週末久しぶりに移動運用考えていましたが、あいにくの雨模様...
というわけで無理して出かけずに日曜日は工作の日にしました。
今回のターゲットは先月フィンランドから届いた475.5kHz帯用CW送信機JUMA TX-500キット。JAでも何名かの方がこのキット(TX-500やTX-136)を購入されて組み立てておられますが、抵抗コンデンサ類はもちろんのこと半導体もファイナルのMOSFET除き表面実装部品を採用しそのすべてを自分でハンダ付けして実装しなくてはいけないタフなキットです。
とくに眼の調節障害が進んだ方には...hi
金属ケースのパッケージの隙間にこれでもかというくらいパーツが詰め込まれています。
パーツは2枚の基板と前後パネル、各パートの部品がひとつひとつ小分けされて丁寧にパックされています。
組み立ては大きくメインボードとコントロールボードの2パートに別れています。それぞれパーツが数袋にパックされているので順番にひとつずつ浅めのトレー上に開封して実装します。
パックを開け、同梱の小さな紙切れに印刷されたパーツリストにあわせてマーキングされたパーツをリスト順に並べます。JUMAのTechnical Kit InfoページにあるParts Listを開き、リストのパーツ番号と同一のPCBにシルク印刷されたパーツ番号を探し出して該当するパーツが収まるパッケージをひとつずつ開封して一個一個ハンダ付けしていきます。一気に全部あけるよりも効率的で、間違いや紛失する確率もかなり少なくなります。
ひとつの袋のパーツの実装が済んだら次のを開封して...というようにひとつひとつ慎重に進めるのがポイントです。
表面実装部品の手ハンダの方法はいろいろあるようですが自分が行っている方法は、抵抗やコンデンサの場合片方の電極のランドに薄く予備ハンダを盛ってピンセットで部品を持ち、予備ハンダを盛ったランドに片方のみハンダ付けして部品を軽く上から押しながらもう一度鏝をあてて基板にくっつけ、それからもう片方のランドにハンダ付けします。ただ無理に力がかかるとパーツを壊してしまいます。今回チップコンデンサ2つ割ってしまいました^^;
なのでこの方法はあまりお勧めしません。上からピンポイントでパーツを押さえる道具があれば(YouTubeなどでも紹介されているようです)そちらを使ってハンダ付けするほうが良いです。
上はメインボード実装途中経過です。
すでに半導体類が実装されていますがICなどピン数が多い半導体部品は、ハンダ付け前の位置決めと固定がポイントです。とくにICの向きは注意しないとせっかくうまくハンダ付けできても逆さに取り付けてしまったーなんてことがままあったりします。いったんハンダ付けしてしまうと取り外しが非常に困難です。基本的にはピン全体にハンダをたくさん盛って熱が冷めないうちに外し、ハンダ吸い取り線でハンダをきれいにふき取って基板に付着したフラックスを除去すると状態復帰するのですが、たいていは熱で一部ランドがはがれてしまいます。(自分も今回ひとつランドをはがしてしまいましたが、幸いなことにどこにもつながっていないピンのランドでした)
しっかり向きを確認してピンとランドの位置を正確に合わせフラックスや細いマスキングテープなどで仮固定してから細い鏝と細いハンダで1ピンずつハンダ付けしていきます。
ピッチが比較的広いICであれば直接ハンダ付けも問題ないのですが、ここで一番難しいのはDDS IC AD9833のハンダ付けです。
AD9833は10ピンMSOPという0.5mmピッチという過酷な(笑)サイズです。周りのチップ部品と比較してみてください。
こればかりは小さすぎて1ピンずつハンダ付けするのは非常に困難なので(やるのであれば実体顕微鏡とペン型のハンダゴテがあると良いですね)、位置決め固定して一旦両サイドにハンダを大胆に盛ってからハンダ吸い取り線でふき取るという強引な?方法でハンダ付けします。そのあとふき取り残しでピン間ショートしていないかどうかルーペを使って丹念に確認しておきます。
あとはトランスコイル類など大きな部品をサイトの完成写真を参考にしながらハンダ付けします。基準水晶発振器は基板に直付けにせず、別途14ピンICソケットを用意して不必要なピンをカットしてソケットをハンダ付けして発振器をソケットに差し込みます。将来TCXOに換装する予定なので、差し替えが容易にできるし高床になるので温度変化の影響も多少すくないかなと期待できそうです。
最後は後面パネルを取り付けてファイナルのMOSFET2本をハンダ付けしメインボード実装完了となります。
ここでちょっと休憩してから続いてコントロールボード実装に取り掛かります。
メインボードと同じように小袋をひとつずつ開封してハンダ付けしていきますが、第2のヤマであるMCU dsPIC30F6014A-30 I/PFというTQFP 80ピン 0.65mmピッチの大物を迎え撃たねばなりません(笑)。
このような多数ピンの表面実装ICのハンダ付けには
ここのサイトの方法で行うときれいに確実に取り付けられます。
基板はハンダメッキされていないのでランドにハンダを薄く盛ります。ハンダからでた余分なフラックスは除去液で取り除いておきます。
dsPICを正しい位置に基板に固定してから足とランドにフラックスを含ませた綿棒で丹念にフラックスを塗っていきます。そうしてからランドに接触しているICのピンに細い鏝先を必要以上に押し付けず適度に一本一本当てていくだけです。追加のハンダは必要ありません。
こんな感じできれいに実装することができました。(右隣のICはそのままハンダ付けしたので仕上がりがあまりきれいではありませんね^^;;)
あとはプッシュスイッチやLCD、ブザーなどを取り付け、前面パネルを装着してコントロールボードが完成です。
メインボードとコントロールボードをつなぐものは2本のフラットケーブルですが、ケーブルとコネクタも自分で取り付けなくてはいけません。サイトにケーブルの完成図が載っているので写真のとおりに加工します。コネクタはハンダ付けは必要なく、コネクタにケーブルを挟んでバイスで圧着するような感じで取り付けできます。
あとは金属ケースにパネルをねじ止めして、加工した2本のフラットケーブルでボード間を接続しケースに収めます。ここまで約8時間かかりました。
ハンダくず等取り除いて最終確認し早速電源ON。
ダミーロードをつないで送信テスト。最大パワーは表示上は61Wですが、オシロスコープで出力を計測すると電源電圧13.8Vで52.0Vrmsとなり測定上は54W出力でした。消費電流は4.8Aで効率は81.5%と高効率です。
このキットを出しているJUMAは近々軽量HF用1kWリニアアンプキットを販売する予定とのことですが、コンパクトで高効率のパワーユニットが得意なのでしょう。デザインも洗練されててお気に入りです。
最後に先に製作して交信実績のあるTX-136とツーショット。
こうして重ねてみるとパネルの色が微妙に違うことに気がつきます。
使い込んだから?(笑)
電源ボタンの色はもともと緑のはずがTX-136のときはなぜか赤色でした。
ともあれこれでとりあえず来年の475.5kHzバンド開放の準備が大きく進みました。
ローディングコイルが巻ければひとまず完了です。
あとは運用場所かなぁ...