最後にネックになっていたのは、送信波のスプリアスでした。帯域外近接スプリアスはとくに大きな問題はなかったものの2次高調波が基本波の-40dB強といまひとつ抑えきれていませんでした。新スプリアス基準では空中線電力1Wを超え5W以下の場合、スプリアス領域における不要発射の強度の許容値が50μW(-13.0dBm)と定められており、出力3W(+34.8dBm)とすると-47.8dBの減衰量が必要になり、このままでは3W(電源電圧13.8V時)出力の場合アウトです。
もともと設計上終段はE級の要素を取り入れていましたが、部品省略のためフライホイールの共振回路のQを低くせざるを得ず、その結果LPF手前の波形がかなり歪んでいました。こんな感じです。
黄色がLPF通過前 赤がアンテナ出力波形 |
フライホイールネットワークはFETがOFFの状態で共振させているので、ONになるとドレインーソース間の容量が消えて共振周波数が高くなり出力波形のマイナスの振れの部分のピークが早くなった結果上のように大きく波形が歪みます。
そこで基本に立ち返り、標準のQ=5としてフライホイールの出力側のキャパシタと電源供給用のRFCを追加しごく普通のE級増幅回路にしました(最初からそうすべきだった(汗))
フライホイールのコイルは巻き数を増やし実装しなおし、インピーダンス変換トランスの接続ポイントを変更。裏面にはフライホイール用コンデンサ(
でもって早速測定を。
60dBのアッテネータを介しておじさん工房APB-3に接続 |
黄色がゲート電圧、赤がドレイン電圧曲線 スイッチポイントはOK |
出力曲線 まだわずかに歪んでますがかなりましな波形に |
次にAPB-3で送信波を観察しました。
普通に観察すると2次高調波は基本波に対して54dB程度抑えられています。
もう少し詳しく見るために、200トレース平均をかけて基本波レベルをリファレンスとして表示させてみました。こうするとノイズフロアの変動が抑えられて小さな信号が判別できるようになります。3次以降はほぼ-70dB前後で抑制されていました。
次に、基本波帯域外不要輻射を観察してみます。
サイドトーンOFF時 |
サイドトーンON時(ボリウム最小) |
サイドトーンON時(ボリウムほぼ最大) |
課題はまだまだ残っていますが、一通り実運用に支障ない程度のものが出来たようです。
最新のRFパートの回路図を載せちゃいます(禁無断転載)
人柱版お待ちの方はもうしばらくお待ちください。
今度の関西ハムシンポが終わってから用意進めます。
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