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2020年11月7日土曜日

VN-L5シリーズのマニュアルができました

 VN-L5シリーズの組み立て操作マニュアルができました。キット頒布に先行して公開します。

マニュアルのpdfファイルはここに置いてありますのでダウンロード、閲覧はご自由にどうぞ。

ただし無断2次配布や他所へのアップロードは禁止です。

実際のキットの頒布はまだもうしばらくお待ちください。

2020年8月5日水曜日

VN-L5シリーズ正式リリース版ほぼ完成

VN-L5シリーズ(VN-160L5, VN-80L5)は人柱版頒布から約半年かけて正式リリース版がほぼ完成しました。


サイズ的には従来のVN-xx02シリーズと比較して5mmほど厚くなる程度に抑えました。

ハードウエア的には基本構成こそVN-xx02シリーズを基にしていますが、いろいろと手を加えています。

まず送信部ですが、終段をE級プッシュプル増幅回路とし電源用の大きなMOSFETに変更するなど強化した結果、電源電圧14.5V前後で20W出力可能になりました。QRPで運用する場合は7.4V(リチウムイオン電池2セル直列)に下げるとちょうど5Wとなり余裕をもって運用できます。また高効率のおかげでヒートシンクなしでも通常CW運用に耐えられます。一方出力が20Wクラスと比較的高出力のため保安機能(フューズやSWRが著しく上昇(アンテナトラブルなど)した場合の保護機能(高SWR検出し終段への電源を遮断)を付加しました。さらにプッシュプル増幅のおかげで偶数次の高調波レベルが比較的低く、LPFは定K型2段の最低限の構成でも新スプリアス基準を十分クリアしています。

アンテナ側の送受切り替えは小型リレーを使っています
右下の端子はバッテリー電源用のT型コネクタです
Si5351Aからの送信用信号の矩形波からトランスで180°位相差信号を作り、3ステートバッファロジックICの各々3つのバッファを並列接続したものに接続して、バッファ出力から終段の各NchMOSFETのゲートを駆動
受信部はVN-xx02の構成(高1中2)を継承していますが、ミクサーにはNJM2594というバランスドモジュレータICを、検波にはショットキーダイオードを使ったオーソドックスなリング検波に変更しAFアンプとAGCアンプの定数を見直して部品点数も幾らか減らしました。

複同調回路で使用するLをトロイダルコイルからチップインダクタに変更 中間周波数への周波数変換回路にはDBMモジュールからNJM2594Vに、ショットキーダイオードなどディスクリートで構成した検波回路に変更
送信部の基板に重ねたときに送信部のパーツと干渉してしまうため、検波回路のトランスは裏に装着
AFとAGC増幅には4回路入りの単電源オペアンプICを使い、回路も少し簡略化しました
コントロール部はVN-xx02シリーズと同じPIC24FV32KA302を使っていますが(パッケージはSOICからSSOPに変更しています)、表示部を従来の8x2から16x2タイプに変更し表示を充実させています。また電源スイッチについては比較的大きな電流が流れることからVRのスイッチでは余裕がないため、TX部の基板に装着したPch-MOSFET(μPA2815T1S)をVRのスイッチで制御して電源をオンオフするというスタイルにしました。

VRのスイッチはTX基板上のPchMOSFETのゲートに接続して電源オンオフの制御をしています
PICはSSOPパッケージに変更 基板上の部品密集度はそれほど高くありません
送信時のAFミュート回路やSi5351AのVDDとVDDO間にデカップリングなど追加しました。
裏側のTコネクタは同じコネクタを持つラジコンなどでよく使われているリチウムイオンやニッケル水素2次電池が接続できるように増設しました
というわけでハード的には思い描いていた機能などはすべて実装できました。

ソフト的にもいろいろと機能追加など行いました、LCDは16x2に変更したことから表示領域が広くなったため Sメーター表示の変更、XIT機能、VFO B、電源電圧表示、送信パワー、SWR表示、高SWR(10以上の極端な高SWR)時終段への電源供給をストップしてMOSFETへの長時間のドレイン電圧上昇による焼損を回避する機能を追加しました。

SWR表示

送信パワー表示
高SWR表示(SWR>10)


3Dプリンタでサイドパネルを作成してスピーカーも内蔵できるようにしました。
また本体に装着する小型のパドルも後ほど追加できるようにしたいところです。

80m版 VN-80L5(左後ろ側)160m版 VN-160L5(右下の前)
これでほぼ正式頒布版は完成しましたが、部品調達やマニュアル作成など作業はまだ残っています。

