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2018年2月21日水曜日

mcHF V0.7 component kit 製作しました(訂正事項あり)

中華製のコンパチ完成品が出回るほどの人気のあるM0NKA Chris氏のmcHFが昨年後半V0.7を頒布開始したという情報をいただきました。早速暮れにcomponent kit(MCUとその周辺以外表面実装部品含めたユーザー装着のキット)をオーダし入手しました。その後専用ケースキットも頒布開始されましたがIn Stockになるや否やすぐに売り切れてしまい、再開するまで何度かサイトをチェックしてようやく入手することができました。

現在は表面実装部品装着済みのケース付きキット(Full kit & case) として頒布されていますが、今のところout of stockになっています。(オーダーページはここ。)

入手したは良いものの年末のインフルエンザから関ハムシンポジウムとなかなか製作に入れませんでしたが、ようやく一息ついたところで一気に製作しました。


キット自体はオーダーから約1,2週間Royalmailで発送されます。今回はV0.6よりも二回り大きなパッケージで送られてきました。


component kitの中身です。V0.6よりもふた回りも大きな基板で、UIパート、Logicパート、RFパートの3パートに分かれています。それぞれのパートごとに対応する表面実装部品、とそれ以外の部品が袋に詰められていて、さらに袋の中にはBOMが納まっています。

組み立てには袋ごとに取り出してその中のBOM表の順番に部品をシルク印刷の部品番号と極性を合わせて一つ一つ装着していきますが、唯一2ピンのダイオードについてはシルク印刷では極性がわからなかったため、回路図との照らし合わせが必要です。またGalleryページをよく見ながらヘッダピン、ソケットを間違いないように取り付けます。とくに、ヘッダピンソケットのひとつはオプティカルエンコーダ端子のハンダ付け部分のうえに閲覧者かぶせるように装着するので、エンコーダの端子ははんだ付け後短くカットしないとソケットがうまく装着出来ないので要注意です。

追記: オプティカルエンコーダはハンダ付けせずに、リードをそのまま挿入してピンソケットの下側からソケットに挿入するようになっていました。もちろんハンダ付けしても差し支えはありませんが。インストラクションはよく読まないとだめですね・・・





こんな感じにすべてのパーツを装着します。V0.6のときは1週間程度かかりましたが、今回は延べ3日で装着完了しました。今回のパッケージでは、ヘッダピン2つ、0.1uFのチップコンデンサが不足していました。いずれも手持ちのもので補填してます。


次にいよいよケースに収める作業です。ケース本体は黒く塗装されたアルミシャーシと3Dプリンタで成形したフロントパネル、つまみも3Dプリンタで作成されています。


まず、一番下になるRFパートの基板を下のシャーシの溝に入れてスライドさせます。レギュレータとファイナルの石のフランジが丁度下のシャーシにあたるので特にねじ止めしなくても放熱は問題なさそうです。グリスを薄く塗っておくとよいかもしれません。

上の画像はRFパートの上にLogicパート、UIパートを重ねてパート間のピンの接続を確認しています。このキットではピンとそれに対応するソケットの位置が縦方向に微妙にずれていて正しく組み合わせるのが少々難しかったです。

確認が済んだら次はいよいよ前のシャーシを組み合わせます。


一番上になるUIパート基板をフロントシャーシの溝にはめ込みますが、その前にスピーカーを上の画像のようにシャーシの据付位置に置いてからUI基板をはめ込みます。この状態で各タクトスイッチの押し具合を確認します。自分のキットでは、POWER SWの高さが微妙に合わずスイッチの頭を1ミリほど削って収まりました。


というわけでRF基板が納まった下のシャーシにLogic基板を重ね、さらにUI基板を装着したフロントシャーシを重ねます。ピンとソケットの組み合わせに問題なければスピーカ端子の配線を繋げ、両サイドのパネルを装着してねじ止めしダイヤルノブをはめて完成です。

多少追加加工は必要でしたが、V0.6中華ケースほどではなく比較的すんなりケースに収まりました。

一応MCUにブートローダとファームウエアがインストールしてあるので配線に誤りがなければ電源を入れて起動します。起動自体は問題なく動作しましたが、ブートローダが古いためか電源をオフにしても再起動してしまうという不具合がありました。YahooのmcHFフォーラムを検索した結果、ブートローダのアップデートで解決する情報をみつけたのでDFUモードにして最新のブートローダ(4.0.0.0)をDfuSeDemo経由でインストールし、再起動問題は解消されました。ついでにファームウエアも最新版に入れ替えました。

