2018年7月13日金曜日

第23回関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM 2018)に参加します

明日から2日間(7/14、15)大阪府池田市で開催される第23回関西アマチュア無線フェスティバル、通称関ハム(KANHAM 2018)にまたまた参加することになりました。

今回もいつもの『リトルガンくらぶ』ブースにて頒布・展示を行います。ブース主の7J3AOZ 白原さん、いつもありがとうございます。こちらのブースではジャンクやオリジナルグッズなど販売しておりますので皆さん是非お立ち寄りください。

目印は下のポスターです。


私自身は当日早朝新幹線で関西入りしますが、開会時間には多分間に合うと思います。

で、私の出し物なのですが、


まずポケットサイズHF帯モノバンドQRP CWトランシーバーキットVNシリーズ(VN-4002, VN-3002, VN-2002)各モデル3セットずつ用意いたしました。最新ファームウエアプログラム済みで1セット8,000円です。

Keyer Mini-V2 Revision2は在庫切れのため今回は頒布はありません。

実働展示物ですが、すべてSDRキット製作物になりました。

まずはHFオールバンド・オールモードSDRトランシーバーキット mcHF V0.7


TT@北海道さん設計頒布されたSDRキットCentSDR (初期バージョン)


それから先日ブログ記事にしたRaspberryPi3のGPIOヘッダに接続するSDRトランシーバー拡張ボード(HAT)Radioberry2


机上スペースが限られているので全部は載せきらないと思いますが、一応これらを持参いたします。

当日は猛暑が予想されています。ご来場の際くれぐれも熱中症にはお気を付けください。

では当日皆様とのアイボール楽しみにしています。

2018年7月12日木曜日

Radioberry2製作記 その4(送信チェック編)

Radioberry2の受信動作は特に問題なく、VLFからHF帯までカバーしているようです。

またRaspberryPi3に渡す信号のサンプリング周波数は一番下の48kHzを選択していますが、このサンプリング周波数ではほぼ途切れることなく受信することが出来ます。しかし96kHz以上は処理が追い付かないのか途切れが頻出するのであまり実用的とは言えません。

一方送信機としてはどんな按配なのか、今回Radioberry2の送信波についておなじみAPB-3スペアナで簡単に検証してみました。

Radioberry2の送信出力からスペアナの間に30dBのアッテネータ挿入して、まず7MHz帯でキャリアを出してみました。のですが・・・


一見なんじゃこりゃ、みたいな結果です。基本波の高調波でないスプリアスが乱立していて1MHz以下にも高いレベルの信号が観察されました。これをただ眺めていても埒が明かないので、送信周波数をいろいろと変えて観察していると低い周波数で気がついたことがありました。

まず、160mバンド。


基本波の高調波はきわめて低いレベルに抑えられています。が、高調波に関係の無い柱が2本見えています。12bitDACから出力される信号波形はもともとはきれいなはずですが、この高調波に関係の無い不要信号は一体何なのでしょう。

次は136kHzで送信した信号のスペクトルです。


1MHzスパンでは、高調波レベルが2次高調波が最大で-52.23dBcとても優秀です。

ではもう少しスパンを拡げてみるとどうでしょう・・・


APB-3最大の50MHzフルスパンで観察すると、7.5MHzと15MHz付近に各々2本の不要信号が見えます。

では475kHzではどうかというと・・・


まず3MHzスパンでは3次高調波が最大で-52.57dBcとこれまた良い結果でした。

で、フルスパンはどうでしょう。


と、136kHzでの結果に良く似ています。ただし、2本の不要信号の間隔は136kHzの結果よりやや広いです。

これを見てもしやと思い、今度は160mバンドと500kHzで出力を測定して各々のスペクトラムを重ねてみました。


やや見えにくいと思いますが、それぞれ10MHzスパンでスキャンしたものを重ねています。すると右のオレンジ色の縦線を中心に出力周波数分だけ上下に不要信号が見えています。

AD/DA変換を司るAD9866のデータシートやソフトウエアのコードをまだ良く見ていませんが、どうやらこの不要信号はオレンジ色の縦線の周波数7.68MHz付近をサンプリング周波数としたときのaliasing signalではなかろうかと勝手に想像しています(違っていましたらぜひご教示くださいっ!)。そうすると最初7MHzのときに見た1MHz以下の不要信号に説明つけられそうです。

