2015年10月26日月曜日

475.5kHz帯やっとこさ初QSO

先週の千葉コン移動の熱も冷めやらぬまま、24日に475.5kHz帯の免許をおろした設置場所に出かけアンテナのローディングコイルに内蔵したバリオメータの遠隔操作システムの最終調整にTX-500にGPS受信ユニットの装着と、それに続き日没まで各モードで運用しました。
往路は本栖湖の回りを走ってきました。ちょっぴり紅葉が拝めました^^
現地に到着してまずは外にあるマッチングボックス内のバリオメータ制御システムのPICを、通信機能を付け加えたプログラムを焼きこんだ新しいものに交換。シャックのリモート側の電源をいれると、交換したPICとの通信が確立してシャック内からバリオメータ遠隔操作が可能になりました!パチパチパチ

引き続き、出かける前に用意したGPS受信ユニット(TX-136に取り付けたものと同じCanMore製GMS6-CR6)をTX-500ファームウエア改に取り付け電源をオンにしてGPSモニタ画面にすると、およそ1分くらいで衛星そ捕捉し計算されたグリッドロケータが表示されGPS時間同期を確認できました。

パドル後ろにバリオメータ遠隔操作リモート装置 通信が確立するとLCD表示が出る
ここまでは順調。ここまでは...

これで各モードの運用が可能になったのでした。

早速13:30過ぎくらいから472.5kHzCWモードでCQを出してみました応答なし...まだ昼間だし仕方がないだろうとして次にWSPR2で送信(475.7付近)したところ、山梨市のJH1INM局(直線距離30km)にSPOTされましたが他の局はサッパリでした。

やや日が傾きかけた16時ごろになり、DFCW30がJH3XCU/1曲にかろうじてキャプチャされました。その後、許可された移動場所で運用していただくことになりました。

カスカス^^;(DFCW30 50W送信 "1VNQ"が辛うじて?見えています)
 引き続き、WSPR2を送信しWSPRnetのDatabaseを見てみるとこんな感じでした。


 SNRの推移を注目すると面白いことがわかりました。16時前まではほぼ一定のSNRでしたが、出力を50Wに一定にしてみると17時以降(日没直前)30km離れたJH1INM局のSNRが徐々に上がってきて、最初SNR-10が日没後にはSNR+2まで上昇しました。ついでにJE1JDL局(直線距離約70km)にもSNR-21でSPOTされました。

そこで17時過ぎからおもにCWをワッチしてみると、アンテナ調整を終えたJH3XCU/1局のCQがピーク549でゆっくりしたフェージングを伴ってクリアに聞こえてきました。(受信アンテナは160m用のビバレッジですが、この周波数領域でも指向性が見られており475.5kHz帯の受信にもベターです。)

すかさずコールし続けましたが、こちらの信号は残念ながら届きませんでした。

後日うかがうと17時半ごろがこちらの信号のピークとのことでした。(ArgoのCWモード表示で辛うじて移る程度で音として符号判読できなかったようです)

そのほかに聞こえた局は、JA0HXV局、JA3TVF局でしたがこちらの信号が届かずでした。

そうこうしているうちに、JH1INM局が599+で強力に入感したのでコールしやっとコールバックあり599-559でレポート交換、475.5kHz帯での初QSOにいたりました。

その後もJH3XCU/1局のCQが続きこちらもコールし続けましたが、だんだん信号も弱くなって19時には撤収となりました。

475.5kHzの各局やワッチしていただきました皆さんどうもありがとうございました。

 【考察と課題】
1.当局の電波の弱さ
 
タワーのほかにも電灯線に電力が吸収されている可能性も

 アンテナはこんな感じで、タワーの間にワイヤーを張って中央から7mエレメントを落としてリモート式バリオメータ付きローディングコイルとトランスを組み込んだマッチングボックスにつながっています。アースは地中にアース棒を差し込んでおり、土が乾いているときの接地抵抗はVNAとローディングコイルのコイル抵抗から逆算して約10数Ωになっています。
コイル損失は7mのエレメントを短縮しているのでリッツ線をもってしても高く約30Ωであることと、両脇にあるタワーの影響が大きいのではないかと予想しています。
エレメントは現在の免許ではこれ以上高くすることは出来ず、高くする場合などは変更申請が必要になります。(EIRP1W以下であることを証明する必要がある)
高く出来ればローディングコイルのインダクタンスを減らしてコイル抵抗を小さくすることが可能になります。
また、タワーからエレメントを離すように水平部を付加したりアンテナ容量を増やすことでやはりアンテナ入力抵抗を減らせる可能性があります。
あとは、接地抵抗を直接計測してみてアースの改善が必要なのか検討していきたいです。

