うっかりしているうちに、先の投稿から1か月以上経過してしまいました。
twitterやGoogle+,FacebookなどSNSは電子工作に関する情報の宝庫です。いつものようになんとなく眺めていると、次の製作ターゲットが現れてきました。
PA3GSB JohanさんのRadioberry2という、Raspberry Pi3のGPIOピンヘッダに装着するHF帯のDDC, DUC方式のSDRトランシーバです。回路図やソフトウエアなどは
こちらに。
Analog devices製12bitの高速ADC/DACチップのAD9866と、Intel製 Cyclone 10LP FPGAで構成するDDC(Direct down conversion), DUC (direct up conversion)ユニットで、システムの制御をRaspbery Pi3で行います。ベースバンドの変復調はPi3自身にインストールしたSDRソフトウエア HPSDR、もしくはネットワークに接続したPC上のSDRソフトウエアで行うというスタイルです。受信だけであればkiwiSDRの構成に似ていますが、このRadioberry2は送信も可能としている点が一歩進んだところです。
このRadioberry2は
旅の途中Reoさんが基板と部品セットを頒布されており、早速頒布をお願いしました。
送っていただいた部品は丁寧に仕分けされています。
もはや慣れた表面実装部品たちですが、唯一TCXOユニットは電極が底面のみ露出しており、側面には出てきていません。これではハンダごてによる手ハンダは不可能です。
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TCXOユニットは25x2.0x0.8mmと極小です |
そこで新兵器を導入しました。
ヒートガンです。
中国製で数千円程度で入手できるものですが、ハンダごてを二回り大きくしたような感じで、柄の部分がデジタル温度計兼温度設定表示になっておりコンパクトでFBです。選択したノズルをヒートガン先端に取り付けて電源プラグをコンセントにつなげて電源スイッチをオンにします。温度設定ボタンを押し、好みの温度に設定すると数秒後に作動開始し設定温度まで表示温度が上昇します。
さて設定温度はどうすれば良いのか、調べてもこれといったのが見つかりません。そこでTCXOのデータシートを眺めて見ると、reflow profileという図を見つけました。
この図を見るとピーク温度260℃が20秒から40秒と読めます。この図を参考にして温度を270℃に設定し10秒程度当てることにしました。他の部品は手ハンダが可能なので一番最初にTCXOを装着します。まずクリームハンダを爪楊枝の先にちょっとだけ盛ってランドに少量擦り付けます。ステンシルがないのでなかなか難しいですが何とか薄く盛ったところでTCXOをクリームハンダをのせたランド上に置きます。ズレがないか拡大鏡で確認し、ヒートガンの電源を入れて温度を270℃に設定し、表示温度が270℃になるまで待ちます。270℃になったらヒートガンの先をTCXO上約1センチほどに近づけて10秒程度そのままにします。TCXOから少しはみ出たハンダがいい感じに解けたのを確認し、ヒートガンを基板から遠ざけます。
基板自体も熱くなっているのでしばらく放置して冷ましてから拡大鏡で装着具合を確認します。
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基板を逆さにしても外れないのでたぶん装着できているかも(笑) |
今回から同時期に購入した拡大カメラを装着部位にセットして観察します。
この拡大カメラは倍率自体は適当ですが、観察対象の細部が良く観察できます。PCに接続したりmicro SDカードに画像を保存できるので便利です。これも中国製で数千円で購入できます。
で、装着したてのTCXO周りを観察すると余分なクリームハンダがTCXO周りの基板に溶けて細かいハンダ屑になっています。拡大カメラで見ながら周りのハンダ屑を爪楊枝の先で除去しておきます。改めて観察してきちんと装着されているのを見届けます。
次は他の部品をすべて手ハンダで装着していきます。
取り付ける順番は特に根拠もないのですが、CRL、半導体、端子類の順番にしています。部品の装着間違いを避けるもしくは早く見つけるため、CならCだけすべて取り付けたら次はRだけという形にしていますが、それでも付け間違いは起こりえるので常に部品表と実物の照らし合わせ、装着部位の確認は一個一個欠かさず行います。
というわけで一通り装着できましたが、なんとなくAD9866(基板中央左側のチップ)がずれており、拡大カメラで確認すると・・・
ICのピンと基板のランドがかなりずれていてちゃんとピンと対応するランドがハンダ付けできていません。
これでは動作しないので、いったんAD9866を外して装着しなおさなければなりません。
というわけで、またヒートガンの登場です。
AD9866の周りをカプトンテープで覆い、上からヒートガンをあてますが270℃ではなかなか外れず300℃まであげてようやく基板から外れました(これが後になって響いたのでした)。
外した基板のランドの余分なハンダをハンダ吸い取り線で拭い改めてフラックスを塗って外したAD9866を再装着します。
肉眼ではずれがないように見えます。果たして拡大カメラでは・・・?
今度はランドとチップのピンはぴったり合っています。半田もしっかりのっています。(一部何も接続のないランドは熱ではがれていました)
あと残りはコネクタとピンソケットをハンダ付けして完成です。
次にRaspberry Pi3のセットアップと、Radioberry関連のファイルのインストールを経て完成したRadioberry2をつないで実働へ向かうわけですが・・・
続きはまた次回!