そのほか送信出力が出なくてしばらく悩みましたが、ファイナル部の電源供給用のRFCの配線間違いを見つけ改修し、無事送信出力も出るようになりました。

早速送信波をAPB-3スペアナで観察しました。

80m
40m
30m
20m
17m
15m
12m(参考)
10m(参考)
ざっと観察したところ、V0.6のオリジナルに比べて全体的に高調波が抑制されていましたが、30mと17mは2次高調波レベルが-20dBc程度と十分抑制されていません。やはり160mを除いたすべてのアマチュアバンドで内蔵LPFの高調波を抑制するにはLPFの改造は必要です。

さらに、近傍の不要輻射を見てみます。


CWモードで送信波を観察しましたが、基本波から750Hz離れて局発リークが比較的高レベルで観察されます。帯域外不要輻射許容レベルを超えているのでIQミクサーのバランス取りも必要です。逆サイドバンドはメニューのIQバランス調整で十分抑制されますが、局発リークは抑えられないのでハード的にバイアス調整用のポテンショメータの追加が必要のようです。

それからハイバンドになるとLogicパートへ送信波の回り込みもみられており、V0.6のケースのようにRFパートとLogicパート間に遮蔽板を挿入する必要がありそうです。

というわけで、JAでこのV0.7の免許を下ろそうとするとV0.6と同様少々の改修が必要になります。

筐体は大きく改修自体はしやすそうなので、少しずつ進めていこうと思います。

2017年12月16日土曜日

暮れに何かが到着しました

急に寒くなってきましたが、海外からHOTなものが到着しました。


白い段ボール箱、以前のよりもふた周りほど大きいなぁ・・・


箱を開けてみると緩衝材に包まれた小袋がいくつか、底のほうに基板らしきものが3枚あって、とりあえずすべて取り出して机に並べてみました。


んー思ったより基板が大きいですね。


しかもうち1枚は大きな窓が3つ開いています


2つ目の基板の裏には真四角のICとUSBコネクタらしきものが装着されているようです。

果たしていったいこれは何なのか・・・っ!?

2017年9月1日金曜日

STM32開発環境の立ち上げとmcHFファームウエア改造(日本の保証認定用)

先日mcHFのLPF改造について書きましたが、今度はいよいよファームウエアに手を入れることにしました。

日本の技適保証認定の認定判断基準として、この類のトランシーバについてはエレクラフト社のKX3の例にあるように,日本では未だ開放されていない60mバンドの送信を禁止する措置を何らかの形で施さない限り認定はおりないのが現状です。

幸いにしてmcHFのファームウエアは、UHSDRUniversal Ham Software Defined Radio)ソフトウエアとしてフリーでソースコードが提供されています。

このコードを改造して対応させれば保証認定が通る可能性が高まります。

取り急ぎ今回の対応点は、60mバンド送信不可にする(バンド切り替えのリストから60mバンドをスキップさせる)ことと、40mバンドのバンド幅修正(300kHzをResion3の200kHz幅にする)です。

DSP部分はまったく手を入れる必要はないので、該当コードさえ見つければ改造はそれほど難しくないでしょう。

というわけで、今後STM32の開発もやりたいのでまず開発環境を構築してみました。

Windows OSを使い続けて久しい私にとって導入しやすいフリーの開発環境はEclipseというIDEにgccコンパイラの組み合わせになります。少々古めの記事ですが、こちらの記事が非常に参考になりました。

Eclipseを導入するに当たっては、Pleiadesが非常に便利です。Eclipse本体に様々な環境をセットで導入できます。現時点での最新版Eclipse 4.7 OxygenのC/C++用のFull Edition(Windows 64bit版)をダウンロード&インストールし、Eclipseプラグインの追加、Tooolchain(gcc arm embedded)、Build Tool(GNU ARM Eclipse Windows Tools)、OpenOCDをインストールすればSTM32の実行ファイルのビルドまでできるようになります。詳しくはリンク先を参考にしてください。

mcHFのSTM32F4 MPUは専用のブートローダも必要ですが、新しいブートローダ3.4.0をインストールすればビルドしたファームウエアをUSBメモリ経由で更新可能になります。