2.475.5kHz帯における伝播について

 午後から日没まで運用しましたが、WSPRのSNRの変化についてJH1INM局のSPOTを見ると日没になるにしたがってSNRが上がってきて最終的に12dB上昇していました。また、JH3XCU/1局の信号強度が日没前後の17時過ぎをピークに日没後弱くなっていました。JA3TVF局やJA0HXV局の信号も18時前後辺りでようやく聞こえ、それを過ぎるとまた聞こえなくなりました。INM局含めゆっくりとしたフェージングも見られました。

これらは夕方日没から夜に移行するときのD層やE層の変化に関係するものと思われますが、グレイライン伝播のような感じでなかなか興味深いです。

またJAからハワイまで同バンドでWSPR信号が捕捉されデコードされていますが、いずれも日没後3時間ということを考えると、やはりグレイラインが関わっている可能性があるのではないかと想像しています。

今回小笠原の運用は中止となってしまいましたが、もし今後運用されるとするならばこのバンドでの伝播の特徴をつかんでおくことがQSO成功の鍵になるかもしれませんね。

2015年10月20日火曜日

第30回オール千葉コンテストに参加しました(館山市136kHz移動運用)

無線以外でばたばたしていてブログも1ヶ月ほど間が空いてしまいました。

さて、今回はキリのいい(笑)第30回オール千葉コンテストに今年も参加しました。もちろん136kHz部門で。このコンテストは136kHz部門が存在する数少ないコンテスト(後ひとつはたしか四国のほうで136kHz部門のあるコンテストがあったと記憶しています。現在136kHz部門があるのはこの2つのコンテストだけです。)で、かつ当局が136kHzデビューを果たした思い入れのあるコンテストでもあります。

今回も元ローカル局どよよんさんをお招きしたところ快くOKのお返事をいただきまして、当日内房線の駅前で合流しました。
待ち合わせた内房線那古船形駅の駅舎 いい雰囲気です^^
朝9時前にどよよんさんを乗せしばらく移動し目的地の海辺に到着。朝魚釣りの方々が散見される中、早速設営開始しました。

アンテナは今回もおなじみの12m高2条傘型を設置しましたが、数回にわたる移動経験から少し工夫をしてみました。ひとつは傘エレメントの端の固定方法で、従来エレメントの端に非金属製ワイヤーをつなげての木の枝などに引っ掛け結びつけるなどしていましたが、木の枝がない場合やエレメントの方向に自由度を持たせるため、フックつきの小さなコンクリートブロックをホームセンターで購入し、フックにエレメントをつないだワイヤーを引っ掛けてブロックの置く位置を変えて好きな位置にエレメントをセットできるようにしました。またカラビナをつかって着脱も容易になるようにしました。多少風が吹いてもズレなくてFBです。車の移動でなければ水を入れて重石にする容器があれば持ち運びには問題ないでしょう。

フック付きコンクリブロック 逆Vダイポールにも使えそう
さらに海辺というロケーションからある程度の風が予想されたので、垂直エレメント部分をグラスファイバーポールにおよそ1,2メートル程度の間隔でエレメントをポールから5,6センチ浮かせながら荷造りテープで固定することによって、風で大きくエレメントが揺さぶられないようにしました。

垂直部分はポールに付かず離れずに半固定
次はアースです。いつもは10枚のガルバリウム鋼板を地面に敷くアースマット方式ですが、ここは広い海のすぐそば。昨年の木更津JD1チャレンジに倣って、海水へ小さなステンレスメッシュ板を浸す通称海ポッチャンでアースを取りました。