もしそうならこのADC出力がまともに扱える対象の周波数は3MHz以下ということになります。

逆に現状のファームウエア、ソフトウエアでは160m(1.8/1.9MHz)バンド以下が実用に耐えうるのではかいかと考えられました。

このRadioberry2のファームウエアの開発が進めばもっと高い周波数でも使えるようになるかもしれませんが、現状は136kHz、475kHz、1.8/1.9MHzが限界かもしれません。 これらのバンドであれば出力に簡単なLPFを挿入すればOKでしょう。

送信波スプリアスについてはある条件下で使える可能性がでてきましたが、それとは別の問題としてRaspberryPi3の処理が追いつかないのか信号が断続してしまい、結局そのままではまだまだ実用レベルとはいえません。

Radioberry2は今後も開発は随時進んでいるようなので、どこかでまた追試でもしようかと思います。

2018年6月29日金曜日

Radioberry2製作記 その3(復活編)

完成にたどり着いたかのように見えたRadioberry2でしたが、まともに受信できずFPGAとAD9866のピンの追いハンダとブリッジチェックを繰り返しました。しかし一向に改善の兆しもないまま虚しく時間が過ぎていきました。

あれこれ悩んでLeoさんにもう一セットキットを送ってもらおうかとメールを送ったところ、重要なヒントをいただきました。

FPGAのhermes-emulatorの受信時の実行時間が1秒前後かどうかまずチェックを、ということで実行時間が表示されるバージョンのhermes-emulatorに差し替えて実行してみると、実行時間が2倍の2秒前後とでました。

改めてLeoさんの報告するとAD9866の不良ではないかという事でした。前例がありまず間違いないだろうということで、再びAD9866を外して新しいAD9866に交換することにしました。

AD9866はあらかじめ別の試作用に取り寄せていたものがあったので、そのうちの一つに交換しました。

AD9866の周りをふたたびカプトンテープで覆います
サーマルパッドにハンダを流したので外しにくく、周りのパーツが少しずれてしまいました
ネットで取り寄せておいたAD9866 このうちの1つを使いました
慎重にピンとランドを合わせて手ハンダで装着 もうこれ以上は基板がやばそうです
というわけで何とか新しいAD9866に換装完了しました。基板が落ち着いたところで、システムを起動させhermes-emulatorで実行時間を確認すると、


1秒前後になり正常動作しているようです。早速アンテナをつなぎPIHPSDRを起動させました。
 

NHK第1(594kHz)が受信できました。やっと正常に受信できるようになりました。

各バンドの受信の様子を動画をアップしてみます。

594kHz NHK第1

7MHz帯 アマチュアバンド

40kHz JJY

LF帯でも相応のアンテナ(PA0RDT mini-whip)を接続すれば良好に受信できます。ただし中波放送帯の強力な信号による飽和を回避するため以前製作した中波放送帯BEF(band elimination filter)を挿入します。

というわけでRadioberry2の受信動作が確認できました。送信部分はまた追々テストしていこうと思います。

2018年6月28日木曜日

Radioberry2製作記 その2(苦悩編)

さてようやく全パーツを装着したRadioberry2ですが、Raspberry Pi3につなげる前にOSのセットアップと必要なソフトウエアのインストールを行います。

タッチパネル付きLCDディスプレイの背面にRaspberry Pi3を装着しています
だいぶ前に秋月で購入したElement14版のRaspberry Pi3 model Bと、専用の7インチカラー・タッチスクリーン付きLCDディスプレイを接続してmicroSDカードに最新NoobsをPCからコピーしてPi3本体のmicroSDカードスロットに挿入して電源を差し込み起動します。そうすると自動的にRaspbianがセットアップされます。