引き続き進めていきます。

2020年6月3日水曜日

各プロダクト用ケース3Dデータ公開

今年になってから続いているCOVID-19蔓延で外出自粛が続く中、自主頒布キットの頒布依頼を多くいただきました。しかしながら頒布準備作業で手いっぱいになってしまったため今月から受付を停止させていただき、次期プロダクトの開発試作を進めることにしました。

とくにケースについては3Dプリンタ出力に頼っており、1セット分を出力するのに半日はかかるため各キットに同梱することがなかなかできていません。

そんなわけで停止期間中何もないのも申し訳ないので、今までのプロダクト用のケースの3Dデータを公開します。

STLファイルで提供しますので大抵のスライサーで読み込み可能だと思います。(ちなみに自分の環境ですが、スライサーにはUltimate Curaの最新版4.61を使いCR-10クローンのGeeetech社製A30プリンタで出力しています。)素材はPLAやABS、ほかのものでも多分問題ないでしょう。各素材の収縮率を加味して出力チャレンジしてみてください。


まずはVN-xx02シリーズ用サイドパネルです。以前のケースを一新して再設計しました。


 下に小型のスピーカー(秋月電子通商のマイクロスピーカー) 内蔵可能です。


ツマミも再設計しました。チューニング用のツマミはクルクル連続して回せるように指を入れるくぼみをつけました。

取り付け用に新たにM3x15mmほどのビス8本ご用意ください。

STLファイルはこちらです。


次はKeyer Mini-V2 Revision2用のケースです。
こちらも新設計です。


旧ケースのような箱タイプではなく、4側面をカバーするタイプです。


底面は、底面のアクリル板を横からスライドさせてはめ込むタイプでビス止めは必要ありません。なお左右側面のパネルにはM3のネジ穴が出力されますが、一度M3用のタップを通してください。

STLファイルはこちらです。

表面の取り付けにM3x15mm程度のビス4本ご用意ください。


次にQRPディジタルVSWRメーターQPM-01用のサイドパネルです。


 VN-xx02用と同様に4側面を覆うタイプのケースです。
 FUNCボタン延長用のボタンもついています。

STLファイルはこちらです。

追加のビスは不要です。8mm高のスペーサと8本の透明なプラスチックビスをそのまま使用します。なお左右側面のパネルにはM3のネジ穴が出力されますが、一度M3用のタップを通してください。


最後にnanoVNA用のサイドバンパーです。頒布したものと同じデータです。



 STLファイルはこちらです。


各々の圧縮ファイル内のexpand_rate.txtに各パーツの拡大率のサンプルを載せました。フィラメントやプリンターによって値が微妙に異なりますので、各自試行錯誤でお願いします。

【注意】
 なおブログ本文へのリンクはご自由にしていただいても問題ありませんが、ファイル自体への直接リンクやファイルそのものの無断転載、第三者への無断譲渡は固くお断りいたします。

2020年3月20日金曜日

VN-L5シリーズ進捗状況

昨年末から立ち上げたVN-L5シリーズの開発進捗状況です。


9名の人柱版製作者からフィードバックをいただきながら改善や機能追加を行い、正式リリースに向けてほぼ仕様が固まってきました。

大きな改善点は、送受切り替え時のノイズとサイドトーンポップノイズの低減、キーイングの立ち上がり部分を緩やかにするソフトキーイングの実装です。

ソフトキーイング処理前の送信波形(黄色)
ソフトキーイング処理した送信波形
ソフトキーイングは以前より実装したかった機能で、送信開始から数ミリ秒ほど定間隔のパルス波で終段の電源制御を行い立ち上がりを鈍化させています。

そのほかエンクロージャと小型の内蔵パドル作成しました。

プログラムの不具合もほぼ解消し、最終的な基板作成に移ろうと思います。

フィードバックいただきました人柱版製作者の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。

2020年2月12日水曜日

関西自作の会&関西ハムシンポジウム2020に参加しました

かねてから参加したいと持っていたJG3PUP山口OM主催の関西自作の会がちょうど関西ハムシンポジウム2020の前日に開催されることになり、初めて参加させていただきました。

