2018年2月21日水曜日

mcHF V0.7 component kit 製作しました(訂正事項あり)

中華製のコンパチ完成品が出回るほどの人気のあるM0NKA Chris氏のmcHFが昨年後半V0.7を頒布開始したという情報をいただきました。早速暮れにcomponent kit(MCUとその周辺以外表面実装部品含めたユーザー装着のキット)をオーダし入手しました。その後専用ケースキットも頒布開始されましたがIn Stockになるや否やすぐに売り切れてしまい、再開するまで何度かサイトをチェックしてようやく入手することができました。

現在は表面実装部品装着済みのケース付きキット(Full kit & case) として頒布されていますが、今のところout of stockになっています。(オーダーページはここ。)

入手したは良いものの年末のインフルエンザから関ハムシンポジウムとなかなか製作に入れませんでしたが、ようやく一息ついたところで一気に製作しました。


キット自体はオーダーから約1,2週間Royalmailで発送されます。今回はV0.6よりも二回り大きなパッケージで送られてきました。


component kitの中身です。V0.6よりもふた回りも大きな基板で、UIパート、Logicパート、RFパートの3パートに分かれています。それぞれのパートごとに対応する表面実装部品、とそれ以外の部品が袋に詰められていて、さらに袋の中にはBOMが納まっています。

組み立てには袋ごとに取り出してその中のBOM表の順番に部品をシルク印刷の部品番号と極性を合わせて一つ一つ装着していきますが、唯一2ピンのダイオードについてはシルク印刷では極性がわからなかったため、回路図との照らし合わせが必要です。またGalleryページをよく見ながらヘッダピン、ソケットを間違いないように取り付けます。とくに、ヘッダピンソケットのひとつはオプティカルエンコーダ端子のハンダ付け部分のうえに閲覧者かぶせるように装着するので、エンコーダの端子ははんだ付け後短くカットしないとソケットがうまく装着出来ないので要注意です。

追記: オプティカルエンコーダはハンダ付けせずに、リードをそのまま挿入してピンソケットの下側からソケットに挿入するようになっていました。もちろんハンダ付けしても差し支えはありませんが。インストラクションはよく読まないとだめですね・・・





こんな感じにすべてのパーツを装着します。V0.6のときは1週間程度かかりましたが、今回は延べ3日で装着完了しました。今回のパッケージでは、ヘッダピン2つ、0.1uFのチップコンデンサが不足していました。いずれも手持ちのもので補填してます。


次にいよいよケースに収める作業です。ケース本体は黒く塗装されたアルミシャーシと3Dプリンタで成形したフロントパネル、つまみも3Dプリンタで作成されています。


まず、一番下になるRFパートの基板を下のシャーシの溝に入れてスライドさせます。レギュレータとファイナルの石のフランジが丁度下のシャーシにあたるので特にねじ止めしなくても放熱は問題なさそうです。グリスを薄く塗っておくとよいかもしれません。

上の画像はRFパートの上にLogicパート、UIパートを重ねてパート間のピンの接続を確認しています。このキットではピンとそれに対応するソケットの位置が縦方向に微妙にずれていて正しく組み合わせるのが少々難しかったです。

確認が済んだら次はいよいよ前のシャーシを組み合わせます。


一番上になるUIパート基板をフロントシャーシの溝にはめ込みますが、その前にスピーカーを上の画像のようにシャーシの据付位置に置いてからUI基板をはめ込みます。この状態で各タクトスイッチの押し具合を確認します。自分のキットでは、POWER SWの高さが微妙に合わずスイッチの頭を1ミリほど削って収まりました。


というわけでRF基板が納まった下のシャーシにLogic基板を重ね、さらにUI基板を装着したフロントシャーシを重ねます。ピンとソケットの組み合わせに問題なければスピーカ端子の配線を繋げ、両サイドのパネルを装着してねじ止めしダイヤルノブをはめて完成です。

多少追加加工は必要でしたが、V0.6中華ケースほどではなく比較的すんなりケースに収まりました。

一応MCUにブートローダとファームウエアがインストールしてあるので配線に誤りがなければ電源を入れて起動します。起動自体は問題なく動作しましたが、ブートローダが古いためか電源をオフにしても再起動してしまうという不具合がありました。YahooのmcHFフォーラムを検索した結果、ブートローダのアップデートで解決する情報をみつけたのでDFUモードにして最新のブートローダ(4.0.0.0)をDfuSeDemo経由でインストールし、再起動問題は解消されました。ついでにファームウエアも最新版に入れ替えました。

そのほか送信出力が出なくてしばらく悩みましたが、ファイナル部の電源供給用のRFCの配線間違いを見つけ改修し、無事送信出力も出るようになりました。

早速送信波をAPB-3スペアナで観察しました。

80m
40m
30m
20m
17m
15m
12m(参考)
10m(参考)
ざっと観察したところ、V0.6のオリジナルに比べて全体的に高調波が抑制されていましたが、30mと17mは2次高調波レベルが-20dBc程度と十分抑制されていません。やはり160mを除いたすべてのアマチュアバンドで内蔵LPFの高調波を抑制するにはLPFの改造は必要です。

さらに、近傍の不要輻射を見てみます。


CWモードで送信波を観察しましたが、基本波から750Hz離れて局発リークが比較的高レベルで観察されます。帯域外不要輻射許容レベルを超えているのでIQミクサーのバランス取りも必要です。逆サイドバンドはメニューのIQバランス調整で十分抑制されますが、局発リークは抑えられないのでハード的にバイアス調整用のポテンショメータの追加が必要のようです。

それからハイバンドになるとLogicパートへ送信波の回り込みもみられており、V0.6のケースのようにRFパートとLogicパート間に遮蔽板を挿入する必要がありそうです。

というわけで、JAでこのV0.7の免許を下ろそうとするとV0.6と同様少々の改修が必要になります。

筐体は大きく改修自体はしやすそうなので、少しずつ進めていこうと思います。

4 件のコメント:

  1. やはり新しいバージョンでもLPFの改造要ですね
    以前に組んだ前バージョンのLPF特性を測りましたが、改造しなければ日本ではとても出れる状態じゃない感じでした。

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    1. hshimotoさん、コメントありがとうございます。

      そうですね。V0.6と同様にV0.7もJAで送信するつもりならば、少なくともLPFを改造、アンテナスイッチをダイオードから普通のリレーに交換し、さらに送信ミクサーバランス調整も必要ということが分かりました。

      開発者のページには、このキットはあくまでも実験研究用というスタンスであるというような記述を見かけた記憶があります。組み立てればそれで運用OKというわけでなく、実際に運用するつもりであればユーザーは自国のスプリアス基準等々に合わせる技術と努力は必要だと思います。

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  2. 岩崎 / JR1KDA2018年5月5日 2:36

    時折、中華完成品を紹介されているのを目にします。
    その方々はご指摘の内容をご存知なのか、少し気になります。

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    1. そうですね。中華製のコピー物は一応必要な改修(アンテナスイッチのリレー化など)をされているようですが、LPFについてはおそらく手付かずだと思います。ですので本来は申請者が測定して必要な改修を行うべきなんですけど、多分紹介されている方はご存じないのではないかと思います。
      日本の通販ショップでもこのコピー品を販売しようとしている(もう始まってる?)ので、こちらも問題だと思っています。

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