2017年5月10日水曜日

mcHF送信ミクサキャリアバランス調整

mcHFの近接スプリアスについて、mcHF Yahoo Groupにスペアナ画像を添えて投稿してみました。

さっそく開発者のM0NKA Chris氏とDF8OE Andreas氏から返信いただきましたが要約すると、基本波から50dBは抑制されているし、もともとmcHFは安価なQRP機で高出力のパワーアンプやV/Uのトランスバーター繋げることを想定して設計しているわけではないのでこれ以上改善させることは考えていない、そうです。

mcHFはまだまだVer.0.6ですしこれだけの規模のものを個人レベルで開発するのは大変です。ただ、これだけ注目されていて入手する人も増えてくると当然使い方も開発者が想定されていない使い方をされることも稀ではないでしょう。

ともあれすばらしいトランシーバであることには間違いないので、自分なりに何処まで出来るかやってみて、うまくいったらまたフォーラムに還元できれば良いなとは考えています。

というわけでフォーラムでのほかのメンバーとのやり取りした中で、 ドイツのフォーラムではいろいろと不要輻射について検証と改修を試しているようです。私が提示した送信ミクサーの局発漏れレベル(キャリアリーク)の抑制方法についていくつか紹介いただいたので、ひとつ実験してみました。

mcHFでは、DACから出力されたベースバンドIQ信号(低周波レベルの信号)をSi570とDフリップフロップ74AC74で発生させた局発IQ信号をSN74CBT3253Cマルチプレクサで混合合成してRF信号を得ています。

スペアナで解析するとSSB信号は12kHz、CW信号波は750Hzの搬送波を用いマイコンで生成したデジタル信号をDACでアナログ変換しているようです。局発は搬送波との差の周波数を発生させ最終的にミクサで混合合成されています。

60dBの減衰器を装着してUSBモードで送信 マイク入力はバックグラウンド音のみ
左の青い矢印で指したピークが局発信号リークで赤い矢印で示している幅の広い信号は、生成されたバックグラウンドノイズのSSB信号です。3kHz以下の幅にきっかりシャープにフィルタリングされています。

LSBモードで送信 赤矢印を中心にUSBモードの波形と鏡面像を呈しています
デジタルで計算され生成されたSSBは残キャリアレベルもまったくありません。したがってこの赤矢印から12kHz下のこのピークは送信ミクサからの局発信号漏れを示していると想像されます。

そこで、送信ミクサのキャリアバランスを調整するために、下の写真のようにQSB Bias部の分圧抵抗R69,R70をはずして5kΩのポテンショメータを装着しました。


 ほんとうは多回転をつけたかったのですが、手持ちが見当たらなかったのでドライバで微妙に回して調整を試みました。



 まずは20dBほど抑えることが出来ましたが、他のバンドではやはり微妙に最良点が違うみたいです。ここがマルチバンド対応の難しさなのかもしれません。

普通に5W程度の出力のときの近傍スキャンを見てみると・・・


 一応基本波から50dBは抑えられるようになりました。

さすがにこれ以上は難しそうなので、現状妥協するしかないかなと考えています。

中華製の金属ケースはすでにないと思っていましたが、eBayでいくつか出品されていましたので1セット注文しました。金属ケースでキチンと本体をシールドした状態で高調波スプリアスを含めて再測定したいと思います。

2 件のコメント:

  1. うまく改善できて良かったですね。
    GenesisのG40を作った時もIQバランスの調整では手間取りました。
    なかなか最良点が出ないのと、調整しても安定しません。
    この辺りがSDRの難しさだと感じました。

    返信削除
    返信
    1. JR1KDAさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

      そうですね、1回調整してもまたすぐずれてしまいます。ロジックICを使っていますが実質アナログ回路ですからバランスを高いレベルで保つのは困難なのでしょう。

      しかしスペアナでモニターしながらIQ調整してイメージ波が小さくなっていく様を見るのはなんとも不思議で面白いです。

      そのうちIC7300みたいにダイレクトにRF信号が低コストで得られる時代が来るかもしれませんが、そうなるとこういった悩みはなくなる反面面白みもなくなるのかもしれません。

      削除