2018年5月24日木曜日

自作(電子工作)の心構え~とある入門書より

『キットを作る。キットを創る。』という記事の冒頭に、キットを組み立てていざスイッチを入れてもうまく動作してくれない場合、このトラブルを解決すると経験値が1つ上がる、というようなことを書きました。

これは何もキットに限ったことでなく、自作全般、さらに電子部品を組み合わせる工作だけではなくPCやマイコンのプログラムにも言えるのではないでしょうか。

トラブルに遭遇した時、すぐあきらめずに一生懸命になっていろいろと調べたり、先輩に聞いてみたりして、そのうえで試行錯誤を経て自らトラブルを解消しようとします。この一連の行動こそが経験値を上げるエネルギーだと思うんです。

工作やプログラミングの上達には手先の器用さや頭の良い悪いよりも、このエネルギーをどれだけ作り出せるか、積み重ねられるかがポイントなのかもしれません。自分もまだまだですから焦らず自分のペースで、でもあきらめずに行こうという姿勢は続けていくつもりです。

ふとしたことからこういう思いのきっかけになったであろう古い本を見つけたので読み返していました。

それがこの本です。


この本同年代の自作派の無線家の皆さんは結構お持ちなのではないかと思いますが、JA7CRJ 千葉秀明OM著作のビギナー向けと称された書であります。

発刊された約四半世紀前私は確か仕事で無線や電子工作はほぼ休止状態だったはずなのですが、どこでどうして購入したのか憶えていません・・・^^;

製作記事はもちろん載っていますし、高周波回路のTIPSのようなものも多くちりばめられていて今でも大変有用ですが、それだけではなく自作にあたる姿勢というか経験談などが書かれていて非常に興味深い内容になっています。

回路図のないページが面白い(ややファイルサイズが大きいですご注意を)
全ページの大きな割合をこういった自作の心構えについての解説で占められています。記事に登場する主要パーツはすでに入手困難で、現状のパーツ事情には合わないにしてもこの心構えは読み飛ばすにはもったいない時代を超えるものだと思います。

この本をお持ちの自作派の方々にぜひ読み返してみてはいかがでしょうか。

2018年5月19日土曜日

VNシリーズの受信部ミクサーと検波回路変更実験とデイトンでの新製品発表

小型QRP CWトランシーバのVNシリーズの受信部のミクサーと検波回路にはダイオード構成の小型DBMモジュール(ミニサーキット社のADE-1+)を使っていますが、信号ラインをDBMに合わせるためいったん50Ωに変換するトランスが必要になります。このトランシーバでは3つインピーダンス変換トランスを使いインピーダンスマッチさせています。

出来合いのインピーダンス変換トランスはあるにはあるのですが、結構高価(ミニサーキット社製のはDBMと同じくらいの値段するので3つも使うとコストが^^;)なので小さいメガネコアに細いUEWを巻いて自作しています。実装してみるとうまく動作しており、自作にしては実用的なレベルと自画自賛していますが、いかんせん巻かなければいけないコイルが多くてどうしたものかと考えておりました。

そこでバラモジ用のICを使えばインピーダンス変換トランスを省略でき変換ロスも少なくなると思い、人柱版のRF基板上のDBMと換装を試みました。

バラモジ用のICで現在入手可能なものはSA612、MC1496、NJM2594あたりになるでしょうか。このなかで、5V以下の動作が可能、外付け部品が少ない、コストが安い、という条件を満たすのはNJM2594ということになりました。

早速秋月でNJM2594とDIP変換基板を購入してRF基板の1stミクサーと検波用のDBMとトランスを除去しDIP化したNJM2594を配線し装着しました。


プリアンプと2段目IFアンプのドレインにチップインダクタを介して電源供給とし、0.01μF程度のカップリングコンデンサで各ポートと接続しています。

実際受信してみると換装後DBMのロス分感度が上がった印象ですが、オリジナルとSGを使って比較する限りS/N自体は変わらないようです。

また7MHz帯ではすぐ上に中国大陸からの放送局の強力な信号が夜間見られます。この放送の通り抜け現象が以前人柱版で報告されており、近くの強信号に対する各ステージの信号の状況をABP-3を使ってオリジナルとNJM2594換装モデルを比較してみました。
受信部ブロックダイアグラムと測定ポイント
ちゃんとしたプローブではないのであくまでも簡易的に・・・
 ABP-3はスペアナ、ネットアナ機能だけではなく独立したSGとしての機能を持っています。下の画像のようにいくつかの機能を起動させてPC上に結果を同時に表示させる事が出来ます。さすがに同時計測はできませんが、結果を比較するには便利です。