再起動後デスクトップが表示されます。某有名OSよりも簡単です。すごい。
 OSセットアップ後は最新アップデート、アップグレードを施してFPGAのファームウエア設定プログラムとSDRプログラムHPSDRをインストールします。詳細はGitHubのwikiページを参考にしていただきますが、まずRaspberry Pi3の設定とFTPサーバのインストールと設定を行い、Radioberry2のFPGAクロック設定、ファームウエア転送ソフトをインストールし、FFT演算ライブラリなどいくつかのライブラリの導入とPIHPSDRのインストールを行います。

pihpsdrコンパイル中
 必要なソフト類をインストールしてようやくPi3のGPIOヘッダにRadioberry2を差し込みPi3を起動、FPGAのセットアッププログラムを起動してPIHPSDRを起動します。しばらくすると、SDRでお馴染みのバンドスコープとウオーターフォール表示が出てきます・・・

何も表示されていないむなしさよ・・・
・・・ってありゃりゃ!?なにも表示されません。当然音も聞こえません。

あれこれ調べていくと、コンソールに記録されているFPGAのプログラムのログに、prepareLoading failedってでています。つまりFPGAにファームウエアが正しく転送されていないようでした。

一旦Radioberry2を外してFPGAのピンの装着状態を確認します。ブリッジが1,2か所疑われたため追いハンダなどで解消して起動しなおしましたがやはり同じ・・・ちょっと困ってしまいましたが、PUPさんのブログにチップ底面のサーマルパッドに基板の裏からハンダを送り込むと動作が安定したという記事を見付けました。

そういえばFPGAとAD9866の裏側にハンダを流し込む穴があったけれど、まだハンダを流し込んでいなかったので両方とも基板の裏側の穴からハンダを流し込み各チップの底面もしっかりハンダ付けしました。

一息入れてから、起動してソフトを動かすと・・・

一見まともに見えるバンドスコープ表示
おお!やっとちゃんと表示された!と思ったのも束の間、常にぶつぶつ途切れたような受信音でサンプリングレートを変えても改善しません。

何かを受信しているのですが、どこの周波数かも全く不明
適当なアンテナを繋げるとノイズフロアが上昇して、何かしら受信はしているようですがまともの音になっていません。しかもどこを受信しているのかが全く分かりませんでした。

↑実際の受信音はこんな感じ

設定をいろいろと変えても全く改善しないので、OSからソフトを入れなおしてみましたがやはりダメで、電源の容量不足かもと思って推奨電源を取り寄せてみました。

5V3Aのスイッチング電源 コードの途中にスイッチが付いています
この電源アダプタは途中に電源スイッチがついていて便利です。

付け替えると電力不足の雷アイコン表示がかなり少なくなりましたが、症状は一向に変わらず・・・

はてさてどうしたものか、出口がふさがれた気分になってしまいました。

それではまた次回!

2018年6月27日水曜日

Radioberry2製作記 その1

うっかりしているうちに、先の投稿から1か月以上経過してしまいました。

twitterやGoogle+,FacebookなどSNSは電子工作に関する情報の宝庫です。いつものようになんとなく眺めていると、次の製作ターゲットが現れてきました。

PA3GSB JohanさんのRadioberry2という、Raspberry Pi3のGPIOピンヘッダに装着するHF帯のDDC, DUC方式のSDRトランシーバです。回路図やソフトウエアなどはこちらに。

Analog devices製12bitの高速ADC/DACチップのAD9866と、Intel製 Cyclone 10LP FPGAで構成するDDC(Direct down conversion), DUC (direct up conversion)ユニットで、システムの制御をRaspbery Pi3で行います。ベースバンドの変復調はPi3自身にインストールしたSDRソフトウエア HPSDR、もしくはネットワークに接続したPC上のSDRソフトウエアで行うというスタイルです。受信だけであればkiwiSDRの構成に似ていますが、このRadioberry2は送信も可能としている点が一歩進んだところです。

このRadioberry2は旅の途中Reoさんが基板と部品セットを頒布されており、早速頒布をお願いしました。


 送っていただいた部品は丁寧に仕分けされています。

 もはや慣れた表面実装部品たちですが、唯一TCXOユニットは電極が底面のみ露出しており、側面には出てきていません。これではハンダごてによる手ハンダは不可能です。

TCXOユニットは25x2.0x0.8mmと極小です
 そこで新兵器を導入しました。



 ヒートガンです。

中国製で数千円程度で入手できるものですが、ハンダごてを二回り大きくしたような感じで、柄の部分がデジタル温度計兼温度設定表示になっておりコンパクトでFBです。選択したノズルをヒートガン先端に取り付けて電源プラグをコンセントにつなげて電源スイッチをオンにします。温度設定ボタンを押し、好みの温度に設定すると数秒後に作動開始し設定温度まで表示温度が上昇します。

