2016年6月29日水曜日

7MHz QRP(p) CW TRX 試作2号機ほぼ完成!

先日Elecraft社からKX2というトランシーバが新しくラインナップに加わったようです。

KX3より一回り小型で、80mから10mのマルチバンドマルチモードトランシーバということなのですが、局発にあのSi5351Aが使われているそうです。

もともとKX3と同様なSDR構成ですと、DDSよりも矩形波出力なSi5351Aがなじみやすいのかもしれません。

と、前置きはこれくらいにして。

ようやくこちらもSi5351Aを使ったQRP CWトランシーバの試作2号機が形になりました。

ケーシングはまだですが、Keyer Mini-V2 R2のように透明アクリル板でサンドイッチする予定です
秋月のユニバーサルB基板(92x75mm)2枚にそれぞれ、制御部(MCU, PLL, AF-PA)とRF部(TX, RX, LPF)を実装して重ねた形になってます。

上:制御部(フォーンジャック交換済み) 下:RF部 20ピン・ソケットで接続
制御部とRF部を重ねるに当たり、コイル(7MHzFCZコイル互換もの)とフォーンジャックが干渉してしまったためフォーンジャックDIP化基板を取り外して表面実装用のジャックに変更しました。

受信部は前試作機で採用していた2SK241をデュアルゲートMOSFETの3SK294に変更してプリアンプ1段、IFアンプ2段としました(4つのランドの中央にある小さな黒い四角が3SK294です。ユニバーサル基板でも実装は十分可能です)。ミクサと検波はADE-1+というMini-circuits社製のこれまた小型のDBMユニットを使ってみました。このミクサはNorCal  2N2/XX QRPトランシーバキットに使われています(もうすでにretiredになっちゃってますが)。

IF段は2段とも非同調型として、クリスタルフィルタ入力と検波前に1:9のトランスを置いています。ゲインなどまだ測定しておりませんが、AGCの効き具合など含めて検証進めようと思います。

送信部は特に変更無く、Si5351A出力から74HC04でBS170の2パラをドライブし、1:4のインピーダンス変換トランスを通してLPFに送っています。

BS170は低飽和型の電圧可変レギュレータPQ20RX11でドレイン電圧を変化させることによって出力コントロールを行っています。実際には0.5Wから2W強変化します。最小出力設定よりQRPp運用も可能になりますが、各出力レベルでのスプリアスチェックも行わないといけません。

また、PQ20RX11のコントロール端子を利用してキーイングを行っています。

BS170に通電したままでもオペレーションは可能ですが、フルブレークインを実現するためキーイング(キーオン・オフ)のたびにMPUからI2Cバス経由でSi5351Aの周波数設定を更新しています。そのためかオシロスコープで波形を観察するとキーイング立ち上がりから波形出力までに約1ミリ秒要しており 、なおかつ出力した波形は立ち上がりから1ミリ秒くらいまで不安定でした。これをそのままアンプを通すと不要輻射の源になり得るため、ソフトウエア的にPQ20RX11のコントロールを2ミリ秒だけ遅延させています。

この辺は、Keyer Mini-V2のプログラムを活用しました。

RF部背面にはSメータ感度、AGCレベルと出力調整用のポテンショメータがついています
制御部とRF部を重ねた状態。間にシールド板を入れるかどうか考え中
終端型電力計で最大出力2W強とまずまず
というわけで、ひととおりトランシーバとしてまとめることが出来ました。

変更申請を通したあかつきには、軽量バッテリーとダイポールアンテナをリュックにいれて徒歩でどこか移動に行きたいですね。

ところで新スプリアス基準への適合で今後いろいろと面倒なことになりそうですが、自作機も1年以内に較正したスペアナによる測定が必要ということになってしまうとますます自作がやりにくくなってしまいます。それにTSSやJARDの保証認定のあり方もどうなっていくのか見えてきません。自作しても実際運用できなければ改良点など見出す機会も無くなり技術的進歩も停滞するでしょうし、何より楽しみが半減してしまいます。

空中線電力5W以下の送信機については測定を免除するとか、もう一歩進んで指定事項に変更がなければ速やかな届出で運用可能にするとか何とかできないものでしょうか。

JARLは自作品コンテスト毎年行っていますし、QRPクラブもイベントのブースでは様々な自作品を展示されており、自作される会員の方も多いのではないかと思いますが件についてどのように対応というかしかるべきところへ何か働きかけなど行われているのでしょうか。今度の関ハムやハムフェアなど機会があったら関係者に聞いてみたいところです。

