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2019年10月21日月曜日

久しぶりの135kHz運用・初めての自宅からのQRV

先日10月20日恒例のオール千葉コンテストが行われたのですけれども、当初千葉県内に移動して運用するつもりでしたが、今月初めに痛めた左肩がまだ完治していなかったため大事をとって断念しました。

このオール千葉コンテスト(略称:千葉コン)は135kHz部門が存在するほぼ唯一のコンテスト(四国のローカルコンテストであったような記憶がありましたが、詳細不明)であり、いまだ数少ないLFerがQRVする機会なのです。

135kHzはいつも車での移動運用だけでしたが、せっかくの機会ですし当時の気候も穏やかでほとんど風もない良いコンディションだったことから、以前から試してみたかった自宅からのQRVにチャレンジしてみました。

エレメントは従来のアルミ線がボロボロになってしまったので、以前購入した超軽量のアンテナ線を使用しました。銅線の撚り線ですが被覆が軽いので全体的に軽量です。
42mほどあるので、垂直エレメントとして12m、容量冠エレメント10m2本を切り出して両端をそれぞれ加工しいつもの135kHz用傘型超短縮エレメントとしました。

ウエダ無線で購入できます。22mタイプもあります。
エレメントをいつものSpiderBeam製12mグラファイトポールの最先端に括り付け、ポールは屋上の手すりにワイヤでしっかり固定し12m完全に伸ばします。容量冠の2条のエレメントを傘状に展開し固定。垂直エレメントの下端にリニューアルしたヴァリオメータ内蔵のローディングコイルのホット側に接続します。

雲は多かったですがひさびさの気持ち良い天気

手すりにポールを固定 いい感じに展開できました

ローディングコイルは数年前雨に濡れ壊れましたが見事復活させました
問題はアースですが、移動運用では90x60cmのガルバリウム鋼板を10枚地面に敷き詰めて大地と容量結合します。しかし屋上に重たい鋼板を持ち上げるのが難しかったため、だめもとで手すりの根元の接続ボルトにワニ口クリップをかませアースとしてみました。

アースはこのように手すりの取り付けボルトに引っ掛けただけ
こんなアースでしたが測定してみると・・・アンテナ抵抗75Ωと予想より低く、インピーダンス変換トランスですんなりと整合してしまいました。

インピーダンス変換トランスでマッチングOK コイルのQが高いのできわめて狭帯域
セッティング完了して早速CWの周波数である136.5kHzを受信してみると、強いインバータノイズの中からCW信号が聞こえてきました。


千葉コンに県外局として参加されている7L1RLL局のCQです。50Wでコールしてみましたが応答なくしばらく呼び続けていると、JA1NQI局(茨城県)とJA1HQG/1局(神奈川県)の2局からコールいただきレポート交換しQSOが成立しました!

FT991の直接受信でしたが、インバータノイズが低くなると結構よく受信できるようです。ノイズレベルは高くても受信帯域を絞りDSPをうまく調整すれば多少弱くても何とか取れるレベルでした。

今回は初めての自宅からの135kHzQSOでひさびさにテンションが上がりました。思いのほかアンテナ入力抵抗が低くいつもの移動運用並みに運用ができることが分かり今回のチャレンジは大きな収穫でした。

1.8/1.9MHzもローディングコイルを作製して12mバーチカルアンテナで運用しようと考えています。おそらくSRA以上に飛ぶのではないかと期待していますがはたしてどうなることやら。

2018年12月12日水曜日

最近までのまとめ

前の投稿からだいぶ空いてしまいました。

そんなわけで最近までのまとめということで。

今嵌まっているものと言えばこちら。


Snapmakerという3Dプリンタ、CNC、レーザー加工機の複合機を購入済みでしたが、出力可能な大きさが125mm立方と比較的小さいためもっと大きなものを造形できる3Dプリンタを探したところ、Geeetech社のA30というのを見つけ早速購入しました。最大造形サイズは320x320x420mmと非常に大きいです。パッケージはZ軸の枠を取り付けて各配線を施せばOKという半完成タイプで、開梱して30分ほどでセットアップが出来ました。

