2015年5月26日火曜日

475.5kHz帯ローディングコイル測定

JA1BVA齊藤OMが、ご自身のブログにローディングコイルの特性やアンテナについて数回にわたり実験結果を公開されていました。

バリコンで同調させたローディングコイルのインピーダンスとバリコン容量をおのおの測定して、インピーダンスと同調周波数から割り出した同調容量の差を浮遊容量(≒コイル分布容量)としています。

先日のアンテナ測定では、1600μHで同調していてそこから割り出した容量が約70pFと高さ7mのアンテナ容量42pFからかけ離れた値であったためその差である28pFがタワーや人体による浮遊容量を考えていましたが、もうひとつコイル自体の分布容量を考えていませんでした^^;

そこで、こちらも手持ちの475.5kHz帯用ローディングコイルで測定してみました。

昨年の千葉コンのときに持参した初代コイルVariometer2と200pFのエアバリコン
本番用のコイルVariometer4+ 下側がだいぶ解けました
2つのコイルはそれぞれ200pFの高耐圧バリコンに直列接続。さらにminiVNAproBTに接続して同調が取れた段階で純抵抗(インピーダンス)を測定しました。

Variometer2のインピーダンス・VSWR曲線 38.1Ω@475kHzでした
リッツ線で巻いたVariometer4+の特性 37.6Ωですが、SWRの変化が鋭い 
 前回より巻き線を解いた分バリコンの容量がある程度増えたことによってQが上がり、結果インピーダンスがより下がっているようです。

各々同調と特性をとったあとにバリコンの容量とコイルのインダクタンスをLCRメータで測定しました。

同調が取れたときの各々のバリコンの容量をLCRメータで測定
というわけで、以上測定結果をまとめてみるとこんな感じになりました。
 表の右端が計算値と実測値のずれを割り出されたものです。

 これがいわゆる浮遊容量と考えられるものですが、室内での測定という条件であってもいずれも思ったほど大きいわけではなく差し引いてもまだ15pF程度の差が残っています。

これがタワーによる影響なのか人体によるものなのかそれ以外なのか、今度は現地にLCRメータを持参してエレメントの容量などもしっかりチェックしていきます。

2015年5月24日日曜日

475.5kHz帯アンテナ調整

昨日は運用場所に出かけて設備の準備をしました。

2本のタワーにある程度の高さでロープを渡し中央からエレメントを垂らしてちょうど地面から7メートルの高さまで張ります。そのすぐそばにアース棒を2本直結で打ち込み、横にマッチングセクションを入れた屋外用の収納ボックスを置き、同軸とバリオメーター制御線を引きます。(制御部は作成中)


2本のタワーの間にエレメントが来ています。お互い2メートルは離れていますが当然影響は避けられません。ローディングコイルとインピーダンス変換トランスをエレメントとアースに仮接続してアンテナアナライザで計測すると、最初共振点が300kHz台と非常に低く、最小インダクタンス(1.9mH)でも410kHzまでしか上がりません。やはりタワーの浮遊容量が効いているようです。現場でローディングコイルを解きちょうど475kHzに共振しましたが、LCRメーターで計測するとインダクタンスは1.6mHでした。

475kHzでの共振容量は70pFと計算され、7メートルのアンテナ容量42pFを差し引くと28pFほどの浮遊容量となります(アンテナ近くで測定したので人体の影響もありますが)。予測はしていましたが、設置場所の環境や耐候性を考えるとある程度は仕方がありません。

VSWR1.5以内は約3kHz
そして気になるアンテナ入力抵抗ですが、475kHz付近の共振点で約43Ωでした。接地抵抗は直接計測できませんが、アースは良さそうです。

あとはマッチングボックスの中身を完成させてそろそろ試験電波を出してみたいところです。

今回設備共用をお許しいただいているオーナー様にアンテナスペースやエレメントやアースのご用意ならびにいろいろとお手伝いいただきました。
ありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。

2015年5月22日金曜日

475.5kHz帯変更許可書来る

正式には『無線局指定変更・変更許可通知書』。


8日付けで発行されたようですが、返送用封筒を送るのが遅れて昨日手元に郵送されてきました。送信機は改造ファームウエアTX-500で申請したので、電波形式は3MA(A1A, F1B, F1D)、空中線電力50Wで間違いありません。