さて設定温度はどうすれば良いのか、調べてもこれといったのが見つかりません。そこでTCXOのデータシートを眺めて見ると、reflow profileという図を見つけました。

この図を見るとピーク温度260℃が20秒から40秒と読めます。この図を参考にして温度を270℃に設定し10秒程度当てることにしました。他の部品は手ハンダが可能なので一番最初にTCXOを装着します。まずクリームハンダを爪楊枝の先にちょっとだけ盛ってランドに少量擦り付けます。ステンシルがないのでなかなか難しいですが何とか薄く盛ったところでTCXOをクリームハンダをのせたランド上に置きます。ズレがないか拡大鏡で確認し、ヒートガンの電源を入れて温度を270℃に設定し、表示温度が270℃になるまで待ちます。270℃になったらヒートガンの先をTCXO上約1センチほどに近づけて10秒程度そのままにします。TCXOから少しはみ出たハンダがいい感じに解けたのを確認し、ヒートガンを基板から遠ざけます。

基板自体も熱くなっているのでしばらく放置して冷ましてから拡大鏡で装着具合を確認します。

基板を逆さにしても外れないのでたぶん装着できているかも(笑)
今回から同時期に購入した拡大カメラを装着部位にセットして観察します。


 この拡大カメラは倍率自体は適当ですが、観察対象の細部が良く観察できます。PCに接続したりmicro SDカードに画像を保存できるので便利です。これも中国製で数千円で購入できます。

で、装着したてのTCXO周りを観察すると余分なクリームハンダがTCXO周りの基板に溶けて細かいハンダ屑になっています。拡大カメラで見ながら周りのハンダ屑を爪楊枝の先で除去しておきます。改めて観察してきちんと装着されているのを見届けます。

 次は他の部品をすべて手ハンダで装着していきます。



 取り付ける順番は特に根拠もないのですが、CRL、半導体、端子類の順番にしています。部品の装着間違いを避けるもしくは早く見つけるため、CならCだけすべて取り付けたら次はRだけという形にしていますが、それでも付け間違いは起こりえるので常に部品表と実物の照らし合わせ、装着部位の確認は一個一個欠かさず行います。

というわけで一通り装着できましたが、なんとなくAD9866(基板中央左側のチップ)がずれており、拡大カメラで確認すると・・・


ICのピンと基板のランドがかなりずれていてちゃんとピンと対応するランドがハンダ付けできていません。

これでは動作しないので、いったんAD9866を外して装着しなおさなければなりません。

というわけで、またヒートガンの登場です。



AD9866の周りをカプトンテープで覆い、上からヒートガンをあてますが270℃ではなかなか外れず300℃まであげてようやく基板から外れました(これが後になって響いたのでした)。

外した基板のランドの余分なハンダをハンダ吸い取り線で拭い改めてフラックスを塗って外したAD9866を再装着します。


肉眼ではずれがないように見えます。果たして拡大カメラでは・・・?


今度はランドとチップのピンはぴったり合っています。半田もしっかりのっています。(一部何も接続のないランドは熱ではがれていました)

あと残りはコネクタとピンソケットをハンダ付けして完成です。

次にRaspberry Pi3のセットアップと、Radioberry関連のファイルのインストールを経て完成したRadioberry2をつないで実働へ向かうわけですが・・・

続きはまた次回!

2018年5月24日木曜日

自作(電子工作)の心構え~とある入門書より

『キットを作る。キットを創る。』という記事の冒頭に、キットを組み立てていざスイッチを入れてもうまく動作してくれない場合、このトラブルを解決すると経験値が1つ上がる、というようなことを書きました。

これは何もキットに限ったことでなく、自作全般、さらに電子部品を組み合わせる工作だけではなくPCやマイコンのプログラムにも言えるのではないでしょうか。

トラブルに遭遇した時、すぐあきらめずに一生懸命になっていろいろと調べたり、先輩に聞いてみたりして、そのうえで試行錯誤を経て自らトラブルを解消しようとします。この一連の行動こそが経験値を上げるエネルギーだと思うんです。