阪神尼崎駅近くのホテルにチェックインしてからすぐ会場に向かいましたが、数分遅れで到着したところ窓側のテーブルに各参加者の自作品が並びすでに盛り上がっておりました。
窓側の広いテーブルにたくさんの自作品が!!
というわけで、10名あまりの参加者で17時からスタートし食事やお酒をたしなみながら休む間もなくずーっと自作の話を続けていたらあっという間に22時すぎ・・・いろいろなお話が聴けて楽しかったです。そのあとtwitterでも長いことお世話になっているJP3AEL高橋OMと会長でAKCメンバーのJA6IRK岩永OMと2次会にお付き合いさせていただきました。

中央の細長い黒ボディのミニパドル 優れモノです
今回ハムシンポで岩永OMが頒布した3Dプリンターで作製したミニパドルを拝見させていただましたが、非常に良くできていて操作感もとてもFBな作品でした。ご本人は売れるかどうかと仰っていましたが、多分すぐに売れてしまうだろうと予想していましたらやはりすぐに完売したようです。 増産されるようでしたら1台欲しいなあと思いました。電極にリン青銅版を使用してパドルレバーにもたわみ防止にひと工夫されていて、しかもレバーが収納可能になっています。そこにネオジム磁石も装備しているということでした。軽量なので移動運用にピッタリですね。

ホテルに戻ったのは午前1時近くですぐに就寝し、翌朝大浴場(ビジネスホテルで大きな浴場があるのがポイント)にはいって朝食を摂りゆっくりしてからチェックアウトし電車で一駅移動して関ハムシンポの開場へ向かいます。


 ブースは会場中ほどのいつものリトルガンくらぶブースでしたが机2つ使えたのでゆったりと展示できました。7J3AOZ白原OM&奥様にはいつもお世話になりありがとうございます。

今回は従来のVNシリーズ、VSWRメーターQPM-01キット頒布のほか新VNシリーズであるローバンド用コンパクトCWトランシーバVN-L5の実機展示を行いました。

下のVN-80L5はJE3QDZ吉村OMの人柱版完成機です
この新VNシリーズは基板サイズは従来のVNシリーズと同じ80x60mmのコンパクトに収めコントロール部、送信部、受信部の3枚構成となっており、送信部はプッシュプルE級増幅回路で13.8Vで20Wに迫る出力を出しながら高効率のため放熱板を設けていません。

ありがたいことに展示用として持参した9台目の人柱版キットは頒布する予定はありませんでしたが、熱いご希望により頒布させていただきました。160m版として作成していただけるようです。頑張って完成させていただきたいと思います。

昼休みに会場外のメーカー展示で目にしたのは予約が始まったICOM社のIC-705実働機でした。


自分が開局した当時はVHF帯のコンパクト機が各社から盛んにリリースされていましたが、この2020年に新しいコンパクト機が出るというのはまた感慨深いものがあります。
しかもSDRでHFからV/Uまでカバーするコンパクト機、時代の流れを感じますね。ちょっと見でしたがWF表示などフレームレートやカバー域も十分実用的です。これに今はやりのnanoVNAを携えて車を使わないマルチバンド移動運用なんか比較的手軽にできそうじゃないですか。またD-STARはもちろん搭載済みですがBTなどPC接続もできそうなのでスマートフォンを使ってデジタルモード運用など応用範囲が広そうです。


隣にIC-705瓦煎餅が展示されていましたので、思わず撮影しました(笑)
予約するともらえるそうですが、外缶がIC-705が印刷されているようです。自作派を自称するものとして中身の専売をいただいたら、これをケースにしてマルチバンドのトランシーバーでも詰め込んでやりたいなと妄想しました。

そういうわけであっという間の2日間でしたがとても濃い2日間でした。帰りに白原OM夫妻に美味しいうどん屋さんにお誘いいただきました。写真は撮り忘れてしまいましたが出汁が良く効いた大変美味しいうどんでした。ありがとうございました。

次回は関西アマチュア無線フェスティバルKANHAM2020にAKCとして参加する予定になっています。

追伸:

確定申告の時期で少し忙しくなるので遅くなりますが、関ハムシンポが終了しましたのでVNシリーズなどの通信頒布を再開します。すでに何件かお問い合わせいただいておりますがもうしばらくお待ちください。

2020年2月7日金曜日

関西ハムシンポジウムに参加します

直前告知ですが、2/9(日)に尼崎市リサーチ・インキュベーションセンター(通称ARIC)で開催されます関西ハムシンポジウム2020に参加します。

たぶん2年ぶりの参加になると思いますが、いつものリトルガンくらぶブースにお邪魔させていただいて頒布・展示を行う予定です。

 今回VNシリーズとQPM-01(+α)の頒布を行いますが、ごくごく少数の頒布になりますので完売の際はご容赦ください。

展示は出力を強化したローバンド用の新VNシリーズ、VN-L5シリーズ(VN-160L5, VN-80L5) 完成実機とAKCメンバーの一人JA6IRK岩永OM設計の50MHzSSB/CWハンディトランシーバPocke6(ポケ6)の超人柱版完成実機などです。