この手のプリンタはCR-10というプリンタと同じような構成で、各パーツ流用できるものがありeBayなどでも容易に手に入るようです。Snapmakerと違いX軸Y軸がベルト駆動だったり囲いがなかったり少々不安な面もありましたが、結果的に購入して正解でした。

FaceBookのユーザーグループに参加してこのプリンタのまつわるものなどいろいろな情報を仕入れ少々改造や設定の調整など行うことによってやっと安定して出力できるようになりました。


3DCADはいつものFreeCADを使いSTLでエクスポートしたデータファイルをCURAというスライサーソフトに読み込ませ、Gコードファイルを生成し、そのファイルをA30用のプリントソフトに読み込ませてUSB経由で出力しています。SDカードによるスタンドアロン出力も可能で便利そうなレジューム機能も付いていますがなぜか出力の途中で軸の制御がおかしくなって失敗してしまいます。まだ原因が分かりませんが今後解消してスタンドアロンで出力としたいところです。

というわけで、このプリンタを使っていろいろと作ってみました。


まずはVNシリーズのエンクロージャ。

SnapMakerでも作りましたが、A30は造形エリアが広いので構成パーツをすべて1回で出力可能です。時間はかかりますが余熱待機時間分早くなるし、CURA上の設定でプリント速度を速めたりさまざまなパラメータを調整することで時間短縮する事が出来ます。(もちろんSnapMakerでもCURAで作成したGコードファイルで出力は可能です。)

つぎに、135kHz帯運用で必要な大型ローディングコイルに内蔵するバリオメーターコイルの回転機構を製作。


コイルの回転軸の両側に見える大型のギアですが、3DCADでデザインして3Dプリンタで出力したものをそのまま使っています。

ギアを収める透明の枠はアクリル板を加工したもので、6mm径のベークライト棒を加工してギアの軸穴に挿入してコイルの回転軸と操作ツマミ用の軸としています。取り付けビス・ナット類もプラスチックねじを使うことによってコイルと端子以外は金属フリーになっています。


また、ローディングコイル機構を組み込んだ本コイルの外側に回転操作用の軸を通すガイド、バーニヤダイヤルを着脱可能にするためのアタッチメントも3Dプリンタで作成しました。

最後に、Keyer Mini-V2 Revision2用のエンクロージャも作ってみました。


 形状をいろいろ考えましたが素材のABSの強度を考えると、前面のアクリルパネルは残したほうが良いと考え前面のアクリルパネルを残す形にしてみたら、意外としっくりしました。


これまたうまくいったものは、電池アクセス用の蓋です。底面と蓋の厚さを3mmと厚くして 強度を持たせるようにしました。重なる部分を少し削る必要がありますが、案外ぴったりとはまってくれるのでFBな仕上がりになりました。

だいぶ自分なりにノウハウが蓄積されてきたので、またいろいろと製作しようと目論んでいます。

それから、久しぶりに小笠原の135kHzと475kHz運用が11月の下旬に行われるということで、久しぶりに135kHz移動運用を敢行しました。

移動場所は千葉県の勝浦ダム。3年ほど前に千葉コンで移動した場所です。ノイズが非常に少なくJA7NIの信号が強力に受信できたので、受信だけでもできないだろうかと早朝移動しました。ところが途中最後のところで路肩のがけ崩れで通行止めを食らってしまいました。もう一つのルートで向かおうと思いましたが時間がないため仕方なく広めで誰もいない駐車場に停めてアンテナ設営しました。

広めとはいえ周りが林に囲まれておりロケーションとしては良くないです。ともあれせっかく来たのでいつもの12m高2条傘型アンテナと、先日完成したローディングコイル、10枚のガルバリウム鋼板によるアースマットを設置。アンテナ入力抵抗は約100Ωとやはり周りの林の影響が大きいと思われました。

そうして136.5kHz付近をワッチしてみるとJA1HQG移動局がCQを出していたためコールし579-559でQSOできましたが、JD1の信号は聞こえずでした。その後137.5kHz付近でWSPR2を送信し数局捕捉してもらったのを確認して撤収しました。

設営時エレメントのアルミ線が切れ切れになってしまったため、ローディングコイル以外もそろそろリニューアルの必要性を感じました。

あとはVNシリーズの製作代行もぼちぼち依頼が来ており製作を進めていますがそろそろ次のものを考えようとパーツなど集めて試作をしようと考えています。何になるかはまた後日。