送信機、空中線の用意はほぼ出来上がっているので早速試験電波発射届を送りいよいよ現地での各設備の設置から調整に入る段階になりました。

工事が完了したら検査を受けることになりますが、国による直接検査のほかに登録点検事業者制度による書面検査の案内も同封されていました。総務省のサイトで近辺の登録点検事業者を検索したところ4,5件ヒットしましたが、果たして475.5kHz帯の変更検査受けてもらえるのかどうかわかりません。国による検査ですと工事完了から検査申し込み、検査合格後免許発給までの時間と検査日程の調整が少し難しい(平日のみで工事完了届けから1ヶ月先)ので、より融通が利きそうな(たとえば土日にも行えるなど)登録検査事業者への委託も考えていますが、とりあえず検索結果に出てきた業者に問い合わせして検討したいと思います。

送信機、空中線の調整のほか電波障害の調査などやっておくべきことはまだまだたくさんあります。

2015年5月18日月曜日

富士市(JCC1813)136kHz移動運用

昨日宮ヶ瀬の公開運用展示にあわせて、富士市(JCC1813)の富士川河口付近に移動運用しました。天候も穏やかで移動運用日和でした。

設営完了したのが11時過ぎになりました。あたりは下の写真のごとく立ち木もなく広々としていましたが、予想通り地面は砂地で条件が良いとは言えず、アンテナ入力抵抗は100Ω程度で接地抵抗はおよそ80から90Ωと高い状態でした。川のそばまで移動したり近くの運動公園のアスファルトで舗装された駐車場で展開できたらもう少し違っていたかもしれません。
傘エレメントの張り方を変え、ポールはほぼまっすぐで安定するようになりました。
垂直エレメントも多少張力をつけて安定させた方が良さそうです。次回の課題。
受信は申し分ありませんが、専用の受信機をそろそろ...
FT-857はなぜかこの周波数帯では内部ノイズが高く、せっかく受信した信号が埋もれてしまうためTX-136のプリアンプは常に20dBに設定しています。今回は外部ノイズが少なく受信コンバータを使わずに直接受信+プリアンプで十分OKです。
早速136.5kHzをワッチしてみると、宮ヶ瀬のJH1YMC/1のCQがS7で受信できました。最大出力で何度もコールしましたが残念ながらコールバックはありませんでした。
今回CWではJH3XCU/1、JN1MSO、JA1CGM、JA1CNM、JA1NQI局とQSOできましたがいずれもこちらの信号のSが低く、こちらの要因としてやはり接地抵抗の高さが一番の問題だったのかもしれません。

CWのほかにはDFCWとWSPR2モードで各々送信しました。

YMCのIDの後半上にQRHしています。何があったのか?
上は自宅で立ち上げておいたArgoグラバのレビューの一部です。

左3分の1はJH1YMC/1のIDですが、途中から0.5Hzほど上で自分のIDが受信されています。現地でグラバを確認し2回目は2Hz上にQSYしました。

YMC局のIDの後半から上のほうに緩やかにQRHを起こしておりましたがあとで掲示板を見るとオーバーヒート?で送信機がダウンしてしまったそうです。現地はこの時期にしてはかなり暑かったのでしょうか。

他局からもDFCWのキャプチャをいただきましたが明瞭に受信されており、CWとの違いを見せ付けられました。

WSPRでは自前の改造ファームウエアとGPS増設のおかげで時計やGLを気にすることなく送信し各局からSPOTいただきました。出力最大設定でSNRがマイナス一桁程度だったので最小出力にしてみましたが、ちゃんとデコードされたようです。

Grid思いっきり間違えています^^;
現地にWindowマシンを持ち込んでWSPR-Xを立ち上げておいたのですが、GLの設定を自宅のにしたままで、SPOTされたGLが間違ってしまいました。途中から気が付いて移動先のPM95hcに変更して再立ち上げしましたが、WSPRnet上では変更が効かずでした。一度情報をアップロードしてしまうと途中変更はしばらく効かなくなってしまうのでしょうか、謎です。やはり6桁GL拡張送信に対応したほうが良いかもしれませんね。

自宅のWSPR-XのUpload Spotsチェックボックスは外していたのですが...
自宅では、IC7200Mに少々低めに設置したmini-whipアンテナで受信しました。最大出力ではSNR-20dB以下で何とかデコードされましたが、最小出力送信は残念ながらデコードにはいたっておりませんでした。

そんなわけで、3時前に撤収し10数キロ離れた温泉施設で湯に浸かりゆっくり帰宅しました。

新しいローディングコイルのおかげかわかりませんが、接地抵抗が高い状況でもなんとかCWで5Qできたのでホッとしました。やはり接地抵抗が低めで開けている移動場所をもう少し吟味する必要があります。いままでの移動場所の状況を思い出してみると、やや小高い場所で立ち木がなく、下地がアスファルトなどの舗装された展望台の駐車場、海辺に近く海にアースが投げ込めそうな場所が良さそうです。次回はこの条件を含め移動場所を検討としたいです。

最後におわびと反省点を...