季節柄インフルエンザなどウイルス感染症が流行しており、加えて新型コロナウイルスもぼちぼち国内で感染者が出てきております。イベントにはたくさんの方が来場されます。感染予防(手洗い、うがい、適切なマスク装着)は私を含めて参加する皆さん一人一人が確実に行うようにお願いいたします。

2020年1月14日火曜日

ローバンド(160m, 80mバンド)用小型CWトランシーバVN-L5シリーズ人柱版モニター募集について ⇒ 1/17定員に達したので締め切ります

昨年末から試作を続けていました、ローバンド用新VNシリーズ”VN-L5シリーズ”の人柱版の基板が到着し、実際に組み立てて動作を確認しましたのでベータテスターを募集します。

組み立てた実機は来る2月9日(月)兵庫県尼崎市で開催されます関西ハムシンポジウム2020で参考展示し、人柱版のフィードバックを受けて7月に開催されると思われる関西アマチュア無線フェスティバルもしくは10月開催予定のハムフェアで正式頒布を考えています。

そういうわけでイベントに先行して人柱版を少数頒布しますが、以下の応募条件にすべて該当する方を募集します。応募方法は、jl1vnq(アットマーク)gmail.comあてに、「VN-L5シリーズ人柱版キット頒布希望」の件名で(お持ちであれば)コールサイン、お名前、住所(発送先)、連絡が取れるメールアドレスをお送りください。

申し込みはメールに限ります。
twitterやfacebookなどのSNSのDM、messengerでは送らないでください。

折り返しモニター依頼のメールをお送りします。募集人数に達した段階で締め切ります。

応募要項 ⇒ 1/17募集人数に達したので締め切りました

募集人数8名(締め切りました)

応募条件
1.無線機の自作もしくは無線機キット製作経験があり、かつ表面実装部品の装着に十分慣れていること。
2.必ず組み立てること。(積みキットにしない)
3.ある程度自身でトラブルシュートが可能であること。
4.20MHz以上のオシロスコープを所有し、かつ操作できること。
5.PICプログラマ(Pickit3)を所有し、MPLAB X IDE環境があること。
(装着してからでないとPICにファームウエアをプログラムできないため)
6.改善案などのフィードバックもしくは製作レポートの公開(SNSやブログで)が出来ること。
7.ファームウエアのソースコードは現時点で非公開なので、無断で公開したり第三者への配布をしないこと。

必須条件ではありませんが、免許をおろして実運用していただけると嬉しいです。

キット頒布価格7,000円前後を予定

頒布時期2月前後を予定

キット内容
VN-L5シリーズCTRL部、TX部、RX部各基板と装着パーツすべて
(160m、80m両方のバンド依存パーツ同梱、どちらか好きなバンドを選択可能)

上下アクリルパネル(スイッチの穴加工が必要です)とスペーサ、つまみ類

160m、80m用のファームウエアとプログラムコード、簡単な説明書(pdfファイル)
(いずれもオンラインで提供)

ちなみに組みあがるとこんな感じです。(画像右上)

黒い基板のやつです

※参考
VN-L5シリーズ現時点での主な仕様

 [受信部]
 受信周波数 VN-160L5 0.5~2MHz,VN-80L5 3.2~4MHz
 受信部構成 高1中2シングルスーパーヘテロダイン
 中間周波数 6MHz
 クリスタルフィルタ通過帯域 約500Hz
 受信感度 -130dBm前後(簡易SG測定)
 消費電流 110mA(無音時)

 [送信部]
 送信周波数 JAバンドプランに準拠(オフバンド送信禁止)
 終段形式 プッシュプルE級増幅
 送信出力 20W@14.5V,18W@13.8V,13W@12V,10W@10V,5W@7.4V
     (周波数による変動あり)
 不要輻射 2次高調波-50dBc以下 帯域外不要輻射-40dBc以下
 効率(システム全体で)約75~80%