2018年7月12日木曜日

Radioberry2製作記 その4(送信チェック編)

Radioberry2の受信動作は特に問題なく、VLFからHF帯までカバーしているようです。

またRaspberryPi3に渡す信号のサンプリング周波数は一番下の48kHzを選択していますが、このサンプリング周波数ではほぼ途切れることなく受信することが出来ます。しかし96kHz以上は処理が追い付かないのか途切れが頻出するのであまり実用的とは言えません。

一方送信機としてはどんな按配なのか、今回Radioberry2の送信波についておなじみAPB-3スペアナで簡単に検証してみました。

Radioberry2の送信出力からスペアナの間に30dBのアッテネータ挿入して、まず7MHz帯でキャリアを出してみました。のですが・・・


一見なんじゃこりゃ、みたいな結果です。基本波の高調波でないスプリアスが乱立していて1MHz以下にも高いレベルの信号が観察されました。これをただ眺めていても埒が明かないので、送信周波数をいろいろと変えて観察していると低い周波数で気がついたことがありました。

まず、160mバンド。


基本波の高調波はきわめて低いレベルに抑えられています。が、高調波に関係の無い柱が2本見えています。12bitDACから出力される信号波形はもともとはきれいなはずですが、この高調波に関係の無い不要信号は一体何なのでしょう。

次は136kHzで送信した信号のスペクトルです。


1MHzスパンでは、高調波レベルが2次高調波が最大で-52.23dBcとても優秀です。

ではもう少しスパンを拡げてみるとどうでしょう・・・


APB-3最大の50MHzフルスパンで観察すると、7.5MHzと15MHz付近に各々2本の不要信号が見えます。

では475kHzではどうかというと・・・


まず3MHzスパンでは3次高調波が最大で-52.57dBcとこれまた良い結果でした。

で、フルスパンはどうでしょう。


と、136kHzでの結果に良く似ています。ただし、2本の不要信号の間隔は136kHzの結果よりやや広いです。

これを見てもしやと思い、今度は160mバンドと500kHzで出力を測定して各々のスペクトラムを重ねてみました。


やや見えにくいと思いますが、それぞれ10MHzスパンでスキャンしたものを重ねています。すると右のオレンジ色の縦線を中心に出力周波数分だけ上下に不要信号が見えています。

AD/DA変換を司るAD9866のデータシートやソフトウエアのコードをまだ良く見ていませんが、どうやらこの不要信号はオレンジ色の縦線の周波数7.68MHz付近をサンプリング周波数としたときのaliasing signalではなかろうかと勝手に想像しています(違っていましたらぜひご教示くださいっ!)。そうすると最初7MHzのときに見た1MHz以下の不要信号に説明つけられそうです。

もしそうならこのADC出力がまともに扱える対象の周波数は3MHz以下ということになります。

逆に現状のファームウエア、ソフトウエアでは160m(1.8/1.9MHz)バンド以下が実用に耐えうるのではかいかと考えられました。

このRadioberry2のファームウエアの開発が進めばもっと高い周波数でも使えるようになるかもしれませんが、現状は136kHz、475kHz、1.8/1.9MHzが限界かもしれません。 これらのバンドであれば出力に簡単なLPFを挿入すればOKでしょう。

送信波スプリアスについてはある条件下で使える可能性がでてきましたが、それとは別の問題としてRaspberryPi3の処理が追いつかないのか信号が断続してしまい、結局そのままではまだまだ実用レベルとはいえません。

Radioberry2は今後も開発は随時進んでいるようなので、どこかでまた追試でもしようかと思います。

2017年10月17日火曜日

オール千葉コンテスト2017移動運用記~失敗は前に進む一歩なのか?~

先日15日オール千葉コンテストが行われました。

このコンテストは136kHz部門が存在する数少ないコンテストで、(136kHz部門が存在するコンテストは、このオール千葉と5エリアのコンテストだけです)136kHzデビューした思い入れのあるコンテストでもあります。