2016年6月20日月曜日

7MHz QRP(p) CW TRX 試作2号機へ(コントロール部の製作)

試作1号機がだいぶ煮詰まってきたので、いよいよ試作2号機に着手しはじめました。

 今回は秋月のユニバーサルB基板(72mmx95mm)を使い、コントロール部とRF部の2部として、Arduinoのシールドみたいに2枚の基板を重ねるスタイルとしました。うまくすれば結構小さくまとまりそうです。

また、最近この基板に合うアクリルパネルも売られていて、タクトスイッチの穴だけ開ければうまくフィットしそうで完成が楽しみです。

まず先日作成したのはコントロール部で、PIC24FV32KA302と表示用LCD、ロータリーエンコーダに低周波PA(PAM8012モジュール)部分を加えて基板一枚に実装してみました。

なんとなく操作性良さそうなので、つまみ類は右側面に取り付けてみました

PICの下にあるのは最近発売されたSi5351Aモジュール@秋月 早速使ってます!

 写真の説明のようにチューニングとボリウム調整を右サイドに設けました。ボリウムは基板にそのまま取り付ければOKでしたが、エンコーダはそのままでは横に取り付けられません。

横に向いているエンコーダは秋月には取り扱いが無く、aitendoには置いてあるものの基板を加工しないと取り付けられないため、秋月のDIP化基板の端子に延長ヘッダピンをピンだけ引っこ抜いて、ちょうどメイン基板とDIP化基板が垂直になるようにDIP基板とメイン基板を加工したヘッダピンで繋いで固定したところ、結構しっかり固定されてFBでした。

 現時点での回路図(コントロール部)はこんな感じです。

一応無断転載禁でお願いします。
Si5351A出力ポートはCLK1を除いて簡単なLPFを通しています。送信用のCLK1はロジックICを矩形波で駆動させるためLPFは通さず、シリーズに50(51)Ω抵抗を挿入して出力しています。

ISCPからPICにプログラムを送り起動させましたが、Si5351A制御は問題ありませんでした。ただ何か処理が引っかかるようで、どうやら原因がトーン用PWM出力ポートの変更箇所が問題らしく、後ほどソフトを見直さなければなりません。



 ともあれコントロール部は完成したので、あとはRF部を作りこみトランシーバとしてまとめて行きたいと思います。

2016年6月15日水曜日

3SK294試食

初めて扱うデバイスをテストした記事にはよくこのタイトルのような表現しますよね(笑)

というわけで、唐突ですが3SK294というデュアルゲートMOSFETの広帯域RF1段アンプを試作してみました。

というのも今回製作中の7MHz帯のQRPトランシーバの受信部に使用している2SK241は、過去色々な製作記事で採用されきた、アマチュア自作派界隈では非常にポピュラーな石でしたが、廃品種となって久しくだんだんと入手も困難になってきました。一時期秋月でも販売していましたがすでに在庫が尽き、ここ最近ではめっきり姿を消してしまって互換品も滅多に見当たりません(先日某aitendoで見かけましたが1本120円とちょっとお高いですHi)。自宅の部品箱に眠っている2SK241(GRクラスとYクラス)を数えてみましたが、20本余りしか残っていませんでした。

そうかと思えば他にも良く使われていた小信号アンプ用の石(3SK59とか73とか)を探してみても、ほとんどが市場から姿を消してしまって、偶々見つかったものもみな高価(昔の値段から見て)でなかなか手を出そうという気が起きません。

まぁこのご時勢メインの需要がことごとくなくなっているので仕方のないことですが、おこぼれを頂戴する自作民としては代わりに使えそうなものを見つけていくしかないわけです。ぼちぼちネットで探していたところこれまた秋月でこのデバイスを見つけたので、早速ためしにいくつか購入してみました。

10個入りで230円と安価ですが、表面実装型でしかも非常に小さい!