左上はSGの設定画面です。出力は0dB(-14.3dBm)から-70dBまで、発振周波数は50MHz1Hz単位まで、AM、FM変調など必要十分な機能を備えています。
他はスペアナ画面でそれぞれ独立して設定を変更する事が出来ます。ただし同時測定はできません。

SGの出力周波数を7.4MHzに設定し、出力レベルを変化させながらオリジナルDBMとNJM2594換装後のモデルとで各々測定ポイントで観察しました。

全部提示すると長くなるので、SG出力が-44dbmと-14dBmの場合の結果を。

まずダイオードDBM ADE-1+の場合。

ADE-1+入力レベル-44dBm
ADE-1+ 入力レベル-14dBm
-44dBmはSメーターでいうところのS9+30dBでまあ比較的強力な信号というところですが、検波入力まで周辺に余計な信号は見られません。
一方-14dBmの場合(S9+60dBと非常に強力な信号に相当) 、局発信号と入力信号との相互変調波が出現しています。AGCをはずしていないので正確ではありませんがおそらくミクサーには0dBm以上入力されていると見られます。
それでも周波数変換後クリスタルフィルター通過しIF増幅後の検波前では不要な周辺信号はカットされています。

次にNJM2594ミクサーの結果です。

NJM2594 入力レベル-44dBm
NJM2594 入力レベル-14dBm
ADE-1+よりもやや相互変調波による不要信号が目立ちますが、検波前ではカットされています。

配線の兼ね合いでちゃんと実装すればもう少し良い結果になると思いますが、トランスレス化したICミクサーでも問題はなさそうです。

次に強力な大陸からの放送の通り抜けレベルについて実験検証してみます。

スペアナの測定範囲を広げて(0-50MHzフルスパン)検波前に目的周波数周辺の強力な入力信号がどのレベルまで通過しているのか調べてみました。

ADE-1+ 入力-14dBm
NJM2594入力-14dBm
右上は検波手前を測定したスペアナ表示です。ADE-1+、NJM2594いずれも信号周波数7.4MHzで約-60dB(スペアナ入力に20dBのアッテネータを挿入して測定、実際は-40dBm程度と思われる)の柱が観測されています。(そのほかの柱は主にBFO信号とその高調波)

VNシリーズのIFアンプは非同調であるため、これだけのレベルの信号が通り抜けの原因とすると検波入力手前に何かフィルタ(トラップでもLPFでも)を置いて低減させるともしかしたら効果があるのかもしれません。これは今後の課題のひとつです。

あとはコイル巻きのわずらわしさの軽減を取るか、消費電流増加を抑えるのを取るか、というところですが・・・

NJM2594を2つ使うと消費電流は実測20mA以上増えてしまいます。Si5351Aの出力レベルを半分に落としたとしても15mA以上は増えています。

もともとQRP機として消費電流を抑えるとするならばどちらを取るかとても悩ましいです。消費電流だけを考えるなら素直にSA612を2つ使いIFアンプを削除すればよいのですが、入力飽和の問題やら、また回路構成が海外のQRP機と同じになってしまうのはなんというかやはり面白くありません(笑)

まぁしばらく悩んでおきましょうか。

閑話休題。

そういえば、米国のDayton HamventionでYaesuとKenwoodからHF/50MHz(+70MHz)の据え置き型無線機が発表されましたね。

FTDX101DとTS-890S・・・どちらが良いとかはおいておいて、なんかデザイン的に遠めで見ると同じように見えてしまうのは私だけでしょうか。メインダイヤルは右寄り、LCDディスプレイは左端に。しかも色が黒系統。

アナログ時代の全盛期にはメインダイヤルの上に周波数表示を置いていましたが、筐体が横長なので大きなLCDでは左に置かざるを得ないといったところなのでしょうか。

無線機だけでなく測定器系も、たとえばブラウン管のオシロスコープは表示が上になった縦長のデザインが多かったように思いましたが、今時のLCDタイプは表示がすべて左端に置かれた横長タイプですね。

それを考えると、mcHF V0.7のデザインは挑戦的ですね。一応横長ではありますが正方形に近い横長でLCDディスプレイは上に配置されています。

FBにmcHF V0.7に関する投稿をしたときに、どっかの外人が『このデザインは無線機らしくない。前バージョンの復活を待ってる』というようなコメントを残しておりましたが、既成の無線機のデザインに慣れると違和感があるのでしょうか。