ローディングコイルはリッツ線を巻いたVARIOMETER3号を用意してエレメントと接続し、わくわくしながら(笑)早速VNAをつないで測定しました。

調整しやすくするためオペレーションデスクに近いところにローディングコイルを設置
素の特性 共振点でのアンテナ入力抵抗25Ω
 この前の諏訪湖移動のときにも見られましたが、湖水や海水アースは共振点がかなり下がります。最初ローディングコイルのインダクタンス最小位置にしても共振点が136kHzより下がってしまったので、結局垂直部のエレメントの余剰分1メートルほどカットすることによってやっと同調が取れるようになりました。(余剰分は巻いていたりしたので輻射には寄与していないと考え切ることにしました。)
マッチングトランスで変換後の特性 かなりシャープ
測定結果を踏まえインピーダンス変換トランスの25Ωタップにつなぎ替えると、共振点でVSWR1.1以下までマッチングさせることが出来ました。しかし、ローディングコイルのQの高さも相まってVSWR3以内の幅は約600Hzしかありません。1.5以内にいたっては200Hzという非常にシャープな特性。

昼前でしたが風がやや強く、VNA連続測定モードで観察するとポールがゆれるに従い共振点は数100HzずれてすぐにVSWRが上昇してしまいます。MAXパワー(50W)ではこの状況だと運用中にSWRプロテクションが働いてしまうので、当面LOW(15W)かHI(34W)で運用することにしました。

送信機はいつものJUMA TX-136改 受信機はFT-817ND直接受信+JUMA内蔵プリアンプ

調整が終了し、運用開始までしばし海を眺める(笑)
11時ごろでしたか、136.5kHzでVVVを出すと早速JA1HQG/1局とJA1NQI局に呼んでいただきました。12時になりおなじみの各局の信号が聞こえてきました。FT-817の136kHz帯での受信感度はFT-857より感覚的に低い印象だったことからJUMA内蔵の10MHz受信コンバータで時々切り替え入感する信号を比べてみましたが、コンバータ経由だとかえって雑音で聞き取りにくいため136kHz直接受信で20dBプリアンプをオンにすることにしました。専用受信機ができるまではこのスタイルで行こう思います。ちなみにもちろんIPOはオンです。

ひとしきりQSOできたところでDFCWとWSPR2送信テストを行いました。CWとは周波数が異なるため(CW:136.5kHz, DFCW(QRSS):137.777kHz付近, WSPR2:137.5kHz付近) アンテナの再調整が必要になりますが一度VNAで調整できているので、あとはインピーダンス変換トランスに内蔵したアンテナ電流計をにらみながら、電流計の針がピークになるようにローディングコイルのバリオメータの角度を調整するだけでOKです。

稲敷市のJA1NQI局と台東区のJA8SCD/1局のグラバーにDFCWが映っていました。

137.774kHz:当局のDFCW30信号 137.779kHz:JH1ARY/1局のSlowHell信号 TNX 松浦OM
WSPRnet GL6桁設定しましたが相変わらず4digitしか表示されず 送信機側で6digit送る改良が必要

最初は風でエレメントが揺れ共振周波数が落ち着きませんでしたが、3時過ぎから穏やかになって安定したので50Wのフルパワーで送信、最後に山梨のJH1INM局のCWが聞こえたのでコールし無事QSOできました。

日が落ちるころローディングコイルを160m用の小型のものに換えました。ただ、海水アースだと傘型2条アンテナの装荷コイルなしでの共振周波数が1.5MHzと1.9MHzより下がってしまったためアースを車のボディアースに切り替え共振&マッチングを得ました。FT-817NDの5Wで160mを運用し午後6時コンテストを終えました。
サンセットがとても綺麗だったので一時無線を離れ眺めておりました
昨年は勝浦ダムの傍で運用し、夜の星がとても印象的でしたが今回は夕日が印象的。自然を直に楽しむのも移動運用の醍醐味だと思います。FB、G+、ツイッターつながりの各局には無線しろ!と喝入れられましたが(苦笑)

夕方も6時を過ぎると急に辺りが真っ暗になって冷えてきます。外にある機器に露がつき始めるので早々に撤収を開始し7時前後には現場を離れて帰路につきました。

そしてどよよんさんをお送りする途中恒例のがっつりタイム!

温泉は入りませんでしたが、空腹はしっかり満たしてきました
移動運用では近くにトイレがあるとは限りません。当日朝は軽く食事を摂り、現地に着いたら水分以外はお菓子程度にとどめて過ごします。しっかり食べてしまうと眠くなったり、大をもよおしたりする危険があるからです。ただ頭は働かせないといけないのでチョコレートとか甘めのものを用意します。(一応簡易トイレは装備してはいますがあくまで緊急用)

ともあれ今年も無事に楽しく移動運用できました。同行していただいたどよよんさんありがとうございました。また、QSOいただいた各局おつかれさま&ありがとうございました!