前回は某クラブ局コールで参加しましたが、今回はまた個人の参加に戻りました。

初回の初参加を除き好天に恵まれたコンテストでしたが、今回は秋雨前線が停滞し雨天の中での移動となりました。

前日は雨も止んでいる時間が多く期待しましたが、当日はしっかり降り続けていました。

ちょうど11時現地(館山市某所)に到着して合羽姿で設営開始。アースは雨天のためガルバリウム鋼板敷きでなく、雨水にメッシュ版を浸したものをアース端子につなぐという方法にしました。コイルはリッツ線巻きのいつものVARIOMETER 3+を取り出し、雨に濡れないように傘を上にさした状態にしたのですが、これが十分ではありませんでした。

アンテナエレメントはバッチリ張れたのですが・・・
最初アンテナ入力抵抗を測定し、136.5kHz同調時に約80Ωでまぁこんなものかと思ってインピーダンス変換トランスの75Ωタップに接続しTX-136につないで送信テストしました。(先日の自作送信機は雨天で時間も余裕がなかったので出番はありませんでした^^;)

送信機内蔵のVSWR表示をモニターしていたところ、最初1.5がじわじわと上昇傾向となってきたのでもしやと思い、コイルを確認したところすでに半分以上雨水が浸みこんだ状態になっていました。

写真では分かりにくいですが、半分以上雨水で浸みています・・・
 その後もVSWRは悪化をたどり、アンテナ入力を再測定すると300Ω以上まで上昇し仮に接地抵抗を70Ωとするとコイル抵抗は概算で230Ωと乾燥時11Ωにくらべてきわめて高い抵抗値になってしまっていました。これでは到底使い物になりません。実際JA1NQI局が136.5kHzで入感しコールしてみましたが、まったく応答ありませんでした。

いまさら乾かす手段もなく、代わりのコイルもないので(初期のUEW単線で巻いたローディングコイルは一昨年のハムフェアで5エリアのOMさんにお譲りしました)この時点で運用を断念しました。

このコイルはリッツ線で巻いたコイルです。リッツ線は何百本もの細いUEWを細い幅の薄い布で束ねて巻いた線材で、表皮抵抗が下がることで高周波抵抗を抑え高いQを実現しています。しかし一旦雨水に曝されてしまうと、この束ねる布と極細のUEW同士の間に水がたまり一気に高周波抵抗が上がりその結果Qが一気に下がってしまったのでしょう。しかし実際、これほどまでコイル抵抗が上昇するとは思いませんでした。もしかしたらリッツ線の弱点なのかもしれません。一度単線UEWを新たに製作し、リッツ線巻きコイルとともに霧吹きなどで濡らしたときの各々のコイル抵抗を測定比較実験してみたいです。

何はともあれ、副題のように今回の失敗はいい経験になったと思うようにしますHi

しかしこんなこともあろうかと(笑)VN-4002も持参してきたので、7MHzでQSOくらいはしないと割に合いませんよね。せっかく遠くまでやってきたのだから。

というわけで、車に常備している移動用のRadix製短縮Vダイポールをそそくさと立ち上げました。
このVDPは設置も調整も楽チン 給電部直下の自作CMCでケーブルの影響も無問題
短縮アンテナなので実用周波数範囲は30~40kHzと狭いですが、CWのみの運用ならバンド内QSYでも再調整は必要ないでしょう。

で、VN-4002に接続しワッチを開始するとバンド内信号がよく聞こえてきます。なおかつノイズレベルも非常に低くて弱い局の信号もよく聞こえます。

12Vの鉛バッテリーから電源を得ていますが、余裕ありすぎ(笑)
 当日は中遠距離のコンディションが良く、QRP機でも拾ってもらえてなかなか楽しかったです。懸念されていた大陸系の強力な放送波による混信も感じることなく受信は至極快適でした。

18時まで粘っても良かったのですが、その時間帯はあたりがすっかり暗くなって作業が大変になるため明るいうちに切りの良い所で完全撤収し移動地をあとにしました。

 帰宅後コイルを確認すると、バリオメーターの回転機構の軸がねじり切れていました。軸と回転機構のつくりが華奢で、無理に回転させようとしてスプロケットと軸の接続部分のネジ部分が根元でねじれたようです。

 泣きっ面に蜂というわけではありませんが、防水を含めて全面的に一度作り直しが必要です。また他にも初代のような単線で巻いたコイルも復活させてどの条件でも運用できる状態にしておきたいものですね。