 [制御部]
 VNシリーズと同等
 追加点 パワーメーター,電源電圧表示,バンドプラン内表示

 外形サイズ(突起物除く) W64mm x H84mm x D42mm
 電源電圧 6.5~15.5V

 というわけで、よろしくお願いいたします。

追記:1/17 8名申し込みありましたので募集を締め切ります。ありがとうございました。

2019年12月21日土曜日

ローバンド用新VNシリーズの試作

あっという間に2019年も終わりに近づいてきていますね。

自作界隈ではいろいろとありました。まぁそれは後ほど年末の総括で振り返ることにして、モノバンドCWトランシーバキットVNシリーズにたくさんの方が興味を持っていただいたことに感謝するとともにそろそろ新しい展開をということで、次の展開として下のバンド160mと80m用のトランシーバーを進めることにしました。

2年ほど前に160mと2200m用のE級パワーアンプの実験を行ってきましたが、その後いったんストップしていました。今年になって今までの回路、基板CAD関係をKiCADver.5に移行しまず手習いとしてデジタルVSWRメーターの回路基板設計をおこない、次に11月ごろからローバンド用のトランシーバーの回路基板設計と試作を再開しました。

KiCADは部品やフットプリントライブラリをそろえることがやや大変ですが、リストにないものはデータシートを見て最初作ってしまえば流用がいくらでもできるので、あとあと楽になります。しかも回路図と基板レイアウトがネットリストで連携していることと、ベタ塗りの更新が非常に楽なところで今までの環境(PCBE)より圧倒的に作業効率が高くなります。

で、今回のローバンド用のトランシーバーですが基本的には従来のVNシリーズの構成を継承しています。ただしローバンド用として送信部を強化(パワーUP)し、安定して20Wクラスの出力が出せるようなものにしてみました。それでも基板サイズは60x80mmというコンパクトサイズにこだわりました。

というわけで、この記事では強化した送信部を中心にプチ解説します。

回路自体は2年ほど前に公開したものを流用しています。
CTRL部からの送信用3.3Vロジック信号をロジックICのバッファで受け、5V信号にレベル変換したのちC1でDCカットしT1のトランスで180°位相差信号とします。各々の信号をD1、D2でマイナス成分をカットし再び3つパラレルにしたバッファに入力して2対のパワーMOSFET FKI10531を駆動します。そのあとC5,6,L1,2で構成するE級ネットワークを経てインピーダンス変換トランスT2でインピーダンス変換したのち定K2段のLPFを通して出力としています。

今回の回路のミソはドライブ回路のバッファとして使用したロジックICの3ステートバッファ 74541です。このICは8個のバッファが入っていて、最初の2つのバッファで5Vレベル変換、残りの6つでゲートドライバとしています。パワーMOSFETのFKI10531は入力容量が1530pFとかなり高いのですが、total gate chargeが9.0nC(VGS 4.5V)で駆動電流もさほど大きくなく、かつturn off delay 13.7ns、Fall timeが6.0nsと高速なため短波帯までの10W級スイッチングPAには十分適応できるデバイスだと思われます。秋月で1個40円くらいで安いですし使わない手はないのではと。(ただ"D"マークがついちゃっているのが残念)

LPFは定K型2段構成ですが、プッシュプルで偶数次の高調波が抑えられており2次高調波の周波数で-20dB台でも送信波の測定では-60dBc近くまで2次高調波を抑える事が出来ています。

あとキーイングはVDDとSi5351A制御で行っていますが、VDDのコントロールにはDMG3415Uという小さな表面実装型Pch MOSFETを2つパラレルにして実装しています。この小さなパッケージでもID -4.0Aと結構大きいので数A程度の電源制御に好んで使っています。

そういうわけでKiCADで回路図を書いてから同じソフトのPCB CADに転送してパターンづくり、ガーバーデータ生成、PCB業者にアップロードして1週間程度で基板が送られてきます(なんという便利な世の中なのかと実感する瞬間(笑)。

 実装した送信部です。


パワーMOSFETの一つは裏側に装着していますがいずれもヒートシンクレスです。出力は13.8Vで20W前後、リチウムイオン電池2個直列の7.4Vでは約5WのQRPとなりました。
効率は全体のシステムで75%程度とまずまずでした。

そのあと受信部を実装し、CTRL部、送信部、受信部の3枚重ねとして試作機が完成しました。



こちらは80m版の試作機 E級ネットワークとLPFの定数変更で対応可能です

まだ修正や追加実装などを経て基板を再発注し、最終的な試作機が完成したら年明けのどこかのイベントで展示できるかもしれません。キットとしての頒布はまだその後ですね。

2019年12月6日金曜日

【重要】年内のキット頒布終了します

2019年ももうすぐ終わりになります。

 今年もVNシリーズをはじめ、拙キット楽しんでいただきましてありがとうございます。
 いろいろと忙しくなる時期に来ましたので、本年のキット頒布はこの投稿をもって終了とさせていただきます。

 すでに頒布希望をいただいている方は準備完了まで今しばらくお待ちください。

 取り急ぎご連絡まで
2019.12.6 JL1VNQ / HARU

 I will no longer accept this year's kit distribution (VN series, QPM-01, Keyer Mini-V2 Revision2).