というわけで、必要な環境が整ったところでUHSDRのスナップショットからソースコードをダウンロードしてEclipseにインポートします。

手直しした箇所は2つです。


 ここに各バンドのハンド幅が定義されています。
その中の40mバンド幅定義 BAND_SIZE_40 の300*KHZ_MULT を 200*KHZ_MULT に書き直すだけです。

続いては、60mバンド選択スキップ処置は、


 このUiDriver_ChangeBand()関数の中で、バンドボタンUPとDOWN時それぞれの処理に60mバンドをスキップさせるように書き加えます。

改造したコードをビルドし生成されたfw_mchf.binという実行ファイル(workspaceフォルダ内のDebugMCHFフォルダに生成)をUSBメモリにコピーし、mcHF本体にUSBメモリを挿してBAND-ボタンを押しながらPOWERボタンを押すとブートローダが起動してUSBメモリにコピーされたfw_mchf.binファイルをプログラムメモリに転送してファームウエアを書き替えてくれます。

書き替え後のmcHF動作をご覧ください。


 バンド切り替えも60mバンドは選択されず、メインダイヤルで60mバンドに合わせても送信できなくなります。

これで変更申請の保証認定申し込みをしようと思います。

2017年8月24日木曜日

mcHFのLPFプチ改造

日本でもmcHFキットを入手され組み立てて動かす方も増えてきました。人気があるのか最近ではout of stockが続いています。

先日のCool CQ SDRファンまつりでは、縁あってmcHF実機の展示やプレゼンなどさせていただきました。その中でmcHFの送信波高調波スプリアスについていくつかのバンドで新スプリアス基準を満たしていない可能性があるということで、mcHFフォーラムにNB6M Wayne氏が提示したLPFのミニマムな改造による高調波スプリアス改善テストについて紹介させていただきました。

Wayne氏の実験結果を抜粋引用
オリジナルのLPFでは左のように高調波スプリアスが充分抑え切れていません。自分の測定結果も同様の傾向でした。Wayne氏は各バンドのLPFの出力側のLにパラレルにキャパシタを追加することで160mを除くすべてのバンドで高調波スプリアスを充分抑えることに成功しています。

SDRまつりも無事終了して少し時間が取れたので、私もWayne氏に倣ってLPF改造テストを行ってみました。


ひさびさにmcHFのケースを開け、RFボードを取り出し、L21,22,23,24にパラレルに各々キャパシタを追加しました。改造後バンド毎に以前に計測した結果を比較してみました。(2次高調波レベルの比較です)

160m(改造前(左 -16dBc)と改造後(右 -16dBc)

80m(-40dBc ⇒ -73dBc)

40m(-53dBc ⇒ -61dBc)

30m(-31dBc ⇒ -70dBc)

20m(-57dBc ⇒ -62dBc)

17m(-25dBc ⇒ -56dBc)

15m(-47dBc ⇒ -56dBc)

12m(-50dBc ⇒ -73dBc)

10m(-46dBc ⇒ -60dBc)

とまぁたった4つのキャパシタ追加で高調波スプリアスはかなり改善しているようでした。詳しく精査していませんが回路的には最終段を楕円フィルタ化して切れをよくして高調波を減衰極に置くなどしているのでしょうか。ミニマムな改造の割には効果が高いです。

但し、ハイバンドはインピーダンスが50Ωから離れるのかVSWRが高くなります。内蔵のVSWRメーターでは50Ωのダミーロードを接続すると10mバンドではVSWR2.5程度まで上昇します。20mバンドよりも低い周波数ではVSWRは上がりません。どうやらハイバンド用のLPFは全体を設計しなおしたほうが良さそうです。

もともと17mから10mまで同じLPFでまかなうには少々無理があると思われますが、当初mcHFはHF帯全域カバーを想定していなかったのかもしれませんね。

結局160mバンドまでカバーしようとすると4バンドでは無理で5バンド化は少なくとも必要と考えます。ファームウエアのバンド切り替え構成を換え5バンド化してオールバンド対応にしてみたいです。

まぁぼちぼち楽しみながらやっていきます。

2017年6月8日木曜日

mcHFのLCD交換とEEPROM装着

先日mcHFに採用されているHAOYU製の2.8インチタッチスクリーン付きLCDモジュールが到着したので換装してみました。

注文から大体2週間前後で到着しました

 1枚12USDとタッチスクリーン付きLCDモジュールとしては安いので3枚注文しました。aitendoも安いですが、HAOYUのモジュールもコストパフォーマンス悪くなさそうです。

