2019年12月31日火曜日

【恒例の】2019年を振り返る

もうあっという間に大晦日になってしまいました。

年齢を重ねると時の経つのがだんだん早くなるというのは本当ですね。

今年もアマチュア無線を中心に印象に残ったエピソードを纏めてみました。

1.アマチュアキットクリエイターズ(AKC)立ち上げとイベント参加
いままでは個人的にブースのスペースをお借りしたり、通信頒布でオリジナルキットの頒布活動をしていましたが、あのCWインベーダーで世界征服を着々と進めているJQ1SRN武村OMのお声がけで集まった、私を含めた6名で同人ハードウエアキット製作集団のアマチュアキットクリエイターズ(AKC)を立ち上げるに至りました。(現在10名構成)
今年は関西アマチュア無線フェスティバルとハムフェア2019にブースを設け、メンバー思い思いのオリジナルキットを頒布しました。
AKCの活動理念と言えば大袈裟かもしれませんが、基本はキットを通じた技術交流だと思っています。キットを企画する上でもここ数年で回路設計や基板製作環境、部品調達に関する敷居がかなり低くなってきており、部品自体も性能や供給状況も常に刻々と変化してきています。この状況は自分のアイディアが比較的楽に具現化できるようになってきたということで、これを利用しない手はないと思っています。
で、同じ思いのAKCメンバー各々がユニークなアイディアを持っていてそれをキットとして拡げ、かつ享受することでまた次の新しいアイディアに繋がっていくという流れを作る土台になっているような気がします。
これからも何らかの形でかかわっていけたらなと思っています。

2.KiCADの導入
Keyer Mini-V2とVNシリーズ(4002,3002,2002)では、回路図をBsch3V、基板CADをPCBEを利用しガーバーデータ(基板製造データ)を作製していました。
Bsch3Vの回路図を目で確認しながらPCBEでパターンを描くというやり方で、2つのソフト間のPC上のデータ連携を持たないため間違いが多く、何度も基板製造発注をやり直したりしていました。
KiCADはフリーウエアでありながらネットリストを通じた連携機能など本格的な統合ソフトであり、自分も乗り換えようと思ってもなんとなく取っつきにくそうでなかなか腰が上がりませでした。
そこでKiCADが5にメジャーバージョンアップされたこともあり、QPM-01という通過型VSWR計を企画するにあたって一念発起し乗り換えてみました。
実際導入してみると、フットプリント作成などもパーツのデータシートを見ながら割合簡単に作成が可能で、何より回路図との連携やパターン修正後のグラウンドベタ塗りの自動修正機能が非常に便利で作業効率が格段に上がり、パターン間違いも非常に少なくなりました。

3.135kHzを自宅で運用し、2wayCW QSO成功
135kHzの運用の実際は、所有敷地が大きい場合を除き移動運用がほとんどでした。135kHz帯開放当初アクティブに活動されていたJH1GVY森岡OMのアンテナシステム実践理論の解説を参考にし、自分なりのアンテナシステムを構築して5年前だったかのローカルコンテストで初めて運用し5局もQSO出来たことは今でも胸が高鳴る思いです。
その後も同じアンテナシステムを使い移動による長波帯運用を行ってきました。そのためか自宅での運用はあまり考えていませんでした。
今年は千葉県を中心にした台風15号19号の影響を鑑み、今までの車での運用でなく一度自宅でやってみようということで車での運用スタイルを継承した形で自宅の屋上で構築してみました。
アンテナエレメント自体は問題なく展開することはできますが、問題はアースです。幸いにして手すりがうまい具合にアースに繋がっているのか、接続ボルトにアース端子を繋げるとアンテナ入力が75Ω前後と十分運用が可能な程度の低さだったため、ローディングコイルとインピーダンス変換トランスを経由して送受信機にアンテナにつなげてみると十分VSWRが下がり、高レベルのノイズの中からCW信号が聞こえ、2局とQSOすることが出来ました。
アンテナエレメント高は12mに及ぶため常設は不可能ですが、自宅からでも十分長波帯通信が楽しめることが分かりました。受信アンテナを送信と別にループ系にするなどいろいろと今後も工夫してみたいと考えています。

まだまだありそうですが一応こんなところで。

では最後に。

今年もいろいろとお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
皆様良いお年を。

2019.12.31
JL1VNQ / HARU

2019年12月21日土曜日

ローバンド用新VNシリーズの試作

あっという間に2019年も終わりに近づいてきていますね。

自作界隈ではいろいろとありました。まぁそれは後ほど年末の総括で振り返ることにして、モノバンドCWトランシーバキットVNシリーズにたくさんの方が興味を持っていただいたことに感謝するとともにそろそろ新しい展開をということで、次の展開として下のバンド160mと80m用のトランシーバーを進めることにしました。