実験基板 ちょうどユニバーサル基板のランドに足が重なるので何とか実装できました
Si5351Aといい勝負くらいな非常に小さいパッケージで、ピン配列も照明をかなり近づけてみないと判別がつきません(というか自分がROGANであるがゆえなわけですが(笑)。

パッケージの小ささに加えてデータシートの最大定格を見ると、VDSが12.5V、PDが100mWといままでの高周波用FETよりふた回りほど小さい規格になっており、設計には最大定格を超えないように充分注意しなければなりません。

それでも500MHzでの電力利得が26dB、NF1.4dBときわめて優秀で、しかも帰還容量が非常に小さい(20fF・・・「フェムト」って読むんです。ご存知でしたか?"p"「ピコ」より10^-3小さい単位です。帰還容量が非常に小さいといわれていた2SK241でも0.035pF=35fFで、3SK294はそれよりも小さい!)というのがこのデバイスの特徴です。

 さらに調べてみると、八重洲のFTDXシリーズの1stミクサをはじめ各メーカーのリグにも多く採用されているみたいです(ミクサ、IFアンプ、高周波スイッチ等々)。

多くの機器(といってもアマチュア機ですが)で採用されているので当分は供給には困らないだろうと踏み、よしこのMOSFETで高周波アンプを試作してみようぜっ!というわけです。

試作した回路図 ソース抵抗挿入による検討はまだ行っていません
 なにせ動作条件の範囲が小さいので、最大定格を超えないように各定数を考えなければいけません。
 データシートでは、VDS 6V、ID 10mAで順方向アドミタンスと電力利得のデータが記されており、ID 10mAを軸にして各定数を決めました。ID-VDS曲線ではVG1Sを1.5Vに固定することでVDSが3Vから10Vの間でVG2Sの変化に関わらずほぼIDが10mA以内に収まり、PDもVDSが6Vであれば最大PD以内に収まります。VG2Sは0Vから4.5Vに変化するに従い順方向アドミタンスは0mSから22mSまで上昇するため、VG2Sは最大4.5Vとして半固定抵抗で連続的に変化できるようにしました。電源(VDS)は78L05で5Vに落として3SK294に供給しています。

まとめると、

VDS:5V
VG1S:1.5V
VG2S:0~4.5V
ID:10mA
PD:50mW
(参考:出力インピーダンス:400Ω,入力インピーダンス(ノイズマッチング)2kΩくらい?)

この条件でバイアス抵抗を決め、ユニバーサル基板に実装して早速測定してみました。

おなじみおじさん工房APB-3のネットワークアナライザを使い、VG2Sを変化させながら10MHzまでの利得カーブを測定しました。

アンプをバイパスして測定した結果を0dB基準としています
半固定抵抗でVG2Sを変化させながら連続スイープさせ結果を重ねた図です。2~3MHzのピークは負荷RFCの自己共振が関わっているのではないかと考えらます。この構成では10MHzまでは1段で最大40dB弱~50dB弱の利得が得られています。出力に共振回路を追加するともっと利得が上がる可能性はありますね。

最も下のカーブはVG2Sが0.66V、最も上のカーブは4.5V時のものです。
4MHzでの最大利得は38.4dBと非共振としても充分な利得があります。

そこで、4MHzでのVG2Sと利得の関係をプロットしたものがこちら。
0.9Vから2.2VあたりのVG2Sの変化で25dB程度の利得変化が得られています
AGC電圧をVG2Sに加えるとすれば、0.9Vから2.2Vの範囲が良さそうです。さらにソース抵抗を挿入することでもう少しリニアリティが改善されるかもしれないので、追加測定を考えています。

心配された異常発振の兆候もなくパッケージが非常に小さい点を除けば、高周波アンプとしても結構使えそうですね。

7MHzトランシーバの受信部にプラグインできるように実装したので、2SK241 2段のモジュールと交換してみました。

IFアンプモジュールを2SK241 2段から3SK294 1段へ交換
3SK294試作アンプにはAGCはかかっていませんが、VG2Sを下げて少し利得を絞っても2SK241の2段アンプと体感的には遜色はありません。これなら高1中2構成でも十分かもしれませんね。

さてこのFETはエンハンスメント型でありゲート電圧がプラスの領域でドレイン電流が流れて動作するため、用意するAGC電圧は常に正で良いと思われます・・・ということは・・・?