キットに同梱されていたHY-28B同じ型番で間違いないです
 キットに同梱していたモジュールはSPI ONLYの表記がなされていましたが、このモデルはジャンパ線を変更するとパラレル接続も可能なので、他にもいろいろと応用が利きそうです。折角なので余ったモジュールは別の作り物で使ってみようと考えています。

 で、壊れたモジュールをまずはケースからはずした本体と接続して起動表示テストしました。


 なんのことはなく、本来の表示になりタッチスクリーンの反応も問題ありません。もしLCD表示が壊れた場合はHAOYUから同じ型番のLCDモジュールを取り寄せて換装するだけでOKということでした。

 表示テストが無事終了したところで、今度はこわさないようにケースに収める作業です。
この中華ケースは側板の端子類の穴の高さが数ミリ高すぎることによってUI基板を圧迫してタクトスイッチの押しっぱなしやLCD圧迫故障を引き起こしておりました。綺麗に塗装されているのですがためらわずに各穴を下方向にヤスリやリーマで拡げていきます。それと同時にタクトスイッチを高さの低いもの(2.5mm程度)にすべて交換し、LCDユニットを装着するピンソケットを削って高さを低くし、LCDモジュールもピンの根元についている黒いスペーサーを取り去ってピンを2mm程度までニッパで短くしていきます。本当はソケットをはずして直にLCDモジュールをハンダ付けするのでしょうが、ここは意地でピンソケットを生かして着脱式にこだわりました(笑)。

うまく高さをあわせたところでケースに組み込もうとしたときにまたもや試練が・・・

今度は、ケースにネジ止めしていたレギュレータ2本の端子が根元から折れてしまいました。1本は汎用の三端子レギュレータIC7805なのでいくらでも代替がききますが、もう一本はLM2941CTというLDO電圧可変レギュレータであまり見かけないデバイスです。回路図を見ると8V生成用で、8V固定のレギュレータで代用しても良さそうでしたが電源オンオフ関連の回路に含まれており他のもので代用するには回路の変更などもあわせて行わないといけないようです。

型番で調べると入手ルートがなかなかなくて、結局サトー電気でようやく見つかり後日何本か確保しましたが、端子が折れて無くなった元のLM2941はまだ死んだわけではないので、同様に脚を失った7805とともに端子面のモールドをヤスリで削って端子を少し露出させた状態でリード線をハンダ付けし、ハックルーで固め再利用してみました。


 この方法にすると、ケースに取り付けるときに直接ICを基板につけた状態にするよりも無理な力がかからずかえってFBでした。ファイナルのRD15HVF1も同じにしても良さそうですが、扱うのがRF信号なのでこちらのほうは従来どおり基板に取り付けたままにしました。


換装したLCDモジュールを取り付けた基板をケースインしてようやく本来あるべき姿になりました。

ついでにaitendoで偶々見つけて購入したI2C接続のEEPROM IC 24LC1025をU7に装着してみました。
aitendoで購入しましたがちょっと高かった^^;
 

 装着後システム情報でEEPROMが認識されているようですが、周波数や設定値の記録がうまくいかずそのまま装着するのではどうやらダメなようです。24LC1026を装着するようにGitHubでは書かれていたのですが、2015と2016何処が違うのだろうとデータシートを比べてみたら、I2Cのアドレッシング設定ピンが少し異なっておりもしかするとI2Cアドレスがファームウエアに記述されているアドレスと合致せずに誤動作しているのかもしれません。Modificationには組み込むEEPROMの型番によってやや方法が異なる旨の記述があったように思うのですが、面倒なので外付けEEPROMが無くても動作するファームウエアver 2.3.3に書き換え、U7から一旦24LC2015をはずすことにしました。

2.3.3はEEPROMなしで動作しないというバグを修正したもので、U7を外した状態でも動作を確認しました。

心なしかDSP処理が速くなったようで、1.6.0よりも音声の途絶がかなり少なくなったようでFBでした。

やっとこれで本来の動作になったので、これからアンテナスイッチの改造、高調波スプリアスの低減のためのLPF改造に進もうと思います。

2017年5月19日金曜日

mcHF用中華ケースとの攻防

ここのところVN4002のドキュメント作成などでmcHFから離れていましたが、eBayを見てみるとmcHF用のケースがいくつか出品されていたので1セット購入してみました。

