CentSDR製作の続きです。
前回3.3V電源部とVCTCXO装着を行いました。VCTCXOはメーカーがわからずデータシートを探せませんでしたが、4つのランドの中心からなるべくずれないようにしてランドの縁から少しずつハンダを流し込み、裏のパッドにハンダ付けします。一気に流し込むとランドからハンダがあふれて上蓋にショートしてしまいます。
ルーペでよく観察して問題なければ電源を入れて右上の出力端子にオシロスコープのプローブをあてて波形を観察します。
26MHz,1Vp-p前後の矩形波が観察されればOKです。
次にSi5351AとSTM32F303CBT、CodecチップのTLV320AIC3204を装着します。
パッケージの外にピンが出ているSi5351AとSTM32F303CBTについては、ピンピッチは狭いですがヘッドルーペをうまく使うとそれほど苦も無く装着することができます。装着方法はネット上でもしばしば見かけますが、私のやり方はランドがハンダレベラー処理されていればフラックスを多めにランドとデバイスのピンに塗り付け、デバイスのピンとランドの位置を合わせデバイスの上から片方の手の指で押さえて固定し、コテ先をピンの上にあてレベラーのハンダで装着していきます。レベラーのハンダが不足気味の場合は一旦すべてのピンを装着してから、追加のハンダをピンの一列ごとに盛りハンダ吸い取り線で余分なハンダを除去すると確実にきれいに装着することができます。最後にフラックス洗浄剤で余分なフラックスを除去してきれいにします。
次はTI製のオーディオCodecチップTLV320AIC3204の装着です。このチップはVQFNというパッケージで表面実装XTALなどと同じようにピンは外に出ておらず、すべてデバイス底面のパッドになっていて側面にわずかに顔を出しているというものです。
VQFNパッケージの装着は初めてなのでCentSDRの組み立て資料に記された手順で装着しました。下準備としてチップのパッドすべてにハンダ揚げを行い一旦ハンダ吸い取り線できれいに拭き取ります。フラックス除去剤できれいにしてからボードの装着部位とデバイスのパッドにフラックスを塗りデバイスを装着部位に正確に合わせます。この時シルク印刷の白丸とマーカーをわせるわけですが、パッケージのマーカーがフラックスや除去剤の影響でわかりにくくなります。そこでまずデバイスをひっくり返して下の画像のようにデバイス底面中央の大きな四角いパッドの1角が欠けているのを確認します。
データシートを見ると、これがマーカーと一致するので欠けた角をPCBの白丸マーカーに合わせます。
四辺ずれがないように確認してデバイスを上から指などで押さえて固定し、わずかに見えるランドにコテ先をあててパッドと対応するランドをハンダ付けします。
ここでもレベラーのハンダ量が少なめの場合、ルーペでパッドとランドのずれがないことを確認してから1辺ずつ追加ハンダを盛ってハンダ吸い取り線で拭き取るという作戦を行います。再度ルーペでショートなどないかどうか確認します。
基板の裏の穴からもハンダを流し込み装着完了です。
ここで、いよいよファームウエアをインストールする作業に入ります。
ファームウエアのソースコードはGitHubで公開されています。ただ自分の環境ではまだうまくビルドできないため、追加公開されたバイナリをダウンロードしNucleoに付属するST-LINK V2機能を利用してインストールしました。
インストールした後は、確認のためまずSi5351Aの出力をオシロスコープで確認します。
上に局発出力、下にシステムクロック8MHzが見えます。
そのほかCentSDRに接続したUSBケーブルを稼働中のPCにつなげるとシリアル通信ポートとして認識されます。
これで山を越えたので、あとは残りのパーツを一気に装着し改めて電源を入れます。
というわけで無事完成です。
ヘッドホン出力にスピーカをつないでも音量は十分で、SSBも手持ちのTECSUNのラジオよりずっと安定して受信できます。
ついでに、VNシリーズのように透明アクリル板を上下に挟んでみました。
これでひとまず完成ですが、USBコネクタ部分の改修とLiPoバッテリー充電回路の実装も必要なパーツが揃い次第予定しています。
ファームウエアのビルドができるようになったらソフトウエアもいじってみたいと思います。
というわけでまだ続く。
興味はあるのですが難易度の高そうなキットですね!
返信削除鬼の上は何だろう
竹本さん、コメントありがとうございます。
削除難易度高いですがチャレンジの甲斐があります。優れたキットだと思います。
鬼の上ですと、竜ですかね・・・(某漫画より
完成おめでとうございます。とても丁寧なレポートありがとうございます。
返信削除USBコネクタの件、説明不足で恐縮です。しかしトラブルをリカバーしていただき、助かりました。
他の方のご参考になると思います。ケースにも入れていただいてありがたい限りです。
U3-U7の誤記の件はご指摘ありがとうございました。頂いたコメントは、
できるかぎり新しい組み立てガイドに反映しアップさせていただいております。
また、VCTCXOやチャネルの調整方法について、ガイドに追記していますので、ご参照ください。
引き続き、忌憚ないご意見願えれば幸いです。
TT@北海道さん、コメントありがとうございます。
削除いまCentSDRでAM放送を聴きながらコメントを書いています。
すばらしいキットを頒布頂きまして改めて御礼申し上げます。
腕試しも兼ねてでチャレンジしましたが、何とか完成に辿りついてホッとしています。完成後もプログラムの勉強やSDRの実験などの教材として楽しませていただきます。
USBコネクタにつきましては新たに足つきのコネクタを調達しましたので、先ほど換装いたしました。これで安心して活用できます。換装経過もまたブログでご報告します。
これからもよろしくお願いいたします。