Please wait for it to resume next year.

Thank you.

2019年4月21日日曜日

CQ hamradio 5月号に紹介されたVN-4002

大変ありがたいことに、先般CQ hamradio 2019年5月号にVNシリーズ(VN-4002)の紹介記事を寄稿する機会をいただきました。

商業誌に寄稿した経験はなくはないですが、作家などの文章書きを生業としているわけではない所詮は素人ですから雑誌の意向に沿った気の利いた文章などはなかなか書けません。にもかかわらず体裁含めきれいにまとめてくださった編集の皆様に感謝申し上げます。


原稿のやり取りの中で、編集者の方のメールに『読者にこのキットの魅力を伝えたい。特徴を箇条書きに。』とありました。

え?『魅力』ってなんだろう・・・考えたことがなかったのでしばらく悩みました。

もともとこのトランシーバーをどうして作りたかったのかっていう最初の動機をたどってみました。それがもしかしたら魅力につながっているかも、ということで。

カムバックした数年前ネットで海外の様々なQRPキットを取り寄せては作っていました。このときから移動用で実用的な無線機を作ってみようと思い、どうせ作るなら小型にしてマイコンを取り入れてメモリーキーヤー内蔵したりなど一台で完結させてしまおうと欲張りな仕様を考えました。

最初はブレッドボードからスタートし、ユニバーサル基板にまとめ、プリント基板を外注した初めての人柱版から現在に至るわけですが、一貫して目指したところはいかに小型にするかということと、十分な受信性能と送信出力、無線機としての機能も充実させるということでした。

実際に頒布を継続している中で、頒布させていただいた方々の使用感を眺めてみると、小型でいてそれにもかかわらず性能が十分であるというところが評価されているようで、このことが一つの魅力なのだろうかと思いました。

文章では表現がなかなか難しく、掲載された記事を見ても大きさなどは例えば実際の市販のハンディ機などと横並びさせた画像を出しておけばよかったとか実際の移動運用レポートをもう少し具体的に挙げるなど何点か反省点はありますが、紹介記事としては十分なのかもしれません。

ともあれ自分がこういったものを作りたい、という思いを忘れずに新しいプロジェクトを進めていこうと思っています。

2019年2月28日木曜日

表面実装部品の手ハンダ装着方法

気が付かないうちにもう2月も終わりですね(汗

ところで、ぼちぼちVNシリーズキットの頒布ご希望をいただいており大変ありがたく思うとともに、表面実装部品を扱うのが初めてという方も多くなかなか苦戦されておられる方も多いと聞きます。

組み立てる自信がない場合のために製作代行も合わせて行うようにはしましたが、本来はやはりご自身の手で組み上げ、完成のよろこびと実際に運用して楽しんでいただきたいと思っています。

そんなわけで、最難関の一つ表面実装部品の装着方法(ハンダごてを使う方法でリフローではありません)について、VNシリーズのマニュアルにも簡単に書いてありますが、自分の経験とほかの資料を合わせ備忘録として少しばかり具体的にまとめてみます。

1.まずは道具
何はなくともハンダごて・・・
 とはいえハンダごてなら何でもいいというわけではないです。よく表面実装用のハンダごてと称したものもよく見かけますが、30W以下の低W数のハンダごてではたいていうまくいきません。
 もし部品のランドにつながるパターンがいずれも細ければ低Wのハンダごてでも装着はできますが、やや大きな部品や高周波回路を扱うような広いグラウンドパターンにつながる場合はハンダごての熱が拡散し温度が下がってしまってうまくハンダ付けする事が出来ません 。
 ですので大は小を兼ねるといった感じで最初からW数の大きなハンダごてを用意するべきだと考えています。そのほうが作業がスムーズになりより楽になります。