 いずれもV0.4からV0.6まで対応しているということでしたが、過度の期待はしないでおこうと思い一番安いところを選んでみました。(掲載されている写真を見る限り2種類ほどあるのかなと思えますが実体は不明です)

free shippingでしたが1週間ほどで到着しました。


四つ角が丸まっていて一抹の不安がよぎりました。

説明書なんて贅沢なものはありません
内容はこんな感じで、ケース本体と側版、中のシールド板、つまみネジ類です。ハンドルや傾斜させるスタンドもありません(一番安かったし・・・)。そのかわりメインダイヤルがアルミダイキャストっぽくて質感もなかなか良さそうです。サブダイヤルは最近多く見かけるローレット用のただ被せるだけのタイプでしたが、強めに押し込めばD軸にも入ります。(D軸用のつまみってほとんど見かけなくなりましたよね・・・)

 ケースの中に各パーツが同梱されていましたが、開封してチェックするとやはりというか内部の緩衝材がほとんどなく、そのため搬送中にお互いが当たったのだろうと思いますがシールド版の一部が曲がり側版の内側が傷ついています。ケース自体は綺麗に仕上がっているだけにこの辺残念ですね。緩衝材もう少し入れてくれればこういったことはないんですが、まぁ中華製ということで諦めて曲がったところは自分で直すことにしましょう。

この細いところがひん曲がっていました。折れてなくてよかった^^;
 でもってmcHF本体を組み込むのですが、V0.6をうたっているだけあって中シールド板は穴の位置などバッチリ合っていました。(ほかの記事ではケミコンの穴の位置が違っているとかがあるみたいです)そのままではキャリアバランス用のポテンショメータが干渉するのでオリジナルにいったん戻しました。

一連の組み込み作業の中で一番の問題は、側板の各端子の穴の位置が高すぎてタクトスイッチとLCDがもろ干渉してしまうことでした。

V0.6だけの問題なのか分かりませんが、側板の穴はどれも2ミリほど高い位置にあります。側板の穴についてはアンテナ端子が他の穴とずれており、ヤスリで位置を3ミリほど下方向にずらしましたが他の穴には手を加えませんでした(見た目がかなり悪くなります。アクリル板に起こしても良いかも知れません)。一方タクトスイッチの頭を1,2ミリほど、LCDユニットを装着するソケットも2ミリ以上鑢で削り高さをなるべく低くしました。

これで何とかケースに組み込むことが出来ましたが、後で判明しましたが削りが不十分なこともありLCDユニットがケースの枠に押されて一部表示がおかしくなってしまいました。よく見ると、表のケースパネル部分が下側に若干たわんでいてLCDをよけいに圧迫しているようでしたので、手でたわみを減らすことで影響を少なくしました。しかし時すでに遅くLCDにダメージが残ってしまいました。ちょっと悔しかったので同じLCDユニットを調達して後日換装することにしました(1ユニット12USDと比較的安価です)。

もうひとつの問題はPA部のMOSFETと電源部の2本のレギュレータICの取り付け穴も上のほうにあり、リードを残した状態ですとデバイスがケースに取り付けられないばかりか蓋も閉まりません。そのためデバイスが基板にくっつくほどにリードの余りを極力減らしようやくケースにネジ止めすることができました。

このときPAのRD16HHF1を2本とも根元からリードを折り切ってしまいました(まだ使えるのに・・・)。部品箱には同じものが見つからなかったので代わりのデバイスを探したところ同じ三菱の高周波MOSFETシリーズのRD15HVF1があったので2本装着してみました。

RD15HVF1はV/UHF帯パワーアンプ用MOSFETでRD16HHF1よりもゲインが高そうですが、パワーメータで確認すると案の定出力が上がっていました。怪我の功名ってやつでしょうか(笑)
まだ詳しくスペアナで送信波を観察していませんが、新しいLCDユニットが到着して換装してから改めて測定してみようと思います。

