2016年6月8日水曜日

7MHzQRP(p)CWトランシーバ進捗

制御部、受信部、送信部の3パートに分けてそれぞれ試行錯誤続けてきました。
3パート基板(制御部、受信部、送信部)を相互に接続して一応トランシーバとしての運用は可能な状態に
写真では未実装でしたが、このあとアンテナ切り替え回路を作りこみトランシーバとしての形態はひとまず完成しています。もう少し受信部回路と制御ソフトウエアの手直し、電源部分の作りこみをして試作機を完成させ、次にプリント基板を作成していく予定です。

暫定回路図をUPします。
VFO/BFO発振&制御パート
MCUのPIC24FV32KA302に4つの操作ボタンとI2Cバスにぶら下がるキャラクタLCDと局発とBFO、送信キャリア発振を担うSi5351A、ロータリーエンコーダという単純な構成です。PICはピン数が少ないPIC24FV32KA301(20pin)でも間に合いそうでしたが、秋月のサイトを見るとなぜかディスコンマークがついている(本家ではin productionになってますが...間違い?)のとマルチバンド化した場合のバンド切り替え追加などを考えた結果ピン数で余裕のある302のほうにしました。

いずれもPIC24シリーズの中で数少ないEEPROM搭載モデルですね。

ロータリーエンコーダとスイッチ類のチャタリング対策は、Keyer Mini-V2でのソフトウエア対策を継承しているのでハード的な追加対策はしていません。パドルポートはサージ対策を追加する予定です。

上が受信部 下が送信部とLPF部
 受信部はプリアンプ1段、IF3段、AF1段構成でD級AFアンプモジュールPAM8012に続きます。

IF段の2SK241GRのソースには2.4kΩという比較的高抵抗を挿入してGNDに接続し、出力側は各々マイクロインダクタによるL負荷で非同調としています。実験で測定した2段アンプでは、IF周波数域がマイクロインダクタの自己共振周波数に近く実測でもその周波数周辺でゲインがピークだったことから試作機でもそのままにしています。この辺のアイディアはJR3TGS局のサイトを参考にさせていただきました。

Si5351Aの出力インピーダンスは85Ωと低く出力波形は矩形波です。そのためいわゆるギルバートセル型ミクサIC(たとえばSA612とか)は使わずに、局発混合と検波用にはいずれもダイオードDBMを採用し、Si5351AのCLKOUTを直接DBMのLOポートに接続しています(念のため3dBパッドは間に挿入していますが)。矩形波ドライブのスイッチング動作と考えるのであれば、ダイオードDBM以外にも4066などの高速アナログスイッチICの採用もありですね。

AGCは2SC1815のAF出力を負電圧で整流し、プリアンプとIF3段のゲートに接続しています。Sメータは整流電圧をPICのAD変換に直接接続するため、別途正電圧を出力する整流回路を入れました。

 クリスタルフィルタは、秋月やaitendoなどで安く売られているマイコンクロック用の4MHzの小型水晶を使い5段ラダー型(バターワース)フィルタとして設計しましたが、インピーダンスは約1.4kΩと高いため、DBM出力との間にインピーダンス変換トランスを置きました。

またIF出力と検波用DBMが直接繋がっているとの指摘を頂いたので、こちらも何らかのインピーダンス変換回路を入れようと考え中です。

PAM8012モジュールは秋月製で3.3Vと低電圧で動作し、ヒスノイズがほとんどなく送受切り替え時でもポップ音は少ないためミュート回路なしで良さそうです。多くの製作例ではたいていLM386Nが使われていますが、そのままでは電源オンや送受切り替え時のポップ音が大きくまた発振しやすいため、その対策に結構手を焼きますよね。

送信部はドライブにロジックICを使います。ファイナルのBS170のゲートコントロール電圧をなるべく上げたいため電圧変換に最初バイポーラトランジスタを使おうと考えましたが、前の投稿のとおり高周波領域では実用にならないので結局ロジックICに落ち着きました。それでもなるべく出力電圧を上げるためにICの電源電圧を推奨動作電圧の上限6Vとしています。(5Vとどれだけ違うのか検証しませんでしたが^^;)

ファイナルのBS170は余裕を持たせるため2パラとし、出力インピーダンスを下げるため1:4のトランスを置いてLPFに流します。この構成では電源電圧9Vで2W強出ています。バッテリー運用を前提にしているので低めの電圧でこの出力なら充分でしょう。QRP上限の5Wを出力するにはBS170をもうひとつ並列接続するかRD06HVF1などのより大きなデバイスに交換でしょう。また、QRPp上限の0.5Wまで下げるためBS170への電源電圧調整回路も追加を考えています。

 アンテナ切り替えにはダイオードスイッチかリレーの採用を考えていましたが、フルブレークイン運用目標なのでダイオードスイッチとしました。デバイスにはPINダイオードが良く使われていますが、低い周波数では信号が歪んでしまうことからVHF以上の高い周波数での応用が主です。一方10W程度の中電力系HF機のキットでよく使われている整流用ダイオードではアイソレーション改善対策がやや厄介なため、さてどうしたものかと思っていたところ、これもJR3TGS局のサイトからなのですが、インダクタとコンデンサを直列接続して接続点にスイッチングダイオードを2本並列に極性をかえてGNDに接続するアンテナ切り替え回路を見つけました。そこで今まで自分が作った海外のQRPキットの回路図を見なおしてみると同様の回路が採用されていました(但しインダクタとコンデンサの位置が反対になっているようでしたが、どちらでもよいのでしょうか)。簡単な回路で実用的であれば採用しない手はありません。

動作原理はTGS局のサイトをご覧になっていただくこととして(汗)早速試してみました。

受信アンテナ側にオシロスコープのプローブを繋げて送信してみましたが確かに0.6V程度でしっかりクランプされています。念のためプリアンプのゲートにもクリッパ回路を組み込んで、受信アンテナ端子に繋げ送信してみましたがとくにフロントエンドへの影響は特になさそうです。また実際の受信でも、この回路による損失は体感レベルでは感じられなかったのでこの回路を採用することにしました。

 というわけで、一応トランシーバとしての基本構成が出来上がりました。

そろそろ変更出さないと(汗)

2 件のコメント:

  1. なるほど>アンテナ切り替えスイッチ

    返信削除
    返信
    1. ひえださん、こんにちは。

      QRPならではの方法ですよね^^

      削除