工作やプログラミングの上達には手先の器用さや頭の良い悪いよりも、このエネルギーをどれだけ作り出せるか、積み重ねられるかがポイントなのかもしれません。自分もまだまだですから焦らず自分のペースで、でもあきらめずに行こうという姿勢は続けていくつもりです。

ふとしたことからこういう思いのきっかけになったであろう古い本を見つけたので読み返していました。

それがこの本です。


この本同年代の自作派の無線家の皆さんは結構お持ちなのではないかと思いますが、JA7CRJ 千葉秀明OM著作のビギナー向けと称された書であります。

発刊された約四半世紀前私は確か仕事で無線や電子工作はほぼ休止状態だったはずなのですが、どこでどうして購入したのか憶えていません・・・^^;

製作記事はもちろん載っていますし、高周波回路のTIPSのようなものも多くちりばめられていて今でも大変有用ですが、それだけではなく自作にあたる姿勢というか経験談などが書かれていて非常に興味深い内容になっています。

回路図のないページが面白い(ややファイルサイズが大きいですご注意を)
全ページの大きな割合をこういった自作の心構えについての解説で占められています。記事に登場する主要パーツはすでに入手困難で、現状のパーツ事情には合わないにしてもこの心構えは読み飛ばすにはもったいない時代を超えるものだと思います。

この本をお持ちの自作派の方々にぜひ読み返してみてはいかがでしょうか。

2018年5月19日土曜日

VNシリーズの受信部ミクサーと検波回路変更実験とデイトンでの新製品発表

小型QRP CWトランシーバのVNシリーズの受信部のミクサーと検波回路にはダイオード構成の小型DBMモジュール(ミニサーキット社のADE-1+)を使っていますが、信号ラインをDBMに合わせるためいったん50Ωに変換するトランスが必要になります。このトランシーバでは3つインピーダンス変換トランスを使いインピーダンスマッチさせています。

出来合いのインピーダンス変換トランスはあるにはあるのですが、結構高価(ミニサーキット社製のはDBMと同じくらいの値段するので3つも使うとコストが^^;)なので小さいメガネコアに細いUEWを巻いて自作しています。実装してみるとうまく動作しており、自作にしては実用的なレベルと自画自賛していますが、いかんせん巻かなければいけないコイルが多くてどうしたものかと考えておりました。

そこでバラモジ用のICを使えばインピーダンス変換トランスを省略でき変換ロスも少なくなると思い、人柱版のRF基板上のDBMと換装を試みました。

バラモジ用のICで現在入手可能なものはSA612、MC1496、NJM2594あたりになるでしょうか。このなかで、5V以下の動作が可能、外付け部品が少ない、コストが安い、という条件を満たすのはNJM2594ということになりました。

早速秋月でNJM2594とDIP変換基板を購入してRF基板の1stミクサーと検波用のDBMとトランスを除去しDIP化したNJM2594を配線し装着しました。


プリアンプと2段目IFアンプのドレインにチップインダクタを介して電源供給とし、0.01μF程度のカップリングコンデンサで各ポートと接続しています。

実際受信してみると換装後DBMのロス分感度が上がった印象ですが、オリジナルとSGを使って比較する限りS/N自体は変わらないようです。

また7MHz帯ではすぐ上に中国大陸からの放送局の強力な信号が夜間見られます。この放送の通り抜け現象が以前人柱版で報告されており、近くの強信号に対する各ステージの信号の状況をABP-3を使ってオリジナルとNJM2594換装モデルを比較してみました。
受信部ブロックダイアグラムと測定ポイント
ちゃんとしたプローブではないのであくまでも簡易的に・・・
 ABP-3はスペアナ、ネットアナ機能だけではなく独立したSGとしての機能を持っています。下の画像のようにいくつかの機能を起動させてPC上に結果を同時に表示させる事が出来ます。さすがに同時計測はできませんが、結果を比較するには便利です。


左上はSGの設定画面です。出力は0dB(-14.3dBm)から-70dBまで、発振周波数は50MHz1Hz単位まで、AM、FM変調など必要十分な機能を備えています。
他はスペアナ画面でそれぞれ独立して設定を変更する事が出来ます。ただし同時測定はできません。