 実はすでに朝9時過ぎ現地に到着していましたが、移動の見学にいらしていた方の車が砂地でスタックしてしまい1時間ほど脱出に悪戦苦闘していました。最終的には通りがかりの方の4WD車で牽引して無事脱出できましたが最初砂地に入り過ぎないよう注意すべきでした。
手助けしていただいた皆様お手を煩わせてしまい申し訳ありませんでした。本当にありがとうございました。

2015年5月11日月曜日

475.5kHz帯設備(おもにアンテナ関係)準備中


475.5kHz変更申請ですが、結局アンテナに関するところで空中線電力50WでのEIRP1W以下に該当するアンテナ高7メートルに修正提出しました。その後ほどなく書類審査が終了したので、変更許可書などがぼちぼち送られてくるだろうといったところです。

そんなわけで接地抵抗がまだ未知数ですが、まずはなるべくコイル抵抗をできるだけ下げるべく先に作っていたローディングコイルの主コイルの線をばらして巻きなおしました。

巻き線が崩れないように下に両面テープを貼っています
アンテナ高が低い分ローディングコイルのインダクタンスを増やさなければならず、いままでのでは若干足りなかったことと、線材が長い分高周波抵抗も増えてしまうためUEW単線でバンク巻きしようと思いましたが、いっそのことリッツ線を使って2層バンク巻きとしました。使用したリッツ線は、0.06mm/360本外径1.8mmを60mで、ラジオデパートの鈴喜デンキさんで購入しました。

中のコイルは軸を固定してしまっているので、今回巻きなおしは見送りました。インダクタンスは1.9mH~2.9mHとなりアンテナ高7mに対応しています。Qは300程度ありそうですが詳しくはまだ計測できていません。

つぎに、絶縁型インピーダンス変換トランスがこちら。

50Ω端子にダミーロードを接続して15W送信 クロス点は中央線(50Ω)上
裏から 電圧検出はトランスのコアに1回線を通しただけ

3mm厚の透明アクリル板に陸軍端子を取り付けてトランスのタップに各々接続し、アンテナ電流計と電圧計を内蔵させています。

電流検出については、適当なフェライトコアに細いビニル被覆線を33回巻き、一次側と送信機側の芯線につなぐ線をコアの穴に通してビニル線の両端を51Ωの抵抗で終端とし、IN60で整流してメーターに接続しています。

電圧検出は別途トランスは用意せず、インピーダンス変換トランスのコアに1ターンだけ電線を通して線の両端を1kΩ抵抗で終端、同様にIN60 で整流しメーターに接続しています。
 
メーターはeBayで購入したクロスメーターです。テスターで調べるとそれぞれ内部抵抗が1.5kΩで感度が100μAでした。もともとパワー計の目盛りが印刷されていましたが使用しないのですべてはがし、とりあえずわかる範囲で手書きで目盛りを振ってみました。

50Ωのダミーロードを変換トランスの50Ω端子につなげ、電流計と電圧計の針のクロス点がちょうど真ん中になるように各々感度を調整して、電力を切り替えても中央線上にクロス点が来るようになります。その真ん中にラインを引き50Ω線とします。

もし、負荷が50Ω以外の場合は...

24Ω端子に接続 送信機からは見たRは約100Ω

たとえば50Ωより低い端子に50Ωのダミーを接続すると、送信機から見たダミーのインピーダンスは高くなり電流が低下するのでクロス点は50Ω線より右にシフトします。

106Ω端子(送信機から約25Ω)に接続

逆に50Ωより高い端子につなげると、送信機から見たインピーダンスは下がるため電流が増加して50Ω線より左にシフトします。

インピーダンストランスが対応する7Ωから200Ωの範囲内でインピーダンスが未知の場合、まず50Ω端子に繋げてみてクロス点が50Ω線より右の場合はより高いインピーダンスの端子につなげ、逆に左側の場合はより低い端子につなげて50Ω線にクロス点が来るようにするとだいたいのマッチングが取れ、なおかつ接続端子のインピーダンスからアンテナ入力抵抗がわかります。

アンテナの同調は電流が最大になるようにローディングコイルのバリオメーターを調整します。調整順序としてはアンテナ同調を取ってからインピーダンスをあわせるのが本来でしょう。

というわけで、ローディングコイル本体の改装とインピーダンス変換トランス、高周波電圧電流計は完成しました。あとはローディングコイルのコントローラを作りこみ、ひとつの耐候性ボックスにおさめてアンテナアースに繋げる作業へ進みます。

それまでに変更許可書が来ないかなぁ(笑)