2016年5月24日火曜日

7MHzQRP(p)CWトランシーバ送信部の基礎実験その1

受信部がうまくいったところで、この次は送信部の設計試作に入ります。

Si5351Aは矩形波出力であるため、そのままバッファを通してファイナルのデバイスを飽和領域でドライブしようと考えています。出力はQRP(p)用に1W前後を目標にします。

思いついたのは、スイッチング速度でバイポーラより優位なMOSFETをファイナルとして、ゲート駆動に電圧変換回路(Si5351Aが3.3V出力のため)と低インピーダンス駆動のためのバッファ回路というよく見かける構成でブレッドボード上に試作してみました。

C1815で電圧変換しC1815とA1015バッファ出力を観察
PIC12F629で生成した1μsec幅の連続パルス波と、そのパルス波を2SC1815の電圧変換と2SA1015とのコンプリメンタルで構成したバッファに通した出力を同時観察してあれやこれやしてみました。

赤がPICからの出力 黄色が駆動回路を通した出力

 まず、なにも付加回路つけない状態。

予想以上にTrのオフ時間が長いこと・・・これでは7MHz帯では到底役に立ちません。
そこで、 ベースに100pFほどのスピードアップコンデンサをを挿入し、ベース-コレクタ間にショットキークランプ(適当なショットキーダイオードがなかったので、汎用の1N4148で代用)を組み込んで観測すると・・・

スピードアップコンデンサとショットキークランプ挿入後のレスポンス
見た目かなり効果があってオン時間もオフ時間も短縮されましたが、それでも高周波に使えるまでには改善されませんでした。

というわけでバイポーラTrの電圧変換は諦めることにしましたが、海外のQRP機キットや自作例に良く使われているロジックICによるドライブをテストしました。

ロジックICは6回路インバータの74AC04を選択しました(後で実験したところHCシリーズでも問題なかったです)。無信号時スイッチング素子はオフにしておかないと壊れてしまうので、1回路分で一旦反転して残りの5回路分をパラ接続して元に戻しつつ低インピーダンスでスイッチング素子を駆動するようにしました。

ロジックIC(74AC04)の出力にRD06HVF1をつなげてテストの様子
こんな感じで、Si5351AのCLKOUT(7MHz 3.3V矩形波)から50Ωの抵抗を経由して74AC04につなぎ、各スイッチング素子(MOSFET)に接続。100Ωの抵抗負荷で波形観測を行いました。VGSをなるべく高くするため74AC04のVccには最大の6Vかけています。

選択したスイッチング素子は、BS170, IRF510(made in China), RD06HVF1, 2SK2796L(秋月で一個60円 Ciss180pF)です。

 まずトップバッターはBS170。TO-92パッケージでありながらPD830mW, max ID 1.2A(pulse)でCissも2桁と小さい上に、オンオフ時間も10ns程度と速いです。

BS170シングル よく追従しています
BS170の2パラ Tfがやや延長して角が丸くなっています
つぎは三菱のRD06HVF1に差し替えて観察。

言うことないです さすが高周波用(笑)
つぎに、海外で10W級リニアアンプ製作例でしばしば使われているIRF510(以前RSから取り寄せた中華製)に差し替え。

VCCが9Vと低いためか、立ち上がり立下り勾配が緩やかになってしまう
IRF510ではロジックIC出力6Vでは足りずさらにVGSを充分に上げないと飽和領域まで持ち上げられないようです。

最後に136/475kHz帯用送信機の終段に使おうと考えている2SK2796Lでテスト。

t-offが長く実用になりませんでした
 t-offが長い結果FETオンが長くなって発熱し、やがて1個昇天させてしまいました。

 というわけで、今回のファイナル素子としてはBS170かRD06HVF1が適当と思われましたが、入手性や価格からBS170に決定しました。

 結局オーソドックスなところに落ち着いたわけですな^^;

早速ブレッドーボード実験からユニバーサル基板へ試作しました。

基板右下は別の回路で後日外しました

 このあともオシロスコープやスペアナを駆使して回路追加などを行いましたが、その顛末は次の投稿にて!

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