 例として私のハンダごてはgoot製のPX-201という70Wの温度調整付きのものです。
http://www.goot.jp/handakote/px-201/

 このモデルは比較的安価で(4,5千円くらい)こて先のバリエーションも豊富です。私の場合は標準のものよりやや細めので先端が斜めにカットされたPX-2RT-2BCというこて先に替えて使用しています。この先端斜めカットが自分にとってはやりやすくほかのこて先も試しましたがこれが一番使いやすかったです。

あとは、拭き取り用のスポンジ付きのこて台はあると良いですね。水を含ませたスポンジでこて先に付着した余計なハンダや酸化膜を拭きとってくれます。

ハンダ
 最初から扱いの難しい鉛フリーハンダを無理して使わなくても、従来の共晶ハンダで問題ありません。0.5mm径以下の極細のフラックス入り糸ハンダがベストです。小さい範囲のハンダ付けですから使用するハンダの量も少ないので、ハンダの送り速度が大きくても、細ければハンダの送り量は少なくなるので調整もしやすくなります。

しっかりしたピンセット
 前の2つと同じくらい表面実装で使う道具として重要なのがピンセットです。ピンセットはいろいろな種類がありどれを選んでよいものか迷ってしまいますが、正確に確実にチップ部品をつまめてなおかつしならないものが理想です。ただつまめても保持が不安定でまたしなってしまうと容易にチップ部品を飛ばしてしまいます。
 現在私が好んで使っているピンセットは、HOZANのP-894という肉厚で先端が極細のものです。投げたら当たったものに容易に刺さります。手裏剣としても使えそうです(笑)

https://www.hozan.co.jp/catalog/Tweezers/P-894.html

 なぜ細いのが良いかというと、チップ部品の包装フィルムをはがすのにちょうどよいからです。ピンセットは先端がチップの形状に合わせて角ばったものなども使っていますが、このP-894は応用範囲が広いので便利です。肉厚でしっかりしているのでピンセットの先端の感覚が指に伝わりやすくそれだけでも使い心地は全然違います。

拡大鏡
 普通の手持ちルーペや電子拡大スコープなどは手軽な反面作業にはあまり向かずどちらかというと装着後のチェックとして使うのに向いています。
 というわけで装着作業には頭部に装着するタイプのヘッドルーペが最適でしょう(ハ○キルーペっていうのもありますが)。拡大率は2倍前後で十分です。作業エリアはできるだけ明るくすると見やすくなるのでLEDライト付きのでもデスクライトを近くに持ってくるなどでも良いでしょう。

ハンダ吸い取り線(ハンダ吸い取り器)
 狭ピッチのICピン同士のハンダショートをリカバーするために必要です。幅の種類がいくつかありますが、比較的太めのもの1種類あればよいです。先端を斜めにカットすれば狭い部分にも対応できるので何種類も用意する必要はありません。

フラックス・フラックス除去剤
 ICのピンや表面実装の薄く平べったい水晶発振子のハンダ付けにはあらかじめ基板のランドとパーツの足にフラックスを塗っておくとすっときれいにハンダがのってくれます。慣れてくると糸ハンダに含まれているフラックスだけで十分ハンダがのりますが、部品の裏に端子が出ているものはフラックスがないと裏の端子までハンダが行きわたらないので、そういう場合にはフラックスを使います。
 装着後はハンダ付けによって周りに焦げたフラックスなどが残ってしまうため、フラックス除去剤で余分なフラックスを装着後に塗って拭き取ってしまいます。

そのほか
  カッティングマットや滑り止めシートなど。基板がずれないように固定するには100均ショップで売っている滑り止めシートが便利です。あとは小さなチップ部品をなくさないように一時的にためておくバットなどもあると便利です。