無線機の外観デザインもネタとして面白そうです。一度勝手に検証でもしてみようかなと思ってしまいました。

2018年4月30日月曜日

VNシリーズでALL JAちょっぴり参加

4/28-29に第60回ALL JAコンテストが開催されました。

コンテストにはあまり参加しないほうなのですが、今回VNシリーズのコンテスト実践テストということでVN-4002(7MHz)と、VN-2002(14MHz)でちょっとだけ出てみました。

※注 あくまでもイメージ画像です
自宅から運用しましたが、13.8V電源で出力3W強、アンテナは7MHzはセンターローディングのモービルホイップ、14MHzはRadix社製の短縮V型DPを給電部地上高約10mで28日夜と29日午前中に7MHz、夕方14MHz各々1、2時間程度呼びまわっていました。

夜の7MHzは、国内遠距離が開けていて5,6(47県含めて),8エリアとQSOできました。翌日午前中は中距離の局とQSOできましたが、近距離は呼べど応答なくなかなか難しかったです。夕方は14MHzに出没し西方面が主に開けていて数局QSOし、結局トータル29局QSOできました。当日は3.5MHzのコンディションが良かったようで、自作機が投入できずちょっと残念でした。しかし短時間でしたがQRPでも結構拾っていただけたので満足です。弱い信号取っていただいた各局ありがとうございました。

閑話休題。

QRPですから通常のコンテストでは相手の信号が強力であっても、呼んで必ずしも取ってもらえるとは限りません。またたいていは呼び負けること、AGN? NR?も多いので根気よく丁寧に送信することと心得ておかないとすぐにQRPってつまんないや、になってしまいます。

QRPの最大の利点とはなにより省電力であること、それに伴う必要装備の簡易軽量化に尽きると思います。移動運用することを想定すると、運用モードをCWに絞ればリグもMountain Topper Radioなど省電力な無線機(もちろんVNシリーズも)で。電源は大型のバッテリーや発電機は要らず、リチウムイオンバッテリーなら予備を持っていけば安心して長時間運用も可能。アンテナは移動用のマルチバンドDPやギボシDP、ローバンド用のバーチカルアンテナ用にたたむと70センチ弱のグラスファイバーポールを使えばシステムすべてをリュックサックなどにまとめることが可能です。

そんなわけで、折角暖かくなってきたのでどこかにQRPで移動運用に出かけてみたいと思う今日この頃です。

2018年4月24日火曜日

キットを作る。キットを創る。

ブログの左上に「技術的応談のポリシーについて」というタブを加えさせていただきました。まずご一読いただけるとありがたいです。

キットは組み立ての技術的な問題がなければ必ず動作するように作られているはずです(よほどのことがなければ)。言い換えれば自分の技術力が赤裸々に試されるというわけです。完成してすんなり動作すればそれはそれでよいですが、トラブルに当たったときに粘り強く解決する事が出来れば貴重な経験値が1つ上がるわけですし、解決した時の爽快感はまた格別なわけです。

閑話休題。

ネットのおかげで海外のいろいろなキットが手に入るようになり、嬉々として手の出せる範囲で製作してきました。とくによく作ったのはCW QRPトランシーバでした。なかでもKD1JVのTriband CW Transceiverは5W出力で任意のHF3バンドに出られる実用的な優れたもので、完成後小型のバッテリーとDPを携えて何回か移動運用でQSOを楽しみました。DDSを備え、マイコンによる周波数制御と内蔵キーヤー、高効率のファイナル(BS170を3パラにしたC級増幅とマニュアルには記載してありましたが、実測90%程度の高効率で実質CMCD ZVS動作に近いのかもしれません。とにかく放熱器なしで余裕の5W出力には驚きました。)を装備した200USD程度で手に入る素晴らしいキットです。

ただ、使っていくと機能にやや不満も出てきます。エンコーダの信号取りこぼしで同調が取りにくくなる場面があったり、周波数記憶機能が実装されていないため運用中不意に電源が落ちるとデフォルトの周波数に戻ってしまったり、はたまたキーヤーのスピード調整が面倒などなど。

こういったちょっとした不満な点を自分ならどうする?といったところから出発して、それなら自分で1から作ってみたいという思いが募り、それがKeyer Mini-V2やVNシリーズという形になったわけです。

形にしていくうえでいままで作ってきたキットの経験ももちろんそうですが、自分なりにまとめたものをたたき台として発表して、作っていただいたSNSなどでお馴染みの方に意見や要望をうかがったり、実験や提案を教えていただいたりどんどん洗練されて行くところが大事だと実感しています。自分でも思いもよらなかったことがたくさん出てきて、これはちょっと難しいかなと思ったこともほかの方のアイディアで目から鱗が落ちることなどたくさんありました。