LCDダメージは運用上それほど支障ないレベルですが、あとで新品と交換する予定にしました
 周辺の記事を見てみるとV0.4や0.5では組み込みには問題ないようですが、新しいV0.6ではいろいろと工夫しないと収まらないことが分かりました。これらの中華なケースに収めることを前提に考える場合は、PAのMOSFETとレギュレータは極力リードを短くして本体が基板にくっつくくらいにすること、LCDユニットはソケットを使わずに直に基板に装着してなるべく高さを低くすること、タクトスイッチはより背の低い(2mm高くらい?)モノに換装することが最低限必要でしょう。

今回の作業でLCD損傷はちょっと痛かったですが、ケースに収めると受信音も良くなるしレギュレータの放熱も良くなるようで、ケーシングするメリットは十二分にありますね。

ところでYahoo group内で高調波スプリアスの実測データとLPF modificationのレポートが上がっていました。自分のものと同様に40m,20mなどいくつかのバンド以外で高調波スプリアスが高いとのことでした。やはりLPFの改造は必要です。自分なりにフィルターを再デザインして取り入れようと思いますが、近接スプリアスの対策も目処がついてきたのでそろそろ変更申請をしても良い頃合でしょう。

2017年5月10日水曜日

mcHF送信ミクサキャリアバランス調整

mcHFの近接スプリアスについて、mcHF Yahoo Groupにスペアナ画像を添えて投稿してみました。

さっそく開発者のM0NKA Chris氏とDF8OE Andreas氏から返信いただきましたが要約すると、基本波から50dBは抑制されているし、もともとmcHFは安価なQRP機で高出力のパワーアンプやV/Uのトランスバーター繋げることを想定して設計しているわけではないのでこれ以上改善させることは考えていない、そうです。

mcHFはまだまだVer.0.6ですしこれだけの規模のものを個人レベルで開発するのは大変です。ただ、これだけ注目されていて入手する人も増えてくると当然使い方も開発者が想定されていない使い方をされることも稀ではないでしょう。

ともあれすばらしいトランシーバであることには間違いないので、自分なりに何処まで出来るかやってみて、うまくいったらまたフォーラムに還元できれば良いなとは考えています。

というわけでフォーラムでのほかのメンバーとのやり取りした中で、 ドイツのフォーラムではいろいろと不要輻射について検証と改修を試しているようです。私が提示した送信ミクサーの局発漏れレベル(キャリアリーク)の抑制方法についていくつか紹介いただいたので、ひとつ実験してみました。

mcHFでは、DACから出力されたベースバンドIQ信号(低周波レベルの信号)をSi570とDフリップフロップ74AC74で発生させた局発IQ信号をSN74CBT3253Cマルチプレクサで混合合成してRF信号を得ています。

スペアナで解析するとSSB信号は12kHz、CW信号波は750Hzの搬送波を用いマイコンで生成したデジタル信号をDACでアナログ変換しているようです。局発は搬送波との差の周波数を発生させ最終的にミクサで混合合成されています。

60dBの減衰器を装着してUSBモードで送信 マイク入力はバックグラウンド音のみ
左の青い矢印で指したピークが局発信号リークで赤い矢印で示している幅の広い信号は、生成されたバックグラウンドノイズのSSB信号です。3kHz以下の幅にきっかりシャープにフィルタリングされています。

LSBモードで送信 赤矢印を中心にUSBモードの波形と鏡面像を呈しています
デジタルで計算され生成されたSSBは残キャリアレベルもまったくありません。したがってこの赤矢印から12kHz下のこのピークは送信ミクサからの局発信号漏れを示していると想像されます。

そこで、送信ミクサのキャリアバランスを調整するために、下の写真のようにQSB Bias部の分圧抵抗R69,R70をはずして5kΩのポテンショメータを装着しました。


 ほんとうは多回転をつけたかったのですが、手持ちが見当たらなかったのでドライバで微妙に回して調整を試みました。



 まずは20dBほど抑えることが出来ましたが、他のバンドではやはり微妙に最良点が違うみたいです。ここがマルチバンド対応の難しさなのかもしれません。

普通に5W程度の出力のときの近傍スキャンを見てみると・・・


 一応基本波から50dBは抑えられるようになりました。

さすがにこれ以上は難しそうなので、現状妥協するしかないかなと考えています。

中華製の金属ケースはすでにないと思っていましたが、eBayでいくつか出品されていましたので1セット注文しました。金属ケースでキチンと本体をシールドした状態で高調波スプリアスを含めて再測定したいと思います。