KX3より一回り小型で、80mから10mのマルチバンドマルチモードトランシーバということなのですが、局発にあのSi5351Aが使われているそうです。
もともとKX3と同様なSDR構成ですと、DDSよりも矩形波出力なSi5351Aがなじみやすいのかもしれません。
と、前置きはこれくらいにして。
ようやくこちらもSi5351Aを使ったQRP CWトランシーバの試作2号機が形になりました。
ケーシングはまだですが、Keyer Mini-V2 R2のように透明アクリル板でサンドイッチする予定です |
上:制御部(フォーンジャック交換済み) 下:RF部 20ピン・ソケットで接続 |
受信部は前試作機で採用していた2SK241をデュアルゲートMOSFETの3SK294に変更してプリアンプ1段、IFアンプ2段としました(4つのランドの中央にある小さな黒い四角が3SK294です。ユニバーサル基板でも実装は十分可能です)。ミクサと検波はADE-1+というMini-circuits社製のこれまた小型のDBMユニットを使ってみました。このミクサはNorCal 2N2/XX QRPトランシーバキットに使われています(もうすでにretiredになっちゃってますが)。
IF段は2段とも非同調型として、クリスタルフィルタ入力と検波前に1:9のトランスを置いています。ゲインなどまだ測定しておりませんが、AGCの効き具合など含めて検証進めようと思います。
送信部は特に変更無く、Si5351A出力から74HC04でBS170の2パラをドライブし、1:4のインピーダンス変換トランスを通してLPFに送っています。
BS170は低飽和型の電圧可変レギュレータPQ20RX11でドレイン電圧を変化させることによって出力コントロールを行っています。実際には0.5Wから2W強変化します。最小出力設定よりQRPp運用も可能になりますが、各出力レベルでのスプリアスチェックも行わないといけません。
また、PQ20RX11のコントロール端子を利用してキーイングを行っています。
BS170に通電したままでもオペレーションは可能ですが、フルブレークインを実現するためキーイング(キーオン・オフ)のたびにMPUからI2Cバス経由でSi5351Aの周波数設定を更新しています。そのためかオシロスコープで波形を観察するとキーイング立ち上がりから波形出力までに約1ミリ秒要しており 、なおかつ出力した波形は立ち上がりから1ミリ秒くらいまで不安定でした。これをそのままアンプを通すと不要輻射の源になり得るため、ソフトウエア的にPQ20RX11のコントロールを2ミリ秒だけ遅延させています。
この辺は、Keyer Mini-V2のプログラムを活用しました。
RF部背面にはSメータ感度、AGCレベルと出力調整用のポテンショメータがついています |
制御部とRF部を重ねた状態。間にシールド板を入れるかどうか考え中 |
終端型電力計で最大出力2W強とまずまず |
変更申請を通したあかつきには、軽量バッテリーとダイポールアンテナをリュックにいれて徒歩でどこか移動に行きたいですね。
ところで新スプリアス基準への適合で今後いろいろと面倒なことになりそうですが、自作機も1年以内に較正したスペアナによる測定が必要ということになってしまうとますます自作がやりにくくなってしまいます。それにTSSやJARDの保証認定のあり方もどうなっていくのか見えてきません。自作しても実際運用できなければ改良点など見出す機会も無くなり技術的進歩も停滞するでしょうし、何より楽しみが半減してしまいます。
空中線電力5W以下の送信機については測定を免除するとか、もう一歩進んで指定事項に変更がなければ速やかな届出で運用可能にするとか何とかできないものでしょうか。
JARLは自作品コンテスト毎年行っていますし、QRPクラブもイベントのブースでは様々な自作品を展示されており、自作される会員の方も多いのではないかと思いますが件についてどのように対応というかしかるべきところへ何か働きかけなど行われているのでしょうか。今度の関ハムやハムフェアなど機会があったら関係者に聞いてみたいところです。