ちょっと面白いことを思いついたのですが、うまくいきそうになったら公開してみようかな、と(もったいぶりMAX

2016年6月13日月曜日

7MHzQRP(p) CW TRX進捗その2

QRPトランシーバ製作も佳境に入ってきました。
少しずつ定数や回路の見直しをしながら進めている最中です。
PAM8012 AF PAユニットの組み込みのほかXfilのプラグイン化などなど。正直遊んでいます(笑)
徐々に修正など加えていますがまだまだ最終形ではありません
主なハード的変更点ですが、まず受信部のIFアンプ最終段出力と検波用DBMの間に9:1のトランスを挿れマッチングを図っています。IFアンプの出力インピーダンスは約数百Ω程度であるのに対してDBM入力インピーダンスは50Ωで直接繋ぐ場合は結構ミスマッチとなるわけですが、このトランスを挿入するとマッチングとれて感度が上昇しています。にしむらさんご指摘TNXです。

そのほかDBM後の2SC1815AF1段アンプのヒスノイズが気になったので、簡単なCRフィルタを付加し、またPICからのサイドドーン出力を同様なフィルタを通してミックスしPAM8012 AF PAユニットに入力しています。サイドトーンの出力レベルはPWMのデューティー比を変更する簡単なプログラムを追加し調整できるようにしました(デューティー比だけ変化させるのでフィーリングはいまひとつです。素直に半固定抵抗で変化させたほうが良いかもしれません^^;)

あとは出力電圧が連続で変更できる低ドロップな電圧レギュレータ PQ20RX11を送信部のファイナルの電源に挿入して出力コントロール可能にします(まだ実装していません)。それから可変部分をスイッチで2段階に変更できるよう(QRPとQRPp用)にしようかとも考え中です。

アンテナを繋げてワッチしてみるとSSBの交信も聞かれますが、Xtalフィルタの通過帯域が狭いので内容が良く聞き取れません。そのためもう少し帯域の広いフィルタを追加してみたいと考えXtalフィルタをプラグイン式に変更して、新たに2.1kHz幅で設計したフィルタを作成してCW用と差し替え出来るようにしてみました(使用したクリスタルはaitendoで仕入れた5個100円のHC-49Uタイプです。HC-49USより端子間容量が大きく通過帯域を広くしやすいです)。ただフィルタ通過帯域の中心周波数がそれぞれ異なり差し替えるとIF周波数をいちいち変更しなくてはいけないので、PICのポートでフィルタの種類を検知させて自動的にIF周波数をシフトさせるようにしてみようかと考えています。

そんなこんなで色々なアイディアを盛り込むと時間がかかってしまいますし、また先日感光基板も購入してしまったので、そろそろここらで基板を起こして試作2号機に取り掛かりとしましょうか。

2016年6月8日水曜日

7MHzQRP(p)CWトランシーバ進捗

制御部、受信部、送信部の3パートに分けてそれぞれ試行錯誤続けてきました。
3パート基板(制御部、受信部、送信部)を相互に接続して一応トランシーバとしての運用は可能な状態に
写真では未実装でしたが、このあとアンテナ切り替え回路を作りこみトランシーバとしての形態はひとまず完成しています。もう少し受信部回路と制御ソフトウエアの手直し、電源部分の作りこみをして試作機を完成させ、次にプリント基板を作成していく予定です。

暫定回路図をUPします。
VFO/BFO発振&制御パート
MCUのPIC24FV32KA302に4つの操作ボタンとI2Cバスにぶら下がるキャラクタLCDと局発とBFO、送信キャリア発振を担うSi5351A、ロータリーエンコーダという単純な構成です。PICはピン数が少ないPIC24FV32KA301(20pin)でも間に合いそうでしたが、秋月のサイトを見るとなぜかディスコンマークがついている(本家ではin productionになってますが...間違い?)のとマルチバンド化した場合のバンド切り替え追加などを考えた結果ピン数で余裕のある302のほうにしました。

いずれもPIC24シリーズの中で数少ないEEPROM搭載モデルですね。

ロータリーエンコーダとスイッチ類のチャタリング対策は、Keyer Mini-V2でのソフトウエア対策を継承しているのでハード的な追加対策はしていません。パドルポートはサージ対策を追加する予定です。

上が受信部 下が送信部とLPF部
 受信部はプリアンプ1段、IF3段、AF1段構成でD級AFアンプモジュールPAM8012に続きます。

IF段の2SK241GRのソースには2.4kΩという比較的高抵抗を挿入してGNDに接続し、出力側は各々マイクロインダクタによるL負荷で非同調としています。実験で測定した2段アンプでは、IF周波数域がマイクロインダクタの自己共振周波数に近く実測でもその周波数周辺でゲインがピークだったことから試作機でもそのままにしています。この辺のアイディアはJR3TGS局のサイトを参考にさせていただきました。