SGの出力周波数を7.4MHzに設定し、出力レベルを変化させながらオリジナルDBMとNJM2594換装後のモデルとで各々測定ポイントで観察しました。

全部提示すると長くなるので、SG出力が-44dbmと-14dBmの場合の結果を。

まずダイオードDBM ADE-1+の場合。

ADE-1+入力レベル-44dBm
ADE-1+ 入力レベル-14dBm
-44dBmはSメーターでいうところのS9+30dBでまあ比較的強力な信号というところですが、検波入力まで周辺に余計な信号は見られません。
一方-14dBmの場合(S9+60dBと非常に強力な信号に相当) 、局発信号と入力信号との相互変調波が出現しています。AGCをはずしていないので正確ではありませんがおそらくミクサーには0dBm以上入力されていると見られます。
それでも周波数変換後クリスタルフィルター通過しIF増幅後の検波前では不要な周辺信号はカットされています。

次にNJM2594ミクサーの結果です。

NJM2594 入力レベル-44dBm
NJM2594 入力レベル-14dBm
ADE-1+よりもやや相互変調波による不要信号が目立ちますが、検波前ではカットされています。

配線の兼ね合いでちゃんと実装すればもう少し良い結果になると思いますが、トランスレス化したICミクサーでも問題はなさそうです。

次に強力な大陸からの放送の通り抜けレベルについて実験検証してみます。

スペアナの測定範囲を広げて(0-50MHzフルスパン)検波前に目的周波数周辺の強力な入力信号がどのレベルまで通過しているのか調べてみました。

ADE-1+ 入力-14dBm
NJM2594入力-14dBm
右上は検波手前を測定したスペアナ表示です。ADE-1+、NJM2594いずれも信号周波数7.4MHzで約-60dB(スペアナ入力に20dBのアッテネータを挿入して測定、実際は-40dBm程度と思われる)の柱が観測されています。(そのほかの柱は主にBFO信号とその高調波)

VNシリーズのIFアンプは非同調であるため、これだけのレベルの信号が通り抜けの原因とすると検波入力手前に何かフィルタ(トラップでもLPFでも)を置いて低減させるともしかしたら効果があるのかもしれません。これは今後の課題のひとつです。

あとはコイル巻きのわずらわしさの軽減を取るか、消費電流増加を抑えるのを取るか、というところですが・・・

NJM2594を2つ使うと消費電流は実測20mA以上増えてしまいます。Si5351Aの出力レベルを半分に落としたとしても15mA以上は増えています。

もともとQRP機として消費電流を抑えるとするならばどちらを取るかとても悩ましいです。消費電流だけを考えるなら素直にSA612を2つ使いIFアンプを削除すればよいのですが、入力飽和の問題やら、また回路構成が海外のQRP機と同じになってしまうのはなんというかやはり面白くありません(笑)

まぁしばらく悩んでおきましょうか。

閑話休題。

そういえば、米国のDayton HamventionでYaesuとKenwoodからHF/50MHz(+70MHz)の据え置き型無線機が発表されましたね。

FTDX101DとTS-890S・・・どちらが良いとかはおいておいて、なんかデザイン的に遠めで見ると同じように見えてしまうのは私だけでしょうか。メインダイヤルは右寄り、LCDディスプレイは左端に。しかも色が黒系統。

アナログ時代の全盛期にはメインダイヤルの上に周波数表示を置いていましたが、筐体が横長なので大きなLCDでは左に置かざるを得ないといったところなのでしょうか。

無線機だけでなく測定器系も、たとえばブラウン管のオシロスコープは表示が上になった縦長のデザインが多かったように思いましたが、今時のLCDタイプは表示がすべて左端に置かれた横長タイプですね。

それを考えると、mcHF V0.7のデザインは挑戦的ですね。一応横長ではありますが正方形に近い横長でLCDディスプレイは上に配置されています。

FBにmcHF V0.7に関する投稿をしたときに、どっかの外人が『このデザインは無線機らしくない。前バージョンの復活を待ってる』というようなコメントを残しておりましたが、既成の無線機のデザインに慣れると違和感があるのでしょうか。

無線機の外観デザインもネタとして面白そうです。一度勝手に検証でもしてみようかなと思ってしまいました。