2017年9月26日火曜日

2200mバンド用CW送信部完成

先日LPFを組み込んだ秋月ユニバーサル基板Bタイプに、送信部を実装しました。


 定K型2段LPFに続いてインピーダンス変換トランス、E級フライホイール、MOSFET、IR4427と7400ドライバ段、キーイング用電源制御回路、アンテナ切り替え用リレーと駆動回路を実装しました。VN-4002のコントロール部(2200m用ファームウエアに変更)から、送信信号出力、キーイング信号出力、PTT出力を接続して2200m用CW送信機が完成です。

キーイングの電源制御には回路図のDMG3415パラではなく2SJ334というPchMOSFETを使用しました。60V30Aでオン抵抗が29mΩと小さく、このPAの電源制御には余裕です。(ただしディスコンマークが・・・)

アンテナ切り替えについては、アンプの出力が大きいためVN-4002の回路は使えません。ここはオーソドックスにコントロール部のPTT信号でリレーを制御し切り替えを行っています。リレーは秋月の安い小型リレーです。このリレー上面に型番など印刷されているのですが、指で触れただけれすぐに取れてしまい装着後にはブラックボックスと化してしまいます(汗

早速アンテナ端子にダミーロードを繋げ送信し、市販のリグで信号を受信しました。受信アンテナは20cmほどのフェライトバーにコイルを巻き、エアバリコンで同調回路を設けたバーアンテナです。(そうしないと受信できません。2200mの電波はそうそう漏れないのです。)

フェライトバーアンテナ 一応50Ωに変換して出力しています


セミブレークインに設定していますが、時折カチッカチッとリレーの小気味良い動作音が聞こえてきます。

電源電圧9Vでおよそ13Wの出力、効率は約75%でした。

フライホイールのLのコアも2つ重ねにしたのでこの程度の出力では他のコイル含め発熱はありません。20W以上にするとLPFのコイルが暖まってくるのでWSPR2間欠送信程度なら耐えられそうですがQRSS,DFCW30は10W程度に減力しないとちと厳しいかもしれません。しかし、結構コンパクトにおさまりました。まだ余裕があるので基板を起こすときにはVSWR、電流検出回路を追加しようと考えています。

ともあれ基本的な諸動作は問題なさそうなので、次は専用のコントロール部を、さらにその次は受信部へ進めることにします。

2017年9月17日日曜日

2200m版E級増幅回路実装テスト完了

160m版に引き続き2200m版E級ファイナル回路を実装しました。

回路図はこんな感じです。

一応不許複製転載で
 160m版と異なるのは、ドライブ段のロジックのほか専用のローサイドドライバIC IR4427を使用しました。秋月で1個100円の安価なもので出力は最大1.5A流せるものです。スイッチング速度がやや遅いため160m版では採用しませんでしたが、2200mでは問題ないと思われたため導入してみました。4427は他のチップメーカーからも出ているようで、汎用のMOSFETドライバということですから入手にもそう困らないでしょう。

 最初の74HC00はSi5351Aの出力3.3Vを5Vにレベル変換し、後に続くトランスをドライブするため2段目を3パラ接続して出力を得ています。もちろんこの部分はインバーターの7404や他バッファへの置き換えが可能です。

トランスは136kHzという周波数の信号を伝達するためインダクタンスを大きくとりますが、160m版よりひとまわり大きなコアで製作しても充分でした。

トランスによって180度位相差の信号2対を生成し、ダイオードで負電圧部分をクリップしIR4427ドライバの入力に各々接続してその出力でMOSFET(FKI06269)のゲートを駆動します。

 MOSFETのドレインソース間のCと、ドレインから出力トランスの間のLでE級ネットワークを形成します。

目的の20W出力を得るために出力トランスのインピーダンス比を決定しています。MOSFETから見た負荷抵抗からE級ネットワークの素子定数を計算して実装し、オシロスコープでドレイン電圧とゲート電圧を観察して各定数のを微調整しました。



 ドレイン電圧曲線はちょうど回路図の定数でゼロボルト点は至適です。

 次にLPFを実装しました。インダクタに最初高AL(11.5)のダストコアT68-1を2つ重ねたものを使用しましたが挿入損失が2,3dBほどと大きく、20W以上の出力を入れると出力が6割まで小さくなるのに加え、その損失分コアが発熱してしまいます。そのため良く使用される#2材のT68-2を2つ重ねとして新たに巻きなおしました。その際やや線径を細くしてなるべく巻き線がダブらないように巻きました。

LPFはJUMAのTX-136を参考にしました 定K型のハーフウエーブフィルタですね
 作成したLPFをAPB-3のネットワークアナライザで測定してみました。
 
プッシュプル出力なので2次高調波レベルが低く、このくらいの特性で充分?

