その中で、送信機から発射される高調波スプリアス測定を行い基準を満たしているかどうかまずは確認しました。TX-500では選択可能な4つの出力レベルについておのおのAPB-3でチェックしてみました。
いずれも60dB減衰器をとおしてスペアナに接続。RBW3kHzでdBm表示になってます。
PWR MIN(3W) 2次高調波が基本波に比べ-50dB以上 |
PWR LOW(15W) では3次高調波が対基本波-56dB |
PWR HI(35W)も3次高調波は対基本波-55dB |
PWR MAX(50W)は3次高調波対基本波-53dB |
私所有のTX-500単体ではPWR MINの場合2次高調波のレベルが高く、他も3次高調波のレベルは対基本波ぎりぎり-50dB以下を保っておりました。
というわけで、外付けでLPFを追加する必要がでてきました。
LPFはJA8JPO局がオリジナルの設計で4段T型減衰極つきのLPFですが、JA1BVA局に倣って減衰極を無くして単純化しました。
なにより良いと思ったのは、キャパシタが6800pFで統一されており入手選別が容易であることです。また再現性もとても良いだろうと感じておりました。
材料の要はトロイダルコアT102-2を5個に4つの高耐圧PPフィルムコンデンサ(DCで1.25kV、ACで340VくらいのPanasonic製)。6800pFの規格モノを多めに入手してLCRメーターで値の近いものを4つ選別しました。
30年物の(笑)ガラスエポキシ両面生基板をカットし、幅広の透明粘着テープを片面をすべて覆うように貼り付けて部品面のパターンを構成するためエッチング部分をカッターで切り取って剥がしエッチング液に浸してエッチングします。もう片面はエッチングで銅をすべて除去します。エッチング処理が出来たら基板固定とトロイダルコイルを固定するための穴を開けてフラックスを塗り、部品をハンダ付けしていきます。
コイルは入力側と出力側の2つが17μHで1mm径のUEWを35回巻き。中央の3つは34μHで0.8mm径UEWを51回巻いて基板にハンダ付けしました。
部品のハンダ付けが終って待ちきれずにまずは裸のままで測定。
954kHzで-56.6dB 1422kHzで-81.9dB |
4段ともなると気持ちよいほどシャープです。通過帯域内は若干のリプルがあるのと減衰パターンからチェビシェフ型特性に思われます。リプルは0.5dB以内に収まっているようです。
良い結果がでたので日を改めてアルミケースに収めました。ケースはアルミダイカストを使いたかったのですが、手ごろな大きさのものがなかったので普通のアルミケースを探したところ、リード製のP-204がサイズ的にピッタリでした。
でもってお待ちかね、ケーシング後の特性チェックです。
954kHzでは-57.9dB 1422kHzでは-89.3dBでそれ以上は-100dB近くに |
ケーシングの効果で、高域で減衰量が10dB近く高くなっています。
それにしてもAPB-3のダイナミックレンジは広いですね^^
では、いよいよTX-500に完成したLPFをつなげて測定します。
最近モノが増えて机が狭くなってます^^; |
PWR MIN(3W) 2次高調波も十分抑制され対基本波-80dB |
PWR LOW(15W)では3次高調波が対基本波-78dB |
PWR HI(35W)では3次高調波が対基本波-73dB 5次もちょい見える程度 |
PWR MAX(50W)でも3次高調波は対基本波-70dBと十分に抑えていました |
いずれも基本波に対して-70dB以上と十分な結果となりました。また、通過帯域内の挿入損失はLPF全体のシステムで約0.3dBとなりました。もちろん損失が少ないので連続送信でもコンデンサやコアはほとんど熱くなりません。VSWRも最大電力で送信機モニター上1.0~1.1とマッチングも問題ないだろうと思います(インピーダンスアナライザは未試験)。
これで臨局検査対策に一歩進みました。
LPFを公開していただいたJA8JPO局と追試過程を公開していただいたJA1BVA局に感謝します。
素晴らしいリポートをありがとうございます。
返信削除さすがに本体だけでー50以下なので、LPF外付けの効果は大きいですね。
こちらも同じような特性になっているだろうと、想像しています。
ありがとうございました。
実際自分で組み立ててみて、これだけ効果があるとは正直驚いています。
削除こちらこそこのすばらしいフィルタをご紹介いただきまして、ありがとうございました。