的に・・・
 ABP-3はスペアナ、ネットアナ機能だけではなく独立したSGとしての機能を持っています。下の画像のようにいくつかの機能を起動させてPC上に結果を同時に表示させる事が出来ます。さすがに同時計測はできませんが、結果を比較するには便利です。


左上はSGの設定画面です。出力は0dB(-14.3dBm)から-70dBまで、発振周波数は50MHz1Hz単位まで、AM、FM変調など必要十分な機能を備えています。
他はスペアナ画面でそれぞれ独立して設定を変更する事が出来ます。ただし同時測定はできません。

SGの出力周波数を7.4MHzに設定し、出力レベルを変化させながらオリジナルDBMとNJM2594換装後のモデルとで各々測定ポイントで観察しました。

全部提示すると長くなるので、SG出力が-44dbmと-14dBmの場合の結果を。

まずダイオードDBM ADE-1+の場合。

ADE-1+入力レベル-44dBm
ADE-1+ 入力レベル-14dBm
-44dBmはSメーターでいうところのS9+30dBでまあ比較的強力な信号というところですが、検波入力まで周辺に余計な信号は見られません。
一方-14dBmの場合(S9+60dBと非常に強力な信号に相当) 、局発信号と入力信号との相互変調波が出現しています。AGCをはずしていないので正確ではありませんがおそらくミクサーには0dBm以上入力されていると見られます。
それでも周波数変換後クリスタルフィルター通過しIF増幅後の検波前では不要な周辺信号はカットされています。

次にNJM2594ミクサーの結果です。

NJM2594 入力レベル-44dBm
NJM2594 入力レベル-14dBm
ADE-1+よりもやや相互変調波による不要信号が目立ちますが、検波前ではカットされています。

配線の兼ね合いでちゃんと実装すればもう少し良い結果になると思いますが、トランスレス化したICミクサーでも問題はなさそうです。

次に強力な大陸からの放送の通り抜けレベルについて実験検証してみます。

スペアナの測定範囲を広げて(0-50MHzフルスパン)検波前に目的周波数周辺の強力な入力信号がどのレベルまで通過しているのか調べてみました。

ADE-1+ 入力-14dBm
NJM2594入力-14dBm
右上は検波手前を測定したスペアナ表示です。ADE-1+、NJM2594いずれも信号周波数7.4MHzで約-60dB(スペアナ入力に20dBのアッテネータを挿入して測定、実際は-40dBm程度と思われる)の柱が観測されています。(そのほかの柱は主にBFO信号とその高調波)

VNシリーズのIFアンプは非同調であるため、これだけのレベルの信号が通り抜けの原因とすると検波入力手前に何かフィルタ(トラップでもLPFでも)を置いて低減させるともしかしたら効果があるのかもしれません。これは今後の課題のひとつです。

あとはコイル巻きのわずらわしさの軽減を取るか、消費電流増加を抑えるのを取るか、というところですが・・・

NJM2594を2つ使うと消費電流は実測20mA以上増えてしまいます。Si5351Aの出力レベルを半分に落としたとしても15mA以上は増えています。

もともとQRP機として消費電流を抑えるとするならばどちらを取るかとても悩ましいです。消費電流だけを考えるなら素直にSA612を2つ使いIFアンプを削除すればよいのですが、入力飽和の問題やら、また回路構成が海外のQRP機と同じになってしまうのはなんというかやはり面白くありません(笑)

まぁしばらく悩んでおきましょうか。

閑話休題。

そういえば、米国のDayton HamventionでYaesuとKenwoodからHF/50MHz(+70MHz)の据え置き型無線機が発表されましたね。

FTDX101DとTS-890S・・・どちらが良いとかはおいておいて、なんかデザイン的に遠めで見ると同じように見えてしまうのは私だけでしょうか。メインダイヤルは右寄り、LCDディスプレイは左端に。しかも色が黒系統。

アナログ時代の全盛期にはメインダイヤルの上に周波数表示を置いていましたが、筐体が横長なので大きなLCDでは左に置かざるを得ないといったところなのでしょうか。

無線機だけでなく測定器系も、たとえばブラウン管のオシロスコープは表示が上になった縦長のデザインが多かったように思いましたが、今時のLCDタイプは表示がすべて左端に置かれた横長タイプですね。

それを考えると、mcHF V0.7のデザインは挑戦的ですね。一応横長ではありますが正方形に近い横長でLCDディスプレイは上に配置されています。

FBにmcHF V0.7に関する投稿をしたときに、どっかの外人が『このデザインは無線機らしくない。前バージョンの復活を待ってる』というようなコメントを残しておりましたが、既成の無線機のデザインに慣れると違和感があるのでしょうか。

無線機の外観デザインもネタとして面白そうです。一度勝手に検証でもしてみようかなと思ってしまいました。