昔の(と言っても数十年前)電子工作の原点、出発点といえばたいていはラジオではないでしょうか。
自分は幼少のころ不意に父親からもらったゲルマラジオセット(μ同調タイプ)で、電池もないのにAMラジオ放送がクリスタルイヤホンから聞こえるのがとても不思議で、中を拝みたく分解したところから電子工作の道に転んでしまいました。
以降ラジオキットを中心に組み立ててはこわしていました。次第にBCLにはまり、友達がアマチュア無線を始めたことをきっかけに中学生になってからアマチュア無線の従事者免許(当時は電話級)を取得しました。
そんなわけで今だに同じようなことを続けていますが、先日秋葉原のaitendoを訪れた折にこんなキットを見つけました。
トランジスタではなくIC1個を使った中波短波の2バンドラジオキットです。
日本にもかつては様々なラジオキットがありましたが、2バンドのもの特に短波が受信できるキットは見たことがありません。懐かしさと珍しさからつい騒動買いしてしまいました(笑)
キットの内容はこの通りで、小袋に分けられていて思ったよりまともそうに見えましたが・・・
一番気になったのは同調用のポリバリコンの足の錆です。ほかにもICの足がひん曲がっていたりスペーサの足のプラスチック部分がバリだらけ、IFTやOSCコイルのコアの色が判別しにくいほど褪せているとか・・・
湿気の多い日本では保存法を考えないといろいろと問題ありそうです。少なくともポリバリコンは乾燥剤とともに袋に、もちろんほかの小袋にも乾燥剤は入れないと、と余計な心配をしております。自分のキットも乾燥剤同梱を省略しているので、ジャック類などの錆発生に気をつけねばと思いました。
組み立て中です。PCBはまともで、レジストはやや弱いですが位置や大きさも妥当です。パーツの足の間隔もほぼ正確でパーツを加工することなくはんだ付けできました。完成後OSCコイルとIFTの付け間違いやバリコンの足の付け間違いが見つかり各々一旦外して正しく装着できましたが、はんだごての熱によるパターン剥がれもありませんでした。
これがLEDを除く唯一の半導体、ラジオICのTA7613です。といってもオリジナルのものなのかセカンドソースものなのかよくわかりません。AM/FMラジオ用の古いICだそうですが、ネットでデータシートが拾えます。
いくつか装着やり直しが入りましたが、約2時間ほどで完成。
電源はaitendoサイトの説明では単3電池2本ということでしたが、電池ケースの実物見ると大きすぎるので調べてみると単1乾電池2本が正しいようでした。早速コンビニで単1電池2本購入、ラジオにセットして鳴らしてみました。
まず中波帯でAPB-3のSGとOSCの周波数を観察してトラッキング調整を行いました。
家の中ではノイズを拾ってしまうので、ベランダに出てワッチしてみると当然のことながらAM放送は十分入感します。短波に関しては実際どの周波数帯を受信しているのか分かりませんでしたがダイヤルを回すと数局放送が聞こえてきます。
かすかに聞こえる短波放送の音を聞くといまでもわくわくしますね。
あとでSGで確かめてみると12MHz台を受信していました。受信周波数の幅も500kHz程度と狭くサイトの表記にあるような5~17MHzといった広帯域に受信できるわけではないようです。回路図とポリバリコンの可変容量域をみると当然なのですけどね。
いまのところ広帯域受信などの改造は考えていないので近い25mバンドに合わせるようにしました。
最後に、
あともうちょいといった感じで、ある意味なかなか味のあるラジオに仕上がっております。
総評として、基板やケースの精度は思ったよりも悪くない印象です。組み立てにはサイトのBOMと基板のシルク印刷を頼りにすればほぼ問題ないのですが、LEDの取り付け方や、ポリバリコンの取り付け方向を明確に、あとは保存を考えた包装、これらが改善されれば良いなと思いました。