2年ほど前に160mと2200m用のE級パワーアンプの実験を行ってきましたが、その後いったんストップしていました。今年になって今までの回路、基板CAD関係をKiCADver.5に移行しまず手習いとしてデジタルVSWRメーターの回路基板設計をおこない、次に11月ごろからローバンド用のトランシーバーの回路基板設計と試作を再開しました。

KiCADは部品やフットプリントライブラリをそろえることがやや大変ですが、リストにないものはデータシートを見て最初作ってしまえば流用がいくらでもできるので、あとあと楽になります。しかも回路図と基板レイアウトがネットリストで連携していることと、ベタ塗りの更新が非常に楽なところで今までの環境(PCBE)より圧倒的に作業効率が高くなります。

で、今回のローバンド用のトランシーバーですが基本的には従来のVNシリーズの構成を継承しています。ただしローバンド用として送信部を強化(パワーUP)し、安定して20Wクラスの出力が出せるようなものにしてみました。それでも基板サイズは60x80mmというコンパクトサイズにこだわりました。

というわけで、この記事では強化した送信部を中心にプチ解説します。

回路自体は2年ほど前に公開したものを流用しています。
CTRL部からの送信用3.3Vロジック信号をロジックICのバッファで受け、5V信号にレベル変換したのちC1でDCカットしT1のトランスで180°位相差信号とします。各々の信号をD1、D2でマイナス成分をカットし再び3つパラレルにしたバッファに入力して2対のパワーMOSFET FKI10531を駆動します。そのあとC5,6,L1,2で構成するE級ネットワークを経てインピーダンス変換トランスT2でインピーダンス変換したのち定K2段のLPFを通して出力としています。

今回の回路のミソはドライブ回路のバッファとして使用したロジックICの3ステートバッファ 74541です。このICは8個のバッファが入っていて、最初の2つのバッファで5Vレベル変換、残りの6つでゲートドライバとしています。パワーMOSFETのFKI10531は入力容量が1530pFとかなり高いのですが、total gate chargeが9.0nC(VGS 4.5V)で駆動電流もさほど大きくなく、かつturn off delay 13.7ns、Fall timeが6.0nsと高速なため短波帯までの10W級スイッチングPAには十分適応できるデバイスだと思われます。秋月で1個40円くらいで安いですし使わない手はないのではと。(ただ"D"マークがついちゃっているのが残念)

LPFは定K型2段構成ですが、プッシュプルで偶数次の高調波が抑えられており2次高調波の周波数で-20dB台でも送信波の測定では-60dBc近くまで2次高調波を抑える事が出来ています。

あとキーイングはVDDとSi5351A制御で行っていますが、VDDのコントロールにはDMG3415Uという小さな表面実装型Pch MOSFETを2つパラレルにして実装しています。この小さなパッケージでもID -4.0Aと結構大きいので数A程度の電源制御に好んで使っています。

そういうわけでKiCADで回路図を書いてから同じソフトのPCB CADに転送してパターンづくり、ガーバーデータ生成、PCB業者にアップロードして1週間程度で基板が送られてきます(なんという便利な世の中なのかと実感する瞬間(笑)。

 実装した送信部です。


パワーMOSFETの一つは裏側に装着していますがいずれもヒートシンクレスです。出力は13.8Vで20W前後、リチウムイオン電池2個直列の7.4Vでは約5WのQRPとなりました。
効率は全体のシステムで75%程度とまずまずでした。

そのあと受信部を実装し、CTRL部、送信部、受信部の3枚重ねとして試作機が完成しました。



こちらは80m版の試作機 E級ネットワークとLPFの定数変更で対応可能です

まだ修正や追加実装などを経て基板を再発注し、最終的な試作機が完成したら年明けのどこかのイベントで展示できるかもしれません。キットとしての頒布はまだその後ですね。

2019年12月6日金曜日

【重要】年内のキット頒布終了します

2019年ももうすぐ終わりになります。

 今年もVNシリーズをはじめ、拙キット楽しんでいただきましてありがとうございます。
 いろいろと忙しくなる時期に来ましたので、本年のキット頒布はこの投稿をもって終了とさせていただきます。

 すでに頒布希望をいただいている方は準備完了まで今しばらくお待ちください。

 取り急ぎご連絡まで
2019.12.6 JL1VNQ / HARU

 I will no longer accept this year's kit distribution (VN series, QPM-01, Keyer Mini-V2 Revision2).

Please wait for it to resume next year.

Thank you.