以前KD1JV Tribanderが某SNSで話題になったとき、有志でCW QRP トランシーバを創ろうと盛り上がりましたが 当時自分もDDSやマイコンプログラムなど扱ったことがなく結局頓挫してしまったことがちょっぴり悔しくてしばらく頭の片隅に残っていましたが、VNシリーズがここまでこれたことでとりあえずは払拭できたかなと思いました。

でもって次はどうするかってことですが、 やはり最終的にはSDRというところでしょうか。もちろんPCレスのスタンドアロン型を目指します。まだまだ道は遠いですがとりあえずSTM32マイコンの習得を柱に進めていきますが、VNシリーズの派生版も進めないと、とやることがいっぱいです^^;

2018年4月17日火曜日

懐かし(といっても中国製ですが)ラジオキットを組み立てる

昔の(と言っても数十年前)電子工作の原点、出発点といえばたいていはラジオではないでしょうか。

自分は幼少のころ不意に父親からもらったゲルマラジオセット(μ同調タイプ)で、電池もないのにAMラジオ放送がクリスタルイヤホンから聞こえるのがとても不思議で、中を拝みたく分解したところから電子工作の道に転んでしまいました。

以降ラジオキットを中心に組み立ててはこわしていました。次第にBCLにはまり、友達がアマチュア無線を始めたことをきっかけに中学生になってからアマチュア無線の従事者免許(当時は電話級)を取得しました。

そんなわけで今だに同じようなことを続けていますが、先日秋葉原のaitendoを訪れた折にこんなキットを見つけました。


トランジスタではなくIC1個を使った中波短波の2バンドラジオキットです。

日本にもかつては様々なラジオキットがありましたが、2バンドのもの特に短波が受信できるキットは見たことがありません。懐かしさと珍しさからつい騒動買いしてしまいました(笑)


 キットの内容はこの通りで、小袋に分けられていて思ったよりまともそうに見えましたが・・・


 一番気になったのは同調用のポリバリコンの足の錆です。ほかにもICの足がひん曲がっていたりスペーサの足のプラスチック部分がバリだらけ、IFTやOSCコイルのコアの色が判別しにくいほど褪せているとか・・・

湿気の多い日本では保存法を考えないといろいろと問題ありそうです。少なくともポリバリコンは乾燥剤とともに袋に、もちろんほかの小袋にも乾燥剤は入れないと、と余計な心配をしております。自分のキットも乾燥剤同梱を省略しているので、ジャック類などの錆発生に気をつけねばと思いました。


 組み立て中です。PCBはまともで、レジストはやや弱いですが位置や大きさも妥当です。パーツの足の間隔もほぼ正確でパーツを加工することなくはんだ付けできました。完成後OSCコイルとIFTの付け間違いやバリコンの足の付け間違いが見つかり各々一旦外して正しく装着できましたが、はんだごての熱によるパターン剥がれもありませんでした。


 これがLEDを除く唯一の半導体、ラジオICのTA7613です。といってもオリジナルのものなのかセカンドソースものなのかよくわかりません。AM/FMラジオ用の古いICだそうですが、ネットでデータシートが拾えます。


 いくつか装着やり直しが入りましたが、約2時間ほどで完成。

電源はaitendoサイトの説明では単3電池2本ということでしたが、電池ケースの実物見ると大きすぎるので調べてみると単1乾電池2本が正しいようでした。早速コンビニで単1電池2本購入、ラジオにセットして鳴らしてみました。

まず中波帯でAPB-3のSGとOSCの周波数を観察してトラッキング調整を行いました。

家の中ではノイズを拾ってしまうので、ベランダに出てワッチしてみると当然のことながらAM放送は十分入感します。短波に関しては実際どの周波数帯を受信しているのか分かりませんでしたがダイヤルを回すと数局放送が聞こえてきます。

かすかに聞こえる短波放送の音を聞くといまでもわくわくしますね。

あとでSGで確かめてみると12MHz台を受信していました。受信周波数の幅も500kHz程度と狭くサイトの表記にあるような5~17MHzといった広帯域に受信できるわけではないようです。回路図とポリバリコンの可変容量域をみると当然なのですけどね。

いまのところ広帯域受信などの改造は考えていないので近い25mバンドに合わせるようにしました。

 最後に、


 あともうちょいといった感じで、ある意味なかなか味のあるラジオに仕上がっております。

総評として、基板やケースの精度は思ったよりも悪くない印象です。組み立てにはサイトのBOMと基板のシルク印刷を頼りにすればほぼ問題ないのですが、LEDの取り付け方や、ポリバリコンの取り付け方向を明確に、あとは保存を考えた包装、これらが改善されれば良いなと思いました。