Si5351Aの出力インピーダンスは85Ωと低く出力波形は矩形波です。そのためいわゆるギルバートセル型ミクサIC(たとえばSA612とか)は使わずに、局発混合と検波用にはいずれもダイオードDBMを採用し、Si5351AのCLKOUTを直接DBMのLOポートに接続しています(念のため3dBパッドは間に挿入していますが)。矩形波ドライブのスイッチング動作と考えるのであれば、ダイオードDBM以外にも4066などの高速アナログスイッチICの採用もありですね。

AGCは2SC1815のAF出力を負電圧で整流し、プリアンプとIF3段のゲートに接続しています。Sメータは整流電圧をPICのAD変換に直接接続するため、別途正電圧を出力する整流回路を入れました。

 クリスタルフィルタは、秋月やaitendoなどで安く売られているマイコンクロック用の4MHzの小型水晶を使い5段ラダー型(バターワース)フィルタとして設計しましたが、インピーダンスは約1.4kΩと高いため、DBM出力との間にインピーダンス変換トランスを置きました。

またIF出力と検波用DBMが直接繋がっているとの指摘を頂いたので、こちらも何らかのインピーダンス変換回路を入れようと考え中です。

PAM8012モジュールは秋月製で3.3Vと低電圧で動作し、ヒスノイズがほとんどなく送受切り替え時でもポップ音は少ないためミュート回路なしで良さそうです。多くの製作例ではたいていLM386Nが使われていますが、そのままでは電源オンや送受切り替え時のポップ音が大きくまた発振しやすいため、その対策に結構手を焼きますよね。

送信部はドライブにロジックICを使います。ファイナルのBS170のゲートコントロール電圧をなるべく上げたいため電圧変換に最初バイポーラトランジスタを使おうと考えましたが、前の投稿のとおり高周波領域では実用にならないので結局ロジックICに落ち着きました。それでもなるべく出力電圧を上げるためにICの電源電圧を推奨動作電圧の上限6Vとしています。(5Vとどれだけ違うのか検証しませんでしたが^^;)

ファイナルのBS170は余裕を持たせるため2パラとし、出力インピーダンスを下げるため1:4のトランスを置いてLPFに流します。この構成では電源電圧9Vで2W強出ています。バッテリー運用を前提にしているので低めの電圧でこの出力なら充分でしょう。QRP上限の5Wを出力するにはBS170をもうひとつ並列接続するかRD06HVF1などのより大きなデバイスに交換でしょう。また、QRPp上限の0.5Wまで下げるためBS170への電源電圧調整回路も追加を考えています。

 アンテナ切り替えにはダイオードスイッチかリレーの採用を考えていましたが、フルブレークイン運用目標なのでダイオードスイッチとしました。デバイスにはPINダイオードが良く使われていますが、低い周波数では信号が歪んでしまうことからVHF以上の高い周波数での応用が主です。一方10W程度の中電力系HF機のキットでよく使われている整流用ダイオードではアイソレーション改善対策がやや厄介なため、さてどうしたものかと思っていたところ、これもJR3TGS局のサイトからなのですが、インダクタとコンデンサを直列接続して接続点にスイッチングダイオードを2本並列に極性をかえてGNDに接続するアンテナ切り替え回路を見つけました。そこで今まで自分が作った海外のQRPキットの回路図を見なおしてみると同様の回路が採用されていました(但しインダクタとコンデンサの位置が反対になっているようでしたが、どちらでもよいのでしょうか)。簡単な回路で実用的であれば採用しない手はありません。

動作原理はTGS局のサイトをご覧になっていただくこととして(汗)早速試してみました。

受信アンテナ側にオシロスコープのプローブを繋げて送信してみましたが確かに0.6V程度でしっかりクランプされています。念のためプリアンプのゲートにもクリッパ回路を組み込んで、受信アンテナ端子に繋げ送信してみましたがとくにフロントエンドへの影響は特になさそうです。また実際の受信でも、この回路による損失は体感レベルでは感じられなかったのでこの回路を採用することにしました。

 というわけで、一応トランシーバとしての基本構成が出来上がりました。

そろそろ変更出さないと(汗)