2.表面実装部品の装着方法について
  でもっていよいよ実際のハンダ付けの方法ですが・・・
私の場合こちらのサイトの手順に近いです。

https://noseseiki.com/kisokouza/15.html

(右利きの場合ですが)コンデンサや抵抗のような2つの端子の場合、まず向かって右側のランドに薄く予備ハンダを盛ります。次に左手にピンセットを持ち装着したいパーツの長辺をピンセットの先でつまみます。このときパーツが浮かないように底面を基板に接しながらスライドして予備ハンダしたランドに近づけます。そして右手にハンダゴテを持ち予備半だのランドにこて先を当てて予備ハンダを溶かしながらピンセットでつまんだパーツの右端子を溶けている予備ハンダのランドまでスライドさせ装着位置にセットしコテ先をランドから離して右側を仮装着します。それから反対側のランドにコテ先を当てハンダを少量送り反対側をハンダ付けしたら仮装着した右側のランドに再度こて先をあてて本装着します。
 上のサイトのページでは微量フラックスを塗布するように書かれていますが、糸ハンダ内のフラックスで十分きれいに装着することが出来ます。
 同じような要領でトランジスタやICのピンを装着していきます。要はどこかのピンを先に仮装着して位置決めをしてから他の端子からじっくりハンダ付けすればOKです。
 言ってしまえばそれほど難しいものではありません。実際に手を動かして数をこなせば失敗は少なくなります。
 あと、ランドにつながっているパターンの大きさを見てこてを当てる時間やランドに当てるこて先の面積などを自分なりに調整できるようになれればより確実に装着できるようになるでしょう。

 また実際に組む前に練習したいならば、amazonあたりで検索すると練習キットなども購入できるようなので、取り寄せて練習するのも良いでしょう。

装着例(VN-4002 RF部)

2018年7月12日木曜日

Radioberry2製作記 その4(送信チェック編)

Radioberry2の受信動作は特に問題なく、VLFからHF帯までカバーしているようです。

またRaspberryPi3に渡す信号のサンプリング周波数は一番下の48kHzを選択していますが、このサンプリング周波数ではほぼ途切れることなく受信することが出来ます。しかし96kHz以上は処理が追い付かないのか途切れが頻出するのであまり実用的とは言えません。

一方送信機としてはどんな按配なのか、今回Radioberry2の送信波についておなじみAPB-3スペアナで簡単に検証してみました。

Radioberry2の送信出力からスペアナの間に30dBのアッテネータ挿入して、まず7MHz帯でキャリアを出してみました。のですが・・・


一見なんじゃこりゃ、みたいな結果です。基本波の高調波でないスプリアスが乱立していて1MHz以下にも高いレベルの信号が観察されました。これをただ眺めていても埒が明かないので、送信周波数をいろいろと変えて観察していると低い周波数で気がついたことがありました。

まず、160mバンド。


基本波の高調波はきわめて低いレベルに抑えられています。が、高調波に関係の無い柱が2本見えています。12bitDACから出力される信号波形はもともとはきれいなはずですが、この高調波に関係の無い不要信号は一体何なのでしょう。

次は136kHzで送信した信号のスペクトルです。


1MHzスパンでは、高調波レベルが2次高調波が最大で-52.23dBcとても優秀です。

ではもう少しスパンを拡げてみるとどうでしょう・・・


APB-3最大の50MHzフルスパンで観察すると、7.5MHzと15MHz付近に各々2本の不要信号が見えます。

では475kHzではどうかというと・・・


まず3MHzスパンでは3次高調波が最大で-52.57dBcとこれまた良い結果でした。

で、フルスパンはどうでしょう。


と、136kHzでの結果に良く似ています。ただし、2本の不要信号の間隔は136kHzの結果よりやや広いです。

これを見てもしやと思い、今度は160mバンドと500kHzで出力を測定して各々のスペクトラムを重ねてみました。


やや見えにくいと思いますが、それぞれ10MHzスパンでスキャンしたものを重ねています。すると右のオレンジ色の縦線を中心に出力周波数分だけ上下に不要信号が見えています。

AD/DA変換を司るAD9866のデータシートやソフトウエアのコードをまだ良く見ていませんが、どうやらこの不要信号はオレンジ色の縦線の周波数7.68MHz付近をサンプリング周波数としたときのaliasing signalではなかろうかと勝手に想像しています(違っていましたらぜひご教示くださいっ!)。そうすると最初7MHzのときに見た1MHz以下の不要信号に説明つけられそうです。

もしそうならこのADC出力がまともに扱える対象の周波数は3MHz以下ということになります。

逆に現状のファームウエア、ソフトウエアでは160m(1.8/1.9MHz)バンド以下が実用に耐えうるのではかいかと考えられました。

このRadioberry2のファームウエアの開発が進めばもっと高い周波数でも使えるようになるかもしれませんが、現状は136kHz、475kHz、1.8/1.9MHzが限界かもしれません。 これらのバンドであれば出力に簡単なLPFを挿入すればOKでしょう。

送信波スプリアスについてはある条件下で使える可能性がでてきましたが、それとは別の問題としてRaspberryPi3の処理が追いつかないのか信号が断続してしまい、結局そのままではまだまだ実用レベルとはいえません。

Radioberry2は今後も開発は随時進んでいるようなので、どこかでまた追試でもしようかと思います。