VN4002正式版の基板発注が済んだところで、以前入手したmcHFというHFオールバンド、マルチモードなQRP SDRトランシーバキットを組み立て、ソフトウエアをインストールし受信動作を確認しました。
mcHFは英国の
M0NKA Chrisさんが主導するHFオールバンドのSDRトランシーバプロジェクトです。IC7300のようなダイレクトサンプリングではなく、KX2やKX3に似たシングルコンバージョン後のベースバンド信号をサンプリングしてSTM32F4プロセッサで処理するタイプのSDRトランシーバです。
詳細については、
こちらのページをご覧いただきたいですが(英文) 、キットとして頒布を行っています。表面実装部品装着済みのものと、完全バラキット(但しファイナルのMOSFETとスピーカー、ケースなし)の2種類ありますが、当然完全バラキットのほうを選びました(笑)
paypalで支払いましたが送料込みで219.99GBP、日本円で3万ちょっとでした。
|
重量がかさむのでスピーカは同梱しないのだそうです |
1,2週間ほどで到着。中を開けてみると、UI(コントロール部)、RF部の基板と各パートの表面実装部品を収めた袋とそれ以外のパーツを入れた袋が入っていました。当然のことながらマニュアルはなく各袋にパーツリストは入っているのみでした。
|
パーツの値ごとにひとつずつ収められた袋がたくさん入っていてつくりごたえあります |
丁寧な組み立て手順を示した製作マニュアルがありませんので、袋に入っているパーツリストと基板のシルク印刷されたパーツナンバーを照らし合わせて地道に装着していきます。
難関はやはりMPUのSTM32F4とaudio codecのICでしょうか。ランドはハンダレベラー処理を施されているので、フラックス塗布作戦で装着しました。(なかなか起動しなかったので不完全装着かもしれないと思い、念のためハンダ盛り吸い取り線除去してしまいましたが(汗)
UI部にすべてのパーツを装着するまで延べ約8時間ほどかかりました。
日を改めて、RF部に進みました。
|
整然と並んだBPFのチップパーツとLPFのトロイダルコアが圧巻です |
RF部はコイル巻きに手間がかかりますがこちらも地道な作業です。こちらは2日ほどかかりました。
一番失敗したところは基板上の30ピンヘッダ装着方向です。確認を怠りうっかり逆方向に取り付けてしまって1ピンずつ引き抜きモールドに戻して再装着しましたが、パターンが細いためランドが半田ごての熱で取れやすくなってしまいました。そういうわけでここの部分のリペアには時間がかかりました。当時は泣きながら作業していました(笑)。
なんだかんだで組み立てはかなり手ごたえがあり、すべての部品装着にはだいたい1,2週間ほどかかりましたが、ここではまだまだ終わりませんでした。MCUにはソフトウエアが全く入っていないので、自力でインストールしなくてはいけません。
また最初にすべてのパーツを装着してしまいましたが、いろいろバージョンがあったりオプションがあったりで、いくつか部品を外す必要が出てきました。その後はMCUにブートローダとファームウエアをインストールします。
備忘録として具体的に、現在の最新バージョンv0.6では
1.UI基板のR43a R43b (USB関係)、R42 R43(TCXO関連)、R47b R47c R47d(Wifi関連) の0Ωシャントをすべて取り外す。
LCD関係はそのまま(ファームウエアによっては画面が真っ白になったままになるので、DF8OEのファームウエア1.60を導入することが前提(新しい2.0は肝心のDSP関連が作動しないので不可)。)
2.必要なソフトをダウンロードする。
・ブートローダインストール用のDFU UtilityアプリケーションDFuSE 3.0.5(STMicroから WindowsOS用のDFUデバイスドライバも同梱されています)
・ブートローダ mcHF_boot_0.0.0.14のダウンロード
・mcHF firmware upgrade utility mcHFManager v0.1のダウンロード
・mcHF firmware 1.60 のダウンロード
3.ブートローダのインストール
ドキュメントに手順が示されているので詳細は割愛しますが簡単な手順としては、まずもともとROMに内蔵されているDFUモードのブートローダを起動します。P6ジャンパをショートしてUSB経由でPCに接続。BAND+を押しながらPOWERを押し、POWERはそのまま押し続けながらPC側のデバイスドライバがインストールされたことを認識したらBAND+を離します(POWERはインストール済むまで押し続ける)。
ダウンロードしたDfuseDemoを起動させてmcHF_boot_0.0.0.14.dfuファイルを選択して書き込み、完了したらPOWERを離します。これでブートローダインストール完了です。
4.ファームウエアインストール
こんどはPCとUSBで繋いだ状態でBAND-を押しながらPOWERをし押しつづけると、LEDが緑と赤で点滅開始しますのでその時点ですべてのボタンを離します。PCがドライバを検索し始めますがネットからは検出できないので、検索停止するまでしばらく待機します。検索中止したところで、PCのデバイスマネージャを開きmcHFをダブルクリックし手動でドライバをインストールします。対象のディレクトリは、mcHFManager_0.1フォルダにあるdriverフォルダを指定すると自動的にファイルを見つけてインストールしてくれます。
インストールを確認したらmcHFManager.exeを起動して、あらかじめダウンロードした
bootloader.dfu (ver1.6.0)を選択してupdateボタンを押せばファームウエアがインストールされます。
とまぁここまで来るのに1,2日要しました。
で、早速アンテナ繋いで受信を試してみます。
|
ここまで来るのにかなり悩みました(汗) |
実際に触れてみるまではSDR特有のレイテンシが気になっていましたが、なかなかどうして思ったよりレイテンシが少なくて違和感はかなり少ないです。まだ送信部のテストは行っていませんが、実用的な雰囲気を感じます。
確か三菱のMOSFETストックしていたので、送信部に進みたいと思います。