 まずLPF装着なしの測定結果を。


 プッシュプル出力の特徴として偶数次高調波の低減が見られます。
次にLPFを通した出力波形です。


 偶数次、奇数次ともに-70dBcを確保しており充分すぎるくらいです。

電源電圧12Vでの出力は約22W、効率は74%程度になりました。もう少し効率を上げたいところですが、20W超える出力でもMOSFETは放熱器は必要ない程度にしか熱くなりません。

というわけで2200m用の送信部回路は固まりました。コイルサイズは大きいもののなんとかコンパクトに収めていきたいところです。

2017年3月2日木曜日

136kHz帯用20W E級プッシュプルアンプの実験

勢いにのって136kHz(2200m)帯用のE級アンプ実験を行いました。

136kHz帯では通常設置可能なアンテナの利得は条件が良くても-20dBi前後になるため、単純には空中線電力が50WであってもEIRPは500mW以下のQRPpになってしまいます。

ましてや数WならばEIRPは数10mWなので、余程受信側の条件が良くなければCWでの交信は非常に厳しくなります。

というわけで今回は475kHz帯の申請も見越して出力20Wを目指したE級アンプの実験を行いました。

前回の実験で使用した2SK2796LというMOSFETを今回も採用しますがVDSSが60Vと低く、そのため電源電圧15V以下という条件を満たさないといけません。

低電圧で高出力を得るには、負荷インピーダンスを下げなければいけないのでインピーダンス変換トランスが必要になります。

電源電圧12VではLPFの挿入損失分などを踏まえ、2Ωで25W出力を想定しました。

で、次に回路図です。


今回はプッシュプル増幅回路にしました。理由は、偶数次高調波が抑えられることによってLPFの設計や実装が楽になると考えたからです。136kHz帯という非常に低い周波数のLPFは設計よりも実装が大変で、特にLはコイルも大きくなって巻くのも一苦労です。なるべくコンパクトにしたいので次数も必要最低限にとどめておきたいと考えています。

さておき、各定数はCQ出版社発行POWER ELECTRONICS SERIESの書籍を参考にして算出し、ドレイン電圧波形などを観測して決定してました。計算式などは書籍を参考にしてください。

ドライバは例によって汎用的でコストの安いロジックICでまかないました。プッシュプルなので各FETのゲートには180度反転信号を与えるため、一方にインバータを繋げています。また、信号送られていないときには両方のゲート電圧を0にするために各々NANDを挿入し信号入力時のみゲート電圧を変化させるようにしています(この辺は良くやられている手法だと思います)。最後にFETドライブ用に各々3パラ接続したインバーターを介してFETを駆動します。

E級フライホイールは各FETのドレインソース間のCとインピーダンス変換トランス前の2つのLで構成されます。シングルとは異なり、FETのオンオフで共振周波数は変わらないところがミソです。

最終的にインピーダンス変換機能を兼ねた出力トランスで180度反転合成しインピーダンス変換されて出力されます。巻き数比は1:5でインピーダンス変換比は1:25になります。

この回路をブレッドボード上に組み上げて各FETのゲート電圧、ドレイン電圧、出力波形をオシロスコープで、高調波はスペアナで観察してみました。

左の2つのICはドライブ用ロジックIC、中央付近にFET、フライホイールのL、出力トランスに続きます

FETの供給電圧を5Vと低めに設定して各波形を観察します。


ドライブ出力波形です。上下反転しているのが分かりますね。オーバーシュートが目立ちます。電圧はキッカリ5V、周波数は136.5kHzです。


片方のゲート電圧とドレイン電圧を見ています。下のドレイン電圧曲線は最初計算値だと低い共振周波数のカーブを示していたためドレイン-ソース間のキャパシタを減らして共振周波数を合わせてみました。ただし、曲線の最下点が0Vよりも高いことからおそらく負荷抵抗とのマッチングがずれているようでした。これはインピーダンス変換件出力トランスのインダクタがE級ネットワークに影響している可能性が考えられます。

5Vで出力は約6Wほどでした LPF通さなくても正弦波に近いです

マッチングのずれなどによるスイッチング損失のためか、増幅中FETパッケージが熱くなります。また低電圧で出力を稼ぐためドレイン電流が多くFETのオン抵抗での損失による発熱も考えられたため、各々のFETを2パラ接続してみたところ発熱が和らぎました。


次に電源電圧を13.8Vに上げ、60dBのアッテネータを通しAPB-3スペアナモードで出力レベルと高調波をチェックしました。


ブレッドボードの配線のためフロアが騒々しいですが、基本波は60dBのアッテネータ挿入時で-13.9dBmで計算上+46.1dBmでした。実際はもう少し低いです(オシロスコープの計測で27W程度)。高調波については2次高調波が基本波に対して-31.41dBと3次よりも抑制されているというプッシュプル増幅の特徴が出ています。そのほかの偶数次高調波も明らかに低く抑えられています。これならLPFの設計も余裕が出てくると思います。

この回路では出力トランスのインダクタの影響などをみて改善する必要がありそうです。

あと10A程度の電流計を調達して効率を測定しなくては(汗)

2017年1月4日水曜日

2017年始動しました

旧年中はいろいろと多方面でお世話になりました。
年末の別の行事で無線(というか電子工作)活動をほぼ停止していましたが、無事に終了し年が明けたのでぼちぼち再開となりました。

昨年末に調達したのは、まずこれ。


中国語で書かれたタイトルのなにやら難しそうな本に見えますが、開いてみると・・・


SMDチップ抵抗のサンプルキットでした。

これには0805(2012)サイズのE24系列値のチップ抵抗が揃っています。秋月や千石ではごく一部の抵抗値しか手に入らない(マルツでは少し種類が多いようです)のである程度個数のあるサンプルキットを探していました。eBayで検索するとかなり安く手に入るようですし、チップインダクタのキットもあるみたいなので機会があったら入手しようと思っています。

それからもうひとつ。


トロイダルコアをまとめて扱っているところがあったのでT68-1, T37-2, T25-2, FT23-43, FT37-43の5種類頼んでみました。

#1コアは日本では見かけませんが、高Qが得られる至適周波数が150kHz~3MHzと低く136kHzの機器に使えそうです。ALも11.5と同サイズの#2コア5.7の2倍で巻き数も少なくて済むと思うので、136kHz帯用のLPFなどに使ってみようと思います。

少々横道にそれましたがこれで発注した10セット分のパーツがほぼ揃ったので、まず1台最終試作を始めました。

最初はコントロール部を実装。


部品点数はそれほど多くなく、Si5351Aと基準Xtalの装着もだいぶ慣れました。
本当はこれらの極小パーツはリフローでの装着が確実で楽なのかもしれませんが・・・

1,2時間ほどで装着完了してPickit3でプログラムをPICに注入して動作確認です。


今回LCDをバックライト付きのものにしましたが、電流制限抵抗100Ωとして消費電流7mA弱に抑えました。無信号時で全体の消費電流は、電源電圧12Vで57mAでした。受信部を加えて80mA台でで収まるかなと。

というわけで、Si5351Aの出力もオシロスコープで確認し完成です。次はRF部を順追って組み上げようと思います。

閑話休題。

正月は終わってしまいましたが、今年初めの記事なので今年の目標を。

電子工作は、このQRPトランシーバを発展させてSSBモードの追加や他バンド版の製作、それから136kHz帯(475kHz帯)のスタンドアロンなトランシーバの製作、このあたりを進めていこうと考えています。

SDRはkiwiSDRをつかったWebSDRの構築(アンテナ、ネットワーク)を、またソフトウエア処理の勉強と実践あたりを。

運用では136kHz帯アンテナの改善(効率上げるためエレメントをもっと高くするなど)と昨年出来なかった車を使わない移動の実現。移動する局に475kHz帯を加えること。

と、こんな感じでしょうか。

そんなわけで、本年もよろしくお付き合